SSS

  • BL
    • 空折で140字
      • 「イワンくん」「っ、キ、…スカイハイさん、ここどこだとっ」「ジャスティスタワーの男子トイレ。それが?」「…ッ、誰が、来るか、わかんな…っ、で、 しょ?や、あ、ねえ、やだ、…」「君が可愛いのが悪い。そしていけない」「――っ、…っふ、ン…ね、せめて、個室……」「!!もちろんだとも!」


        ■お題:スカイハイとイワンが、トイレの鏡の前で愛を囁く
      • 「あの、僕…だ、大好き…なんです! あ、あ、愛してるんです…っ!」「折紙…。俺も同じだよ。愛してるぜ」「タイガーさん…!」(ひしっ)(バアン!) 「聞き捨てならない、ならないよ!何をやってるんだい君たちは!!」「キースさん見てください!タイガーさんにいただいた幻のお酒!」「えっ」


        ■お題:折紙サイクロンとワイルドタイガーが、ロッカールームで愛を囁く
      • 「スカイハイさん」背中側から名を呼んで、わずかにずれた眼鏡を押し上げた。「なんだい、折紙君」返答はこともなげに。青い光が閃いて、淡い色の頭がうつむいた。「…なんでわかっちゃうんですか」高さも響きも違う声で言えば、甘い笑顔が返される。「君だから。それだけさ」


        ■お題:声
      • 手料理も、お泊りも、ベッドでだけほんの少し奔放になるのも、いつもとたいして変わらないけれど、心の中でそっと特別を意識すればそれだけで気持が浮き立った。「今日は素敵な贈り物をありがとう」気づいてたなんて、日付変更直前に額にキスしながらなんて、ずるい。


        ■お題:ホワイトデーだからいいかなって
      • 皆と飲んだ日、師匠と二人歩いて辿る帰り道。ふと彼が足を止めた。「月が」見上げるのにつられて空を見るけれど、星空のどこにも月はない。「…月が、綺麗 だねって、言いたかったんだ…」赤い顔をして肩を落とす彼から頬の熱がうつる。「…星も、綺麗です。貴方と見るから」シルエットが重なる星月夜。


        ■お題:イワンとキースが、星空の下でキスをする
      • 「綺麗でしょう?花が咲く寸前の桜の皮から染めると、こんな色になるんだそうです。不思議ですね」その淡い桜色はまるで彼のようだ。あでやかに咲き綻ぶ直前のかたく閉じたつぼみのなかに、危うい色香をはらんでいる。「綺麗だね」桜よりきみがと、さあいつ伝えようか。


        ■お題:桜
      • 遠くで雷が鳴っている。「嵐が」窓を開け、空気の匂いを嗅いだキースさんが眉をひそめた。「嵐が来る。…もう帰りなさい、帰れなくなる前に」「…いやだ、って、言ったら、どうします」ゆっくりとこちらを向いた彼が、獲物を見定めるように目を細める。嵐はもう、すぐそこに。


        ■お題:遠雷
      • 「ただいま、そしてただいま!」夜遅く帰宅した彼に、べえっと舌を出してやる。まじまじと見つめる前で、ちょいちょいと指でつついて見せた。「…治ったのかい?」「治りました!」「じゃあ――」数日ぶりの深いキスの行く末なんて知れている。教訓:熱い味噌汁に要注意!


        ■お題:舌
      • 「白薔薇の花言葉を知っているかい。『私はあなたにふさわしい』――ねえ、きみにふさわしいのは私だろう、イワン……?」じゃらりと鎖が首元で鳴る。「純潔」はもう散らされた、ベッドに山と撒かれた花弁のごとく。白薔薇を捧げられた数だけあなたへの「尊敬」がすり減っていくと、どうか気づいて。


        ■お題:キース(白薔薇)×イワン(監禁)
      • 「あなたにこうするのが」覆いかぶさる小柄な身体、陰になった顔が歪む。「夢、でした」「…叶ったかい?」「…はい」でも、こんなの違う。呟いた青年の落した涙が、少し前に彼に奪われた唇に落ちる。「ありがとう。…私の夢も、叶ったよ」塩辛い唇に二度目のキスをした。


        ■お題:夢
      • おはようございます、キースさん。今朝、昔の貴方と僕の夢を見たんですよ。幸せで涙が出ました。あの頃みたいにいつも僕の隣で貴方が笑ってくれたらいいの に。今はこんなに遠くて、さみしい。――ディスプレイの文字にキースは笑って唇を寄せる。出張は残り1日だよ、ダーリン!


        ■お題:夢
      • 「…どうしたんですか」ひどく魘され、起きるなり僕を抱きしめた人の髪を撫でながら問う。「…彼女の夢を」「ベンチの?」「そう…彼女をね、私が殺す夢 だった。私の風で、彼女がばらばらになって…」「夢ですよ、ただの夢」「…うん」ああ、貴方はどうか、知らないままでいて。


        ■お題:夢
      • 「僕と結婚してくれませんか」心底驚いた顔。だって僕は彼の求婚を100回は断ってきたのだから。「スカイハイは市民のものでしょう。でも僕は我儘だから、貴方がまるごと欲しかったんです。…くれますか?」「喜んで!」ただのキースになった彼を、ようやく僕は手に入れた。


        ■お題:贈る
      • 「ぼ~くらはみんな~、い~きている~」掠れた声で歌いながら、てのひらを空に向けた。歌詞のとおりに、透ける血潮は、赤い。それは生命の色。届かぬ空に手を伸ばすたび、僕は僕が生きていることを知る。ミミズみたいに地を這う僕だけど、「…いきているから、愛すんだ」


        ■お題:生
      • 長く伸ばした前髪と俯きがちな姿勢はあの子の表情を隠して、陰鬱な印象を周囲に与える。師匠としては髪を切って顔を上げるよう助言すべきだと思う。けれどあの美しい瞳が、整った顔立ちが衆目にさらされるのが嫌でなにも言えない私は、あとどれだけ彼の師でいられるだろうか。


        ■お題:髪
      • 「ダイニングに運んで」「アイ・サー!」絵になる敬礼を見せて、イワンくんは皿を受け取る。くるりとまわれ右して運んで行く背中もいつになくぴんと伸びて。昨日見た映画は軍隊物って言ってたっけ?顔が近くなるのは嬉しいけど、サーじゃなくてダーリンって呼んでよ、ハニー。


        ■お題:あい
      • 「…死んでもいい」「“I love you.”と言ってくれたと思っていいのかな」「…知ってたんですか」「虎徹君がね、君が言いそうだと。でもね、言葉の上でも死んでいいなんて言ってはいけないよ。これから君は私と生きていくのだから」「…はい」初めて君を抱いた夜。


        ■お題:あい
      • 彼の好きなところ?全部だよ。…それじゃ駄目かい。そうだね、真面目で努力家なところ、プロフェッショナル精神に溢れるところ、人にさりげなく気を遣える優しいところ、照れ屋で可愛いところ、…まだまだあるんだけど、そろそろ擬態を解いて続きを聞いてくれないかい?


        ■お題:かたる
      • 「とんぼのめがねは水色めがね あおいおそらをとんだから~♪」「イワンのおめめはむらさきおめめ」「すかーいは~いをみてたから~♪ きーすのおめめは あおいろおめめ」「おりがみく~んをみてたから~」「「み~てた~か~ら~♪」」「リア充爆発してください100年後に」


        ■お題:色
      • あなたに憧れていた頃、あなたと同じものを頼んでいた。あなたの好きな味を知りたかったから。だけど今は、必ずあなたと違うものを頼むことにしてる。僕の 好きなものとあなたの好きなもの、半分こしたら美味しさは二倍になるから。ああでも、セロリはよけてますよ、ちゃんとね。


        ■お題:別
      • 涙雨。日本にそういう言葉があるんですって。それを聞いてから、貴方がパトロールに出ている間の雨は、貴方の涙なんじゃないかって思えてしまって。だから…急な雨に降られた夜、思いつめたような顔で出迎えた恋人を笑って抱きしめる。大丈夫、泣きたいときは君の胸で泣くよ。


        ■お題:涙
      • 「尊敬」手に。「友情」額に。「厚情」頬に。「憧憬」瞼に。呟きながらキースは唇を落としていく。イワンの手を開かせ内側に唇を寄せて。「これが、懇願。…きみを愛させて?」返事は唇へ愛情のキス。そして首へ、「…愛して、ください」ああ本当に、ほかはみな狂気の沙汰!


        ■お題:キス
      • 深夜に鍵を外す音、もがく身体を担がれて、連れて来られたのは格納庫。「行こう、きみの国に帰してあげる」「どうして、だって僕は敵です、貴方を騙していたのに」返事は油じみた口づけ。「…君を好きになってしまったんだ」ゴーグルを降ろし彼は表情を隠した。ああ、貴方と二人どこかに逃げられたら!


        ■お題:キース(パイロット)×イワン(囚人)
      • 「決まりですね。24時間以内に僕が貴方を撒けたら、この話は終わりです」君はそう言うと私に背を向ける。君ほど追手を撒くのが巧い人はいまい、でもこの勝負だけは勝たせてもらうよ。私を拒む理由が愛の不在ではないと知ってしまったから。もう逃がしはしない、その身も心も。


        ■お題:まく
      • 「僕なんてひよっこ、いえ卵にすぎないですから」「卵か!すてきだね、楽しみだとても」「え?」「だっていずれ孵化するんだろう?どんなきれいな姿だろうね」「…無精卵はいつまでたっても孵りませんけど…」「そう?じゃあ有精卵になっておく?」「え?あ、」「ふふ」「ぎゃー」


        ■お題:卵
      • 「行ってきます」藍色のスーツを脱いだイワンの、姿勢の良い身体を包む青い光。「青は藍より出でて藍より青し、だな」虎徹が呟いた。「なんだい?」「んー、弟子はいつか師匠を越えてく、ってこと」「…うん」キースは眩しげに眼を細め、導いてきた青年の背を見つめて頷いた。


        ■お題:あい
      • たとえるなら北極星、沈まぬひかり。その名の通りに天高く、輝き導くしるべの星。いつまでも僕は貴方を追おう。いつか読んだ童話のよだかのように力尽きるまではばたいて、そうしていつか、貴方に並んで光る星のひとつになれたなら。


        ■お題:星
      • 【空折】『ロシア史上最大の暴君と言われる初代ツァーリは―』「イワン雷帝!」TVの回答者と思わずハモればピンポンと軽快な音。「正解だ、物知りだね!そして同じ名前だ!」「性格は違いますよ」「いやいや、君は私の史上最大の暴君さ。私は君に平伏すばかりだ」


        ■お題:解、帝王
      • 「ッ…!」悪夢に跳ね起きる。隣で寝息を立てる恋人の、すんなりした白い首に手が伸びた。指に伝わるたしかな脈拍。命のしるし。「…キースさん」はっと我に返れば、静かな瞳が見上げていた。「大丈夫ですよ」微笑んでけほっと咳をした温かな身体を、声も出せずに抱きしめた。


        ■お題:首
      • 「スカイハイ殿!」小型ミサイルを両断して大型手裏剣がビルに突き刺さる。「ありがとう折紙君!とうっ!」すかさず投げ返され、スカイハイの追い風を受けた手裏剣を追って折紙が走り、飛び乗った。拍手喝采。愛犬を交えたフリスビー訓練が、こんなところでも役に立っている。


        ■お題:調教
      • キースの身体には大小様々な傷跡がある。「勲章ですね」と微笑むと、それは違うと真顔で首を振られた。「これは私の愚かしさの証拠だよ。我々は人々の希望だ。ヒーローは倒れてはいけない。ヒーローが傷つくと、市民は笑顔でいられないからね」ああ、だからこそ彼は王なのだ。


        ■お題:あと
      • 気づかれずにあとをつける練習をしてるんですと言うと、キースは何とも言えない顔になった。「…誰に?」「え?えーと、通りすがりの人とか、社の人ですかね…」「何だって!?いけないよそれは」擬態で後を尾けると不特定多数に跡を付けるの違いだと判明するまであと15分。


        ■お題:あと
      • 「あとは任せたよ」「はい」生ける伝説となったヒーローは、しっかりと頷く青年を眩しげに見上げた。「KOH折紙サイクロン。君に師と呼ばれたのが私の誇りだ」「僕にとってキングは永遠に貴方です、スカイハイ」「グッドラック、幸運を」「貴方も」ひとつの時代の終わった日。


        ■お題:あと
      • 貴方は家族を持つべきだ。優しい奥さんがいて可愛い子供がいて賢い飼い犬がいて、休日には公園で息子とキャッチボールするような、そういう普通の幸せが似合う人なんだ。そう言って泣く彼を私は抱きしめる。君とジョンが私の家族だよ。だから笑って私を幸せにして、ダーリン。


        ■お題:家族
      • 「ご家族の方ですか」問われて首を横にしか振れず、扉は無情に閉ざされた。この先に行く資格を僕は持たない、貴方がくれようとしたそれを突き返したのは僕。「キースさん、嫌、嫌だ、いや、」戻ってきて、意気地無しの僕を許して、目が覚めたら一番にYesと言うから、どうか。


        ■お題:家族
      • 「家族が欲しかったんだ…」キースさんはまた振られたらしい。女性は敏感だ、彼の瞳に恋がないのにすぐ気づく。「この部屋は一人では広すぎるよ」「また犬を飼うのは」「そしてまた置いて行かれるのかい。嫌だよ、もう」「…じゃあ」そろそろ観念して、僕と家族になりませんか。


        ■お題:家族
      • 「パトロール中のスカイハイが見えてる間に3回願いを唱えられたら叶うっておまじないがあるらしいですよ」「もはや流れ星扱いですか、さすがスカイハイさんと言うべきか」「いやそれが来て来て来てって唱えたら本当に」「それおまじないじゃなくて愛の力ですよね先輩…」


        ■お題:都市伝説
      • スカイハイはもう死んでいて、今の中身はアンドロイドだと噂は語る。「評価されてるってことさ、光栄じゃないか」「だって!こんな身体で、全部貴方の努力なのに」「君のその言葉で充分だよ」満身創痍の身体を奮い立たせ、デビュー30年の風の魔術師は今日も大空を翔ける。


        ■お題:都市伝説
      • 「ヒーローは死んではいけない」かつて彼は言った。そしてこうも。「やむなく死ぬならばカメラのない場所で。それがヒーローだ」怒号飛び交う現場を僕はかけずり回る。脳裏に焼きついたのは夥しい血。あの人をカメラの前に引きずり出すんだ、死なせはしない。あなたはヒーローだ。


        ■お題:命
      • 「ジャパンの遊女は本命の名前を腕に彫り込んだりしたそうですよ。命の限り愛しますと」「切ないね。そうまで愛されるのは男には光栄だけれど」「でも少し憧れます、身も心も捧げるということでしょう。ここにこう、スカイハイ命って」「キースじゃないのかい!?」「あ」「えっ」


        ■お題:命
      • 己の命をまず守れと、しかしいざというとき命を投げ出すのを躊躇うなと、かつて僕を導いたのは貴方ではなかったか。危うく死神の手をすり抜けた僕を、褒める代わりに責めてなじってかき抱いて泣いているこのひとは誰。僕は貴方を、スカイハイさんと呼ばなくてもいいのですか。


        ■お題:命
      • 冬。「はあぁ、キースさんあったかい…」「冷たい!冷たいよイワン君!お風呂上がりはすぐ布団においでってあれほど!」夏。「イワン君の肌はひんやりしてとても気持ちがいいね、とても!」「あーづーいーでーすーキースさんべたべたするぅ…」結論。年がら年中くっついてます。


        ■お題:熱
      • 「きみはこんなに立派になったのに、私の腕のなかでは相変わらず泣き虫だね」歳を重ねて深みを増した声が、胸にすり寄せた頬から伝わって僕をやさしく包む。貴方が相変わらず泣けない人だから、僕ひとりでふたりぶん泣かなきゃいけないから、僕は泣き虫を卒業出来ないんですよ。


        ■お題:泣く
      • 泣きたくなると折紙を折る。いくつ作っていくうちに、思考渦巻く頭が空っぽになっていくのだ。涙の代わりだから、折紙は全部水色。「…あ。これ、空の色だ」ある日気付いて、大きな紙にいままでの涙たちを貼ってみた。出来上がった空を眺めていたら、僕の頬から雨が降った。


        ■お題:泣く
      • 「ああ、すまない、つい」僕が怒ると、キースさんはいつもこう言う。腹が立つので仕返しすることにした。「イワンくん!?ずっとここで待っていたのかいこんなに寒いのに!」「すみません、会いたくて、つい」怒りたくても怒れない気持ち、ちょっとは実感するといいんですよ。


        ■お題:つい
      • 「重荷になりたくないんです」そう言って、イワンくんは泣く。「だから、」その続きを言わせずに抱き上げた。「軽いよ?」「っ、そうじゃなくて……」「本当だよ、軽いよ。きみがいるから、私はどこまでも高く飛んでいける」証明するようにふわりと浮いて、塩味の唇に口づけた。


        ■お題:重さ
      • 「魔法使い確定かぁ…」カレンダーを見て呟いてたら、後ろから抱きしめられた。「卒業したい?」「そうですねぇ…貴方で卒業させてくれるなら」「えっ」「ふふ、冗談です。魔法使いになれるなら、貴方に魔法をかけようかな。一生好きでいてくれる魔法」「とっくにかかってるよ?」


        ■お題:卒
      • お酒は勿論コーヒーのようなカフェイン飲料も彼は殆ど口にしない。決まり切った食生活、トレーニングと仕事とパトロールで塗り潰される日々。言って聞く人ではないから作戦を練った。名付けて「夜明けのコーヒーおねだり作戦」。貴方に甘える口実が欲しいだけなのは、内緒。


        ■お題:コーヒー
      • コーヒー?うん、飲まないね。いや、嫌いじゃないよ、美味しいと思う。でもカフェインは身体に良くないからね、寝つきが悪くなっても困るし。いや、君が飲むのを責めてるわけでは…うん?どうしたの、そんな悲しい顔をするようなことがあったのかい。ねえ、元気を出して?


        ■お題:コーヒー
      • 僕が淹れるのは貴方には苦かったし、貴方が淹れるのは僕には甘すぎた。我儘と思われたくなくて、お互い我慢してましたね。今思うといじらしいなあ。「もういじらしくない私は嫌いかい?」「まさか!はいどうぞ、お砂糖たっぷりカフェオレ」「愛情は?」「それもたっぷり!」


        ■お題:コーヒー
      • 「俗説だけれど、嗜好品はNEXT能力に悪い影響があるなんて言うだろう?だからやめたんだ、健康にも良くないしね」それがまさに、子どもの僕がコーヒーを飲むようになった理由だと思いあたりもしない貴方を、それでも僕は愛している。


        ■お題:コーヒー
      • 見切れ職人はカメラがないとどうにも切れ味が鈍るらしい。「――のよ?」「うう、僕なんてそばに置いて貰うだけでも分不相応っていうか…」「あっそう。ところで折紙、いまのオンエアされてたわよ」「はうっ!?」その晩折紙ブログはかつてなく炎上した。


        ■お題:素
      • 「最近、僕も顔出ししたらって言うスタッフが結構居て…CEOが却下してくださってるんですが…」「何だって!きみの素顔を晒すなんていけない、もってのほかだ!」「そうですよね僕なんか顔出したって…」「私が独り占めしたいくらいなのに!」「ですよね…え?……ええ?」


        ■お題:素
      • 煙草が好きで、お酒が好きで、風呂は嫌いで、部屋は散らかり放題で、休日はカウチポテトで贔屓のチームをテレビ観戦。それが、恋人の僕しか知らないスカイハイの素顔です…なんて妄想した時期が僕にもありました。しかし現実は。くっそこのナチュラルボーンヒーローめ!愛してる!


        ■お題:素
      • 「ただいまキースさん。いいニュースと悪いニュースがありますよ」「じゃあ悪いニュースから」「折紙サイクロンの引退が決まりました」「そうか、仕方がないが残念だね。いいほうは?」「イワン・カレリンの結婚も決まりました。…待たせてすみません」「ワオ!やった!」 


        ■お題:ニュース
      • 「ニュースです、キースさん!」「なんだい?」「僕の部屋にとうとうエアコンがつきました!!ですからっ、…あ、あの」そこまで言って唐突にイワンくんのハイテンションが消える。私はにっこり笑って彼を抱き寄せ囁いた。「うん、これで暑い夜も思う存分いちゃつけるね!」


        ■お題:ニュース
      • 「今日は七夕ですね」「はい…」「はい!そしてはい!」「由来はご存じでしょう。恋に浮かれた夫婦が引き離された話です。…次に仕事に支障をきたしたら、私は年に一度なんて優しいことは言いませんからね!」涙目で叱りつけたCEOに、浮かれすぎた恋人達は深々と頭を下げた。


        ■お題:七夕
      • 7月初旬、ヘリペリ銀行各支店には笹と短冊が用意される。折紙サイクロンの署名つき短冊を全て見つけたものに景品ありの企画も例年通りだ。「景品を下さい!そして下さい!」企画初日、金髪のスカイ廃青年が窓口嬢の視線にもめげず意気揚々と回答を手に現れるのも例年通り。


        ■お題:七夕
      • 「おや、これは新しいカケジク?なんて書いてあるんだい?」「『和』です。日本を表す字なんですけど、穏やかとか仲がいいとか、あわさる、一緒に、って意味もあります」「仲がいい!一緒!すてきだ、きみと私みたいだね」「いえそこは積で。空+折じゃなくて空×折で」「???」


        ■お題:和
      • 久々に顔を見た折紙はげっそりと窶れていた。出動であんなことになったんだ、無理もないが。「大丈夫か?お前が身体壊したら元も子もねえぞ」「でも、こうしてる間にもスカイハイさんは…!探さなきゃ、早くっ」「限定グッズ発売日に出動かかっちまった無念はわかるけどな?」


        ■お題:憔悴
      • ドタバタ告白劇の翌朝、片方がツヤツヤ片方が憔悴してご出勤なんぞ内情は知れている。「昨日はお楽しみでしたね、って奴かぁ?」ついからかうと折紙は擬態して逃げちまった。あー俺が悪かったよスカイハイだから睨むのやめて「助けてバ」「先輩を泣かせましたね?」貴様もか!


        ■お題:憔悴
      • つい先日、片思いが実った筈の折紙は日々憔悴してく。見ていられなくなって、仮眠室に引きずり込んだ。「ちょっと、どうしたのよ!ねえ、もしかしてスカイハイになんかひどいこと…」「し」「し?」「幸せすぎて、夢だったらどうしようと思ったら寝られなくて」「爆発しろ!」


        ■お題:憔悴
      • 夢から覚めそうで眠れないとほざく折紙を無理矢理寝かしつけてトレーニングルームに戻ったら、元凶が目に隈をつくってた。「まさかあんたも幸せで寝られないクチ?」「いや、彼の寝顔に見とれていたら朝になってしまって」「それ折紙寝てないし。ああもうまとめて爆発しろ!」


        ■お題:憔悴
      • ギアをRに入れ、助手席に腕をかけてキースさんは後ろだけを見て車をバックさせる。肩を抱かれているような姿勢と浮き出た首筋に心臓がドキドキ鳴った。(うっわぁカッコイ――)ドゴン!「格好いいポーズだと聞いたものだから」とシュンとする可愛いところも、大好きです。


        ■お題:リバース
      • ザアアア――、座禅を組み、水に全身を打たせて目を閉じる。滝行は頭を真っ白にするのにぴったりだ。(やはり日本文化は偉大でござる…)きゅ、コックをひねる音。「良くない癖だね、涙をシャワーでごまかす」「…ごめんなさい」泣くならここでと、温かな腕が甘やかした。


        ■お題:シャワー
      • ヒーローぬいぐるみには関係者限定の正装バージョンがある。当然ながらイワンは全種類入手済だ。白タキシードスカイハイと羽織袴の自分を並べてみたのは出来心なのだが、「結婚式みたいだよね…ラ、ライスシャワー、とか…」思わず米をひとつかみ振りかけてから深く反省。


        ■お題:シャワー
      • キースさんはよくシャワーを浴びる。汗っかきなんだと本人は笑う。けれど被害者が出た日、いつもより長くなるシャワーで流し落としているのは、汗と汚れだけではないのだろう。だから僕はそんな日、シャワーの前の彼の身体を抱きしめる。僕も同じもので汚れているんですよ。


        ■お題:シャワー
      • いつもの店で、いつものバケットを、今日は2本。朝の散歩の帰り道、ジョンも私もいつもよりペースが速い。「さあ早く帰ろう、お寝坊さんにおはようのキスをするのは私が先だよ!」「ウォン!」世界がキラキラして見えるのは、きっと雨上がりのせいばかりじゃないね。


        ■お題:パン
      • パンは角の店のバゲット、ハムは駅前の肉屋、レモネードは蜂蜜多めで、お気に入りのホットドッグスタンドは家から二番目に近い公園の。僕は貴方の好みを色々知っているけれど、貴方は僕の好きな米の銘柄も知らない。貴方は鷹揚な王様で、僕はそんな貴方がやっぱり好きなのだ。


        ■お題:パン
      • あの人は僕よりずっと年上なのにどこか子供のようで、だから空が飛べるのだろう。幼い頃に読んだ物語の少年のように。あの人の影に擬態して、針と糸で僕をあの人の足にちくちくと縫い付けたら、ずっと一緒に居られるのかな。


        ■お題:パン
      • 日本の絵本のヒーローがスカイハイに似ているという話をして、請われるままにその本を訳して読んでやった日の夜のこと。「Eat me」頬を差し出してキースは笑う。「きみにしか、あげないよ」その頬をぺろりと舐めてイワンも笑い、「Eat me」ほほえんで、食べさせた。


        ■お題:パン
      • 「エドワードは僕の一番大事な友達で、…でも、過去に遡ってあの事件をなしにできるって言われても、僕はもうそれを願えない」絶望したように彼は顔を歪める。「貴方に会えた今を、僕はもう、手放せないんです」苦しげな彼の言葉に喜ぶ私こそがきっと、誰よりも浅ましい。


        ■お題:トレード
      • (折紙君が姿を見せたら自然に挨拶して夕方の予定を聞いて食事に誘って、食事のあと少し散歩に誘って夜景を見ながら自然に彼の手を取って目を合わせて告白だ!よし行ける、行けるぞスカイハイ!)「こんにちは」「折紙君!好きだ!」「……は、はい?」「ああっ!!」


        ■お題:フライング
      • 他人の肉体年齢を変えるNEXTに10歳年を取らされた。3日で元に戻るとわかり騒ぎも沈静化、改めてロッカー裏の鏡で見慣れぬ顔をしげしげと見つめる。「10年後ってこうか…うう、やっぱ背伸びてない…」鏡に百面相する弟子は、真っ赤な顔の師匠の熱視線には気付かぬまま。


        ■お題:鏡
      • 擬態の練習だと言い訳して、鏡にあの人の姿を映した。「…折紙くん」自信なげな声も、ぎこちない笑顔も、平凡以下の男のものでしかなくて。あの人を輝かせているものが彼の内面なのだと思い知る。ああ、まずは笑顔を練習しよう。あの人みたいに笑えるようになろう。


        ■お題:鏡
      • いつも楽しい折紙くんのブログが、彼の精神状態を映す鏡のようだと気付いたのはいつだったか。イワンくんがへこんでいるとき、ブログの文章はいつもより僅かにテンションが高い。そんな日は『いつも応援しています』と匿名のコメントを寄せる。私だって折紙ファンの1人だからね!


        ■お題:鏡
      • 夜明けの空に、スカイハイが飛んでいた。白い軌跡を残し、まっすぐに。カメラがなくとも、キングから転落しても、不調を嘲笑われても、彼は毎日、その名の通りに空を翔ける。見上げていたら、涙が出た。スカイハイ、僕のヒーロー。


        ■お題:感動
      • 「聞いてくれるかいジョン!今日ね、イワンくんのほうから手を握ってくれたんだ!あの恥ずかしがり屋の彼がだよ!私はもう感動して感動して…ねえ聞いているのかい?この感動を分かち合おうじゃないか!」「わふん(俺なんかイワンからハグもキスもされてるぜご主人)」「!」


        ■お題:感動
      • 「折紙君!前から気になっていたんだが、この胸のボタンは何だい?押すと何か出るのかな?(つんつん)」「そ、それは…(ゴニョゴニョ)」「うん?聞こえないよ」「ち、乳首!です!」「ええ!?すまない、折紙君の乳首をつんつんしてしまった!」「その表現やめて下さい!」


        ■お題:ボタン
      • 俯きがちだった彼は最近、顔を上げて人と目を合わせるようになった。素晴らしい、とても素晴らしい。だというのに彼のあの、吸い込まれるような澄んだ眼差しが私以外にも向けられているのを見るたび、わけもなく胸がさわぐ。この感情は一体、何なのだろう。


        ■お題:眼差し
      • 空の貴方と地上の僕、ランキングトップの貴方と最下位の僕、年齢だって背丈だって、夜の役割でさえ。なにもかも、貴方が上で、僕が下。ずっと、ずっとそうだったのに。「KOHおめでとう」僕を見上げ、貴方は晴れやかに笑う。――ああ、笑ってくれて、ありがとう。


        ■お題:上
      • 『正直であれ』父母の教えに私はずっと従ってきた。嘘は罪であり、正直は善であると疑いもしなかった。――だが今、私はひとつだけ嘘を言おう。「好意は嬉しいよ。だがきみのことは、可愛い弟子としか見られないんだ、すまない」ああイワン、きみを愛していると正直に言えたなら!


        ■お題:嘘
      • 「妻は…っ」明らかな致命傷を負った男性に縋りつかれ、硬直したスカイハイさんの前に思わず割って入っていた。「ご安心めされ!既に救助されたでござる」安心したように意識を失った男性を救急隊に託す。嘘つきには、僕がなればいい。優しい嘘すら言えない貴方が好きなんです。


        ■お題:嘘
      • 「つ、月が綺麗だね、折紙君」「はい」笑って頷くと、キースさんはどこか落胆顔。知らないふりしてごめんなさい。貴方がタイガーさんにした相談、バーナビーさんからきいちゃったから。ジャパンの奥ゆかしさは大好きだけど、僕は貴方の口からI love youが聞きたいです。


        ■お題:嘘
      • 貴方が僕を愛していると、本当はずっと前から知っている。だけど知らないふりをして、貴方にも決して言わせない。僕は卑怯者だ。貴方を苦しめても、貴方のそばにいたい。ああだから、どうかまだひきがねを引かないで。貴方のヒーロー人生が終わるまで、ここにいさせて。


        ■お題:ひきがね
      • 『ス』ブチッ!「失礼しました!」(やっべ携帯マナーモードにしてなかったよCEOの前で鳴らすとか社会人失格てかキースさんからの着信音であの曲鳴らしてるとかばれて…ないよね?セーフだよね!?もうなんで今日に限って仕事中に!)「…おりがみくぅん?」(アウトォ!)


        ■お題:セーフ
      • 僕の写真付きのIDカードを、キースさんはさっきから微動だにせず凝視している。「…イワンくん…」呻くような声にはいと応えれば苦悩に満ちた顔。「それ、こないだの潜入操作用の偽造品ですよ、忘れました?」「…ああ!そうか!てっきり私は…淫行罪で自首すべきかと…っ」


        ■お題:セーフ
      • 「ごめんなさい」イワンが困ったように笑う。「子守歌歌ってあげたいんですけど、僕、一つも知らなくて」「何でもいいよ、君の声なら」キースはとろりと笑む。うーん、と悩んだ彼が小さく口ずさみ始めたのはスカイハイの歌。ふふと笑って、キースは恋人の膝の上で目を閉じた。


        ■お題:子守歌
      • 猫のように膝にまるくなった恋人の肩をゆっくりと優しく叩きながら、キースは懐かしい歌を低く口ずさむ。「ぼく、こもりうたでねるの、はじめてです…」眠たげに呟き、青年は寝息を立て始めた。「…これからは私がいくらでも歌ってあげるよ。だから安心しておやすみ、イワン」


        ■お題:子守歌
      • 僕は子守歌を知らない。僕は最初か化け物で、無償の愛なんて誰もくれなかった。彼は母の胸で聴いた子守歌を今も覚えているという。幼い彼に無償の愛を注いだ人たちは、ある日彼に背を向けた。不幸比べをする代わりに、僕らは抱きしめあって眠る。互いの鼓動が、僕らの子守歌。


        ■お題:子守歌
      • 「前略スカイハイ様、ロシアはもう涼しいですが、そちらはまだ残暑が厳しいようですね。体調にどうぞお気を付けて。残暑とは僕の好きなジャパンの言葉で…」「…!そ、それ僕の昔の…何でわかったんですか!?」「君のことだもの」「キースさぁん…」「つか俺でもわかるわソレ」


        ■お題:残暑
      • 「ただいま……え!?」帰宅すると、リビングのテーブルの上には「さようなら」と震える字で一行書かれた便箋、――そして、ぽろりとペンを取り落とした「毛ガニ!?」♪さよならと~書いた~毛ガニ♪♪「通じない!いまの若い読者には通じないよ折紙くん!」


        ■お題:さよなら
      • 合鍵を使って訪れた静かな家、庭の片隅に、花の鉢がふたつ。そのひとつ、ぽたりと雫をこぼした方にキースはそっと唇を寄せる。「……ねえ、ひとりで泣いては駄目だよ」光が弾けて現れた、膝に顔を埋めたままの青年を、キースはやわらかく抱きしめた。


        ■お題:ティアドロップ
      • 「あんたたち二人とも、イケメンの無駄遣いなんだから!」カリーナは唇を尖らせる。「ちょっとは服に気を遣ったらどうなのよ」「で?キースさんに女の人が群がって?僕は変な趣味の人にじろじろ見られて?なんにもいいことなくない?」「あー…ごめん折紙、理解したわ」


        ■お題:服
      • 擬態で隠れたイワンを誰が最初に見つけるか。ヒーローズのお気に入りの遊びだ。ただしキース不在時限定。なぜなら「やあ、おはよう!あれ、イワンくん、そんなところでなにしてるんだい」「…なんでわかんの?」「え、だってイワンくんの…気配?においかな?」「犬か」「犬だな」


        ■お題:隠
      • 些細なことでイワンくんと喧嘩をして、彼は自分の家へ帰ってしまった。少し頭が冷えて、彼を追った。合鍵は持っている。だが家屋の扉は開いても、私を迎えるきみはいない。調度品の一つ一つを見比べ、キーホルダーをひとつ手に取り、名を呼んだ。これが、きみの扉を開く鍵。


        ■お題:錠と鍵
      • あの人を好きになって一番変わったのは、頬を撫でる風に敏感になったこと。強い風はあの人の力強さ、穏やかな風は優しさ、あたたかな南風は喜びで、冷たい北風にはきりりとした横顔を想う。そしてこの、誘うように心地よい秋風は…「キースさん」振り向けば貴方が、笑っている。


        ■お題:風
      • 「風が吹けば馬に蹴られる」ジャスティスタワーヒーロー専用トレセン限定の諺。風が吹く→スカイハイと折紙が揉めてる→折紙がネガって逃げる→スカイハイが追う→折紙がタイガーに縋る→タイガーがバディを頼る→全員巻き込んでドタバタ→公開告白→ごちそうさまよそでやれ。


        ■お題:風
      • 腰に装備した刀nanoの扱いでなく、手裏剣の投擲を優先して磨いたのはスカイハイの言を入れてのことだ。擬態を目くらましに使うならば近接戦闘能力の向上優先が道理に合う気もするが「手裏剣なら私の風が君をアシストできる」笑って紡がれた未来にどうしようもなく胸が躍った。


        ■お題:風
      • 風が荒れ狂っている。極小の台風の中心地はジャスティスタワー、トレーニングルーム。吹き飛ばされそうな風圧よりも、目の前の男の表情にこそイワンは怯え、震えた。「許さないよ、イワン」断罪の声。「私の愛する者を侮辱することは許さない。――たとえ、君自身であろうとも」


        ■お題:風
      • 『今宵は十五夜、日本では月を眺むる宴を催す日とのこと、風流ですなぁ。しかし今宵は生憎の曇り空にて残念無念にござる。』折紙ブログが更新されてから1時間後。雲は消え、澄んだ月が街を照らした。『空をごらん、折紙君』殊勲者のコメントは有象無象にひっそりと紛れ込む。


        ■お題:風
      • 「…あっ」呻いたキースさんが、伝票にぐしゃぐしゃと線を走らせた。「すまない、そして申し訳ない。書き損じてしまった」店員に謝って書き直し、店を出たところで「うっかりスカイハイと書いてしまったよ…」恥ずかしげに白状するひとのかわいらしさといったら!


        ■お題:サイン
      • 「キースさんここにサインしてください、フルネームで」「いいよ、はい。…ところでこれはなんのサインだい?」「白紙委任状です。これから貴方の資産管理は僕がやりますからね。CEOも口出しできないくらいの大口顧客にしてみせるんだから!」


        ■お題:サイン
      • 仮に美しくて気立てのいい女性を私が伴侶に選んだとしようか。きみは祝福してくれるんだったね。…ではその彼女が子を産めない身体だったとする。彼女を私に相応しくないと反対するかい?その一点を持って?君が言っているのはそういうことだ。ねえ、それが君ではなぜいけないの。


        ■お題:差
      • 骨すらも、きみは私に残していってくれなかった。綺麗さっぱり奪われて、かたちの記憶すらもう曖昧だ。残り香のような気配にすがっても、薄れて行くばかり。ああ、きみはひどいひとだね、イワン。「キースさん変なナレーションやめて!ジョンもそんな目で見ても鶏の骨はだめ!」


        ■お題:骨
      • ジョンが尻尾を追って遊んでいる。目が回ってしまうよ、言おうとして口が凍った。自分の手で壊した機械を想い続けるキースさんはジョンと同じだ、くるくるといつまでも同じ場所を回っている。永遠につかまらないのだと知るのが彼の幸せか不幸か、僕にはまだ、わからない。


        ■お題:くるくる
      • 回転寿司にキースさんを連れてきた。やたらワクワクしていた彼は、入店するなり目に見えてしょんぼりしてしまった。「イワンくん…お寿司が回ってない…」「え、回ってますよ」「違うんだ私の思っていたものとは!こう、くるくると回るお寿司が見たかったんだよ!」無茶な。


        ■お題:くるくる
      • 「ど、どうしようバーナビーくん、折紙君のことを考えると鼓動が激しくなって爆発してしまいそうなんだ、これはなにかの病気だろうか、きみは頭がいいからなにか知らないかい!?」「ハァ……リア充爆発しろ」「ええっ!やっぱり私は爆発してしまうのかい!?」


        ■お題:爆発
      • 「あいつったら根暗でオタクで最下位常連で、それでも好きなのよねスカイハイ?」「それは違うよ、ブルーローズ君」「え」「彼は思慮深くて物知りで、ポイントにとらわれない真のヒーローで、そしてとても優しいんだ。『それでも』なんて言う箇所、どこにもないよ!」


        ■お題:それでも
      • あの人の一番はスカイハイだ。ヒーローでいることだ。だからあの人は僕を愛してはいけない。優しいあの人は、僕を一番に出来ないことに傷ついてしまうから。ねえキースさん、いつか貴方がヒーローをやめて、それでもまだ僕を愛してくれてたら、そのときは話を聞いてあげる。


        ■お題:それでも
      • 「スカイハイ」、天高く。空を自在に飛ぶあのひとに、なんて似合いの名だろうと思っていた。けれど彼の「秘密」を知って、その名に込められた意志をも知る。スカイハイ――それは彼の、そして彼に関わるひとびとの祈りであり、決意であるのだろう。


        ■お題:とぶ
      • ジョンはドアノブをじいっと見上げる。主人の部屋とジョンを隔てるこの板についたまるいものが動けば、主人が出てきてジョンを構ってくれるのだ。ジョンのとても良い耳には、主人とそのつがいの、押さえた息づかいが届いている。ドアノブが回るまで、まだまだかかりそうだ。


        ■お題:ドアノブ
      • 遺書を書いたよと彼は言った。「私は身寄りがないからね、毎年書いているんだ」そして内緒話のように「初めて遺書に君の名をいれた!お金は殆ど寄付するけど、この家とジョンは君に。…もらってくれるよね?」それは私人としての彼の全て。涙を堪え頷けば、彼は嬉しげに笑った。


        ■お題:遺産
      • ジェイク事件のイメージ払拭のためポセイドンラインが制作した新PV。青空を飛ぶスカイハイに、空を駆け上がった白い天馬が寄り添う。神々しい、スカイハイの背にも翼が見えると好評で、トレセンでも話題になった。「いやー翼を動かすのが大変で…」「アンタなのあれ!?」


        ■お題:かける
      • 画面に表示される選択肢、バッドエンド回避のルートなんて攻略サイトを見ずともわかる。なのに指は勝手に動いて、金髪碧眼の爽やかな青年に僕の操るキャラクターはこっぴどく振られた。ああ、なんて自虐的。現実の僕は、間違った選択肢にすら一歩も進めやしないのに。


        ■お題:バッドエンド
      • 彼の愛した少女は破壊的アンドロイドで、そうと知らない彼自身に壊された。なんて完膚なきまでのバッドエンド。これがゲームなら暗い画面にエンドロールが流れてやり直しだ。けれど彼は笑う、それでもあれは恋だったよと。そんなあなたに、僕も恋をしている。


        ■お題:バッドエンド
      • 人魚姫の話が好きだと言ったら彼は顔をしかめた。貴方が王子なら僕は幸せに泡になる、そう言ったら泣きそうな顔で僕を抱きしめた。そんな彼は幸福の王子の物語が好きだと言う。きっと王子はスカイハイ、あなたは足元で息絶える燕。ねえほら、それは幸せな結末でしょう。


        ■お題:バッドエンド
      • 折紙サイクロンは死んだ。要救助者を装ったテロリストにダイナマイトを巻いた身体で抱きつかれては自慢のスーツも役に立たない。「折紙君!嘘だ、いやだ、イワン…!!」「だから言ったでしょキースさん、この同人ゲー鬼畜展開満載だって…ああもう、泣かないで、ね?」


        ■お題:バッドエンド
      • 「緊急事態だイワンくん!すぐに来て!」深夜、切羽詰まったキースさんの呼出しに部屋に駆けつけた。「どうしたんですかキースさ…んぐっ」ぎゅうぎゅうと抱きつかれジョンにものしかかられて目を白黒させる。「大変だ、私とジョンが寂しくて死んでしまいそうだったよ!」


        ■お題:緊急事態
      • キースにとって、空中と水中は似ているのだという。ぷかりぷかりと浮いて、じたばたもがけば少し動ける。「水中のほうが抵抗があるから泳ぎやすいかな」「でも空中は呼吸できるからいいですよね」「いやそれが調子に乗って酸欠に…」「えええ(どこまで行ったんだこの人?)」


        ■お題:溺れる
      • 「溺れる者は藁をも掴む、っていうでしょ。弱ってたとこにいたのが僕だっただけで…」「だからあんたじゃなくても良かったって!?それスカイハイバカにしすぎ!」「そうとも。君は自分も私も見くびりすぎだ」どこから聞いていたやら。攫われる後ろ姿にカリーナは手を振った。


        ■お題:溺れる
      • そのNEXTの力は他者の能力の無効化だったという。猫に擬態したまま戻れず困り果てていたという折紙の襟首を、何も知らない通りすがりのスカイハイがひょいとつまみ上げ、そして呪縛は軽々と解けた。まあつまり、魔法を解く鍵は今も昔も王子様のキスだってわけだ!


        ■お題:魔法
      • 「すまない、急な仕事だったんだ、寂しい思いをさせたね…ダーリン、愛しているよ、機嫌をなおしておくれ」スカイハイが携帯を拝むように謝り倒している。なんだあいつ彼女でもできたのか。あ、折紙が倒れた。『ウォン!』て犬かよ!あ、折紙復活した。なんなんだあいつら。


        ■お題:ダーリン
      • (いくべきか、いかざるべきか。それが問題だ、そしてクエスチョンだ!どうすればいいスカイハイ…どうすれば)「あっ、キースさん、カレーのお代わりはなしですよ!カロリーオーバーですからね」「OH…」


        ■お題:葛藤
      • 「最近僕ジュードーの練習してるんです」「あー」「で今日も道場行ってきたところで、頭の中でおさらいしてて…そこに殺気を感じたので…咄嗟に」「咄嗟に」「キュッと」「キュッとな…」沈痛な面持ちの青年の足下には、罪のない悪戯を恋人に仕掛けようとした男が伸びている。


        ■お題:しめる
      • 「失礼、トイレを借りるよ」炬燵から立ち上がったキースが襖に手をかけて固まった。「…」「キースさん?」「……」「…?あ!すいません、今日ちょっと冷えるので閉めてて。開け方はこうです」慌てて引き戸を開けながら、時間の経過に思いを馳せてイワンはむずがゆく笑った。


        ■お題:しめる
      • 「わぁ…!」山を染める薄紅に歓声を上げる。憧れの国の花の季節はどんな写真より美しかった。「きみを抱いて空からこの光景を見たかったな。それだけ残念だ」「貴方と来られただけで十分です」車椅子の隣に膝をつき、年月を語る手を重ねて、新婚夫婦は笑みをかわした。


        ■お題:ハネムーン
      • 病めるときも健やかなるときも。小さな教会で指輪を交換した。彼は車椅子、僕は杖をついて。僕らに残された時間はあとどれだけあるのだろう、思わず呟けば彼は昔から変わらない青空のような瞳を細めて笑う。「ずっと、ずっとさ」そして僕らは永久不滅の愛を誓うキスをした。


        ■お題:永久不滅
      • お疲れ様と言い合って、イベント用の簡易スーツのまま更衣室に戻る。「イワンくん、早くそれ脱いで」「え?はい」もそもそ。「…それも」「はい」もそもそ。「……」キースは頭を抱える。片肌脱ぎのスーツでもアンダースーツでも裸でもエロいんだがどうすればいいスカイハイ。


        ■お題:脱げ
      • 日付が変わる直前、私の腕の中からするりと逃げ出した美しいきみ。まるでシンデレラのようだね。きみの足からガラスの靴は脱げなかったけれど、そんなものなくたってきみがきみだと私はもう気づいてている。ああ、明日、きみになんと声をかけようか。楽しみだよ、折紙くん。


        ■お題:脱げ
      • テーブルの上に乗って、コップに入った水に擬態してみた。シャワーを終えたキースさんは僕の擬態したコップを取り上げて唇を寄せて、それから、ひとつぶ涙をこぼした。「ひどいよ、イワンくん」僕は僕に戻って、彼を抱きしめる。僕に混じったあなたの涙は、どこへ行っただろう。


        ■お題:みず
      • 「貴方みたいになれない」ひっくひっく、しゃくり上げる音。「僕は、貴方みたいに、できなかった!」膝に顔を埋める恋人の髪を撫で、「ならなくていい」キースは静かに言った。「私が風なら、君は水だ。私が樹をなぎ倒すなら、君は樹に命を与える。どちらも大切だ。違うかい」


        ■お題:みず
      • 「だっ、キース~」「あ」「あらん?」「イワン…」「あーあーあ」「…ん、ワインらあぁ-、すーきっ、だ」――とある飲み会における、ちょっと珍しい光景。


        ■お題:回文
      • もし本当に、それにすがるほか生き延びる手段がないというのなら。僕と貴方は力一杯、その板切れをほかの誰かのほうへ押しやるだろう。そうしてきつく抱きしめあって、冷たい海の底へ沈んで行く。その海は貴方の瞳の色だろうか、僕のスーツの色だろうか。


        ■お題:カルネアデス
      • 迫り来る逃げ場のない脅威に、私はなすすべもなく硬直するばかりだった。どうすればいいスカイハイ、どうすれば…「はい、特製セロリサラダです!食べてくれますよね。…それとも僕の作るものなら何だって美味しいと言ってくれたの、嘘だったんですか…?」


        ■お題:まずい
      • 真夜中の工場火災の現場、爆風に飛ばされしたたか打ち付けたマスクのカメラが死んだ。真っ暗な視界の中で響く声。「まっすぐ20メートル、それから左へ跳んで!行けるね!?」「はい!」躊躇いなく暗闇を駆けた、あの人が目になってくれるなら、怖いことなんて何一つない。


        ■お題:見えない
      • 「キースさんったら!僕のネガティブがうつったんじゃないですか?」きみはそう言って笑ったけれども。綺麗なきみ。優しいきみ。格好良いきみ。若木のように眩しいその姿に相応しい男なのかと、私はいつも自問するばかりだ。もう手放せやしないことも、わかっているのだけれど。


        ■お題:感染
      • 「キースさんったら!僕のネガティブがうつったんじゃないですか?」笑い飛ばしながら、僕が心の奥底で歓喜に震えていただなんて知ったら、あなたはどんな顔をするだろうか。偉大なるKOH、いつも太陽のような彼が、自信をなくすのが僕のことだなんて!ああ、なんていう幸せ。


        ■お題:感染
      • かれはサーコートの胸元を開き、継ぎの当たったブリキの胸を切り開いて、おがくずの詰まったちいさな絹のハートを取り出した。「これが、私の心」すりきれて破れそうなそれに震える手を伸ばし―そこで目が覚めた。隣にはあたたかな体温、ああ、ほんものの心臓のあるあなた。


        ■お題:ハート
      • どこに汚れぬ雪などあろう、白さをこらえて雪は降る、己の汚れを覆い隠すべく――そんな詩を読んで、想ったのは貴方のことだった。誰もが信じるスカイハイ。振り仰がれる白く清きひと。それが貴方の苦しみであるのならば、どうか、貴方という雪よ、僕へと降って。


        ■お題:雪
      • 雪の降り積もった朝、まだ薄暗い中ペントハウスの専用庭でジョンと転げまわって楽しんで、びしょ濡れで戻ってきて熱いシャワーを浴びて、それからきりりとスカイハイの顔になって飛び出して行く彼がとても好きだ。一日飛び回るのだろう彼の為に鍋一杯のカレーを作って、僕も出勤。


        ■お題:雪
      • 携帯を見て微笑むキースの背後に、ひょこりとパオリンが顔を出した。「その写真ってスカイハイと折紙さん?」「うん、ツーショットは嫌だと言うから」握りあった手の一方、関節の目立つほうをパオリンは指す。「こっちがスカイハイ?」「いや、イワン君だよ。格好いい手だろう?」


        ■お題:節
      • 大人の雰囲気の高級バー、甘い言葉を囁かれ、指輪をそっと指に滑り込ま――される、途中でそれは引っかかって止まった。「…あれ?」「あ、僕関節太いんですよね…」素に戻った顔を見合わせ、一瞬後に噴きだした。取り繕ったムードなんてくそくらえ、明日は手をつないで買い物に!


        ■お題:節
      • 「ああ、天使がいるね…やはり私は天に召されてしまったのだろうか…」ぼんやりと呟くと泣き腫らした顔の天使に殴られた。とても痛い。ので私はどうやらまだ生きているらしい。「…心配したんですから!」飛び込んできた私だけの天使を胸に抱き、私は精一杯の謝罪を繰り返した。


        ■お題:召
      • アルバムはジョンの写真から始まる。暫くして仲間たちとの写真が増え始める、これは皆彼が撮って私にくれたもの。続くのは彼と私の攻防戦の記録、彼をフレームの真ん中に入れようと四苦八苦したものだ。愛するものの詰まったアルバムの最後は勿論、ようやく撮れた彼の笑顔。


        ■お題:懐かしい
      • 『――さあ、ここで登場だ!ポセイドンラインが満を持して送り出した、天空を翔けるニューヒーロー、風の魔術師スカイハーイ!!』あの日見た飛行機雲を、生涯忘れることはないだろう。僕の世界に光が差したその日のことを。


        ■お題:あの日から
      • 街が華やぐこの日が、1年前から私にとっても特別な日になった。贈り主を秘した素敵な花束が私に届いたあの日からね。きみからの贈り物がきみ自身の擬態だったことを、そろそろ私は深読みしてもいいだろうか。今年は私からの贈り物を、どうか楽しみにしていておくれ。


        ■お題:あの日から
      • 誰が生き残るべきかを考えた。候補者にきみはいなかった。スカイハイとしてそれを悔いはしない。だがあの日、私はきみに愛を告げる権利を失った。いや、最初からそんなものはなかったのだ。いつか私がスカイハイでなくなる日が来たら――いや、よそう。その日が来ることはない


        ■お題:あの日
      • 貴方が生きるべきだと思った。貴方に生きて欲しかった。あの日僕は折紙サイクロンで在れたのか、それとも貴方に恋するただのイワン・カレリンだったのか。ただひとつわかっていたのは、あなたは最後までスカイハイだったということ、僕がそんな貴方を愛していること。


        ■お題:あの日
      • 額、瞼、眉、鼻梁、唇、顎、喉、鎖骨、胸郭、肋、鳩尾、臍…確かめるようにゆっくりと、彼の指が僕の輪郭をたどる。触れられたところから熱が注ぎ込まれていくようで、僕は震える息を吐く。ねえ、どうかどうか覚えていて。それが僕の、まっさらなイワン・カレリンのかたち。


        ■お題:指先
      • 彼の輪郭を辿る。指先に覚えこませるように、ゆっくりと、何度も。これがまっさらなきみのかたち。きみがどんな姿になってもこの愛は変わらないけれど、きみがきみのかたちを忘れてしまっても、私が覚えているよ、いつだって教えてあげる。だから安心しておくれ、愛しいひとよ。


        ■お題:指先
      • 私が眠っていると思っていたのだろう。彼の指先が、ほんのわずか、散り落ちる花弁のようにかすかに、私の頬に触れて去って行った。能力のせいで他者に触れることを極端に怖がる彼が、とうとう、自分から!ああいけない、浮かれすぎて本当にぷかぷか浮いてしまいそうだ。


        ■お題:指先
      • 目も見えず音も聞こえない。状況からあのNEXTの能力だろう、推測はできても世界から切り離されたような孤立感に苛まれる。ふと手のひらに触れるぬくもり、かさついた指先、ゆっくりとメッセージを伝えるそれを縋るように握った。見えなくても間違えないよ、これは君の手。


        ■お題:指先
      • きみの白い首筋。この場所を切り裂けば熱い血潮が吹き出すと、私はもう知識でなく知ってしまっている。スカイハイとして見る誰かのそれは胸が痛むばかりだというのに、吸血鬼のようにきみのそこに牙を突き立て、きみの血にまみれる想像はどうしてこうも甘美なのだろう。


        ■お題:キバ
      • 「新しい毛布を買ってね、とても手触りが良いんだ」というわけで毛布を触りにお邪魔する。「わあ、本当にふわふわ」「うん、しかしこれを堪能するには一晩寝てみるのが一番だと思うのだけど」「…じゃあ、お言葉に甘えて」ねえ、そろそろ、口実使わずに誘ってくれませんか。


        ■お題:ふわふわ
      • キースさんは珍しく酔っている。「なんだかふわふわするよ…つかまってていいかい」ソファに丸くなって、僕の腰に抱きついて。「きみが私の肋骨からできていたらいいのに。ここがエデンで、世界に私ときみの二人きりなら」ねえ、今、なんて?ああ、僕までふわふわしてきた。


        ■お題:ふわふわ
      • 貴方に憧れた。能力の強さに、ヒーローらしい振る舞いに、ポイントより人命を優先する清廉さに、自信に溢れた物腰に。貴方はいつだって天のてっぺんにいる北極星みたいだった。だけど貴方は人間で、悩み苦しみ抱えてて。貴方の苦悩を知った日に、憧れが恋に変わる音を聞いた。


        ■お題:憧れ
      • 「…スカイハイさんは、僕の、憧れのヒーローです」ありがとう、嬉しいよ。だがそれは私の言葉への答えではないよね。きみに愛を告げたのはヒーローのスカイハイじゃない。キース・グッドマン、きみに恋する哀れな男だ。Noを聞く覚悟はできている、どうか君の口から、断罪を


        ■お題:憧れ
      • 彼は僕の憧れの人だった。自分もヒーローになって、素顔を知って、憧れはどんどん強くなって。目が貴方を追うのも、頬が熱くなるのも、かけられた言葉に舞い上がるのも、その言葉で全部説明がついていたのに。ああ、僕を愛しているなんて言わないで。貴方に恋するのが怖いんです


        ■お題:憧れ
      • 手をつないで散歩だとか、大きなパフェを二人で食べるとか。私が抱いていたささやかな憧れは、ことごとくイワンくんに却下されてしまうんだ。擬態でならって言うけど、私はきみとしたいんだよ!仕方ないね、じゃあ毎日「お帰り」を言って?ねえ、これなら誰も見ていないだろう?


        ■お題:憧れ
      • ああっ違うんだ!いや、たしかに愛する人にお帰りを言って貰うのも憧れだったけれども!こんなふうに結婚が決まる予定じゃなかったんだ、プロポーズにだって色々理想があったんだよ!?給料3ヶ月分の指輪に、跪いて捧げる花束に、「じゃあ結婚やめます?」「それはいやだ!」


        ■お題:憧れ
      • 「よく見上げているけれど、空が好きなのかい」問われて頷いてしまったのは僕の見栄。僕はただ、そこにあなたを探していただけ。空なんて本当は大嫌いだ、だってそこにはスカイハイがいて、あなたをさらって行ってしまう。あなたの翼を愛して、憎んで、今日も僕は空を見上げる。


        ■お題:そら
      • ふらり入った文具屋はワクワクの宝庫だった。懐かしいもの、使ってみたいもの、用途不明だけど面白いもの。ふと目を細め笑ったキースさんが取り上げたのは空色のクレヨン。「はじめて親にねだったんだよ」買い物袋を抱え帰宅した僕らは、大きな画用紙いっぱいに空の絵を描いた。


        ■お題:そら
      • 「ねえ、イワンくん。どうして、きみに会えない日には悲しくなってしまうんだろう。どうして、きみに逢えると心が弾むんだろう。どうして、きみが女の子たちと話していると胸がむずむずするんだろう。どうして、」たまらずに言い募る唇に口づけた。どうしてかって、そんなの


        ■お題:なぜなら
      • ある日から急に折紙の姿勢が良くなった。理由は程なく知れた、襟足の生え際すれすれにいつも付けられている赤いしるし。「人に見られたくなければ顔を上げておいで、ってね」師であり恋人である男は悪戯っぽく笑う。「つって、ただの虫除けじゃねえの?」「勿論それもあるとも!」


        ■お題:虫
      • 昼飯に誘ったスカイハイが、すまないがと満面の笑みで取り出した重箱には色とりどりのおかず。「毎日折紙君が作ってくれるんだ!」後日折紙に言ってみた。「アレ大変じゃねえの毎日」「やだなぁタイガーさん、虫除けに決まってるじゃないですか」にっこり笑ったその顔が怖ええよ。


        ■お題:虫
      • 「スカイハイさん、これから折紙先輩のお宅へ?トレーニング後だとはいえ汗臭いのは良くないですよ、僕の制汗スプレー使って下さい」「ありが…ッ、ゲホゲホッ」「バニーそれ虫除けスプレー」「ああすみません本音が」「だがまだ悪い虫にもなれていない私…とても悲しい」「え」


        ■お題:虫
      • 「ふふ、口でなんと言おうと体は正直ですよね…いいんですよ、たまにはスカイハイじゃない、ただのキースになっても。欲望に素直になればいいんです、ねえ、もう欲しくてたまらないんでしょう…?」「く…」「ほらまたグーって鳴った。明日ヘルシーにしますからお代わりどうぞ」


        ■お題:虫
      • 「…僕、自分の枕じゃないとよく眠れなくて」この後泊まりに来ないかい、とようやく口に出した、お付き合い一ヶ月目のデートにて。蚊の鳴くような声で言われて落胆する寸前、必死な紫の瞳と視線が合った。「なのでその…取りに寄ってもいいですか」「!!勿論そしてオフコース!」


        ■お題:枕
      • キースさんは僕に約束をくれない。守れないかもしれない約束をしたくないんだと、全てをスカイハイに捧げると決めた人は悲しげに笑う。なにもくれない、その事実こそが、僕だけが特別なのだと言っているようで、だから僕はとても幸せなのだ。


        ■お題:まもる
      • カリーナとパオリンはお泊まり会だとはしゃいで帰っていった。潰れかけのバーナビーを抱えて虎轍が去り、ネイサンとアントニオは行きつけのバーへ。「…皆さん帰っちゃいましたね」「残り物同士うちでゆっくりしようか」両片思いの当人たちだけが、周囲の気遣いにまだ気づかない。


        ■お題:残
      • 私からスカイハイを取ったらなにも残らないと思っていた。スカイハイとともに死ねたらそれで幸せとまで思っていた。それでもその日はやってくる。スカイハイに別れを告げて、振り向いたら、――ああ、きみがいた。


        ■お題:残
      • お客様のプライバシーには立ち入らないのが我々ホテルマンの勤めです。ええ、たとえ、上空から舞い降りた非常に特徴のある口調の男性が路上の猫をOで始まる名で呼び抱き上げたら猫が綺麗な青年の姿になって、男性をSで始まる名で呼んで抱き合った…なんてことがあってもね!


        ■お題:ホテル
      • お風呂はまあ自慢できるけど、夕食は質素だし、ふかふかベッドじゃなくて畳の上の布団だし、朝だって米と味噌汁と鮭くらいで、低血圧だから朝は愛想悪いし…「最高さ、どんな高級ホテルよりくつろげるよ」…はい、旅館カレリンはミスタ・グッドマン専用です。いつでもどうぞ。


        ■お題:ホテル
      • 「イワンくん困ったよ、シングルもツインも満室だそうなんだ…ダ、ダブルの部屋なら取れたんだけど、あの、ええと」全くキースさんたら、壊滅的に嘘が下手なんだから!噴き出すのを必死でこらえて、貴方さえ良ければと僕は頷く。ええ本当に、貴方さえ良ければ僕はいつだって!


        ■お題:ホテル
      • 今まで誰ともこんなことしたことはないんです。そう言うとキースさんは嬉しそうな顔をするけど。求められて、嫌じゃないから応じて、慣らされて、いつしか自分からも求めるようになって。何もかもそう。そんな僕がちゃんと貴方を愛せているのか、今も僕にはわからないままだ。


        ■お題:今まで
      • 「今まで、ありがとうございました」深々と下げられた淡い色の頭が震えている。「…折紙くん」「いえ」顔をあげた彼は苦しげに私を見つめる。「今日からは、イワン、です。…そう、呼んでくださいますか」「呼ばせて、くれるのかい。これからもきみと、いても」彼の、答えはー


        ■お題:今まで
      • 「イワン!」揺すられ目を覚ます。「魘されていたよ、どうしたんだい」「幸せな、夢を…」そこまで言って絶句した。涙が溢れる。夢の中であの事件はなく、友はヒーローになり、僕はその勇姿を称える市民。あれだけ願ったことが夢と知って安心した僕は、まだ君の友だろうか


        ■お題:ゆめのあと
      • 「白バラの花言葉はさ」隣にすとん、と座りながら、パオリンが歌うように言った。「尊敬、純潔。あと、”私はあなたに相応しい”」こちらを向いて、ニッと笑う。「スカイハイのことだから、とか思ってるでしょ。でも買うまえにボクに聞きに来たよ。ね、覚悟決めなよ、折紙さん?」


        ■お題:花
      • 突然に足元を強烈に揺るがした衝撃に、立っていられず目の前の彼にしがみついた。「折紙くん、折紙くん大変だ、地震が」「えっ、地震ですか!?どこで!?」鳴らないPDAに目を走らせながら「スカイハイさん?」問い返すきみが震源で、揺らいだのは私だと、ようやく気づいた。


        ■お題:ゆれ
      • 「春眠不覺暁、處處聞啼鳥」寝坊の言い訳に故事成語を持ち出した虎轍に、もとは母国の詩だとパオリンが暗唱する。「あちこちで鳥の声が聞こえる、昨夜は雨風が強くて、花はどれだけ落ちたろうって続くの」春の夜に花を散らした風使いは、寝台で眠る恋人を思い出してふと笑った。


        ■お題:春眠
      • 「春眠暁を覚えずと…」ムニャムニャときみが呟く。先日までは季節の変わり目で、その前は冬の寒さだったね。夏になれば寝苦しくて睡眠不足、秋はようやく布団が気持ち良い季節が来たから。1年きみの言い訳を聞いたなぁと感慨にふけりながら、私は今朝もきみを起こしにかかる。


        ■お題:春眠
      • 「ハルノヨノユメバカリナル…」初めて寝室に誘った日、彼は呪文のように呟いて、意を決したように私の手を取った。そして数年。「ナコソオシケレで断られなくて良かったよ」ふと思い出して笑う。「夢じゃなくて良かったです」腕枕に頭を預けた彼がくすぐったそうに笑い返した。


        ■お題:春眠
      • ひどい喧嘩の翌日、イワンくんは能面を被ったまま私を迎えた。そのまま、一言もなく私の謝罪に彼は耳を傾ける。「…僕こそごめんなさい」かすれた声、面を外せば酷く泣き腫らした顔で、見ないでと目を逸らすきみ。私にだけは心を偽る擬態をしない約束を守ってくれて、ありがとう。


        ■お題:面
      • 「しからばご覧に入れよう。じゃーん!スカイハイファンクラブプレミアムカード、会員ナンバー十番台でござる!」『ヒーローのお宝拝見』、歪みないスカイハイぶりに和んだ世間は数分後に沸騰した。なぜなら「宝物かい?折紙君のファンクラブ会員証だよ、番号が一桁なんだ」


        ■お題:ばんだい
      • 「おっ、折紙くん!女神像の上から紐なしバンジーなんて危険すぎるよ命は大事にしておくれ!」4月1日。ブログの他愛ない嘘を真に受けて涙目で縋り付く憧れのKOHに、なんだこのひと可愛いすぎる!と衝撃を受けたのが、イワン・カレリンの長い長い恋の始まりでありました。


        ■お題:嘘つき
      • オウム返ししかできなくさせるNEXT”エコー”の被害者はイワンだった。卑劣と知りつつキースは誘惑に負けた。愛想を尽かされていい、彼の声で聞きたい。「―愛してる」「…あいしてる」望んだ言葉に顔を歪めたキースの唇に、重なる、あたたかなもの。「あいして、る」


        ■お題:エコー
      • 僕はこれから一世一代の嘘をつく。そしてその嘘を貫き通すと誓おう。「貴方の気持ちは嬉しいです。でも僕は、貴方の恋人にはなれません、スカイハイさん。貴方をそういう意味で愛することはできない」ああ、スカイハイ、僕のヒーロー。貴方はどうか、空にいて。


        ■お題:嘘つき
      • 「僕のアンダースーツ、無駄に高性能なんです」首元に手をやってきみは悪戯っぽく笑う。「切れないし破れないし燃えません。ここのファスナーも、チップがついてて僕かスタッフじゃなきゃ下ろせなくて」ねえ、下ろして欲しい?蠱惑的に問うきみに私は早々に白旗をあげた。


        ■お題:ファスナー
      • 「いくらキースさんでも、これだけは絶対に譲れません!」珍しく折紙がスカイハイ相手にきつい声をだしている。普段は夫唱婦随とばかりにはいはいと従順な奴が一体どうしたのやら…「好きになったのは僕が先です。ずっと、ずーっと先です!絶対に!」ああハイハイ一生やってろ。


        ■お題:さき
      • お先にね、と彼女はきれいに笑って、タイガーさんとは別の男性の腕をとって歩いて行く。彼女と結成した片思い同盟もとうとう解散だ。女子高生が人妻になるほどの時が経っても、僕は未だに不肖の弟子から進めないまま。ねえカリーナ教えてよ、どうしたら一歩が踏み出せるの。


        ■お題:さき
      • 「先っぽだけだから!」…なんてエロ同人のテンプレネタの当事者に、よもや自分がなろうとは。…しかもそれを聞かされる方の立場に置かれるとは、人生何が起きるかわからないものでござる。そんな感慨にふけりつつ、僕は体の力を抜いた。


        ■お題:さき
      • 十年前の自分に擬態して苦笑する。髪で顔を隠し鏡も直視できなかった頃。今ならわかる、確かにそれなりだ。「ちゃんと見て貰っとけば良かったな、劣化したもんなぁ…」「経験を重ねた顔さ。私はどちらも好きだよ」いつのまにか背後にいたキースが、鏡越しに目を合わせ笑った。


        ■お題:れっか
      • 思い返せばシグナルはいくつもあったのだ。増えていた笑顔、いつになく積極的だった君の身体、響いた声、感極まって流した涙。がらんどうの部屋を前に私は笑う。見くびってはいけないよ、イワン。急展開の物語の終わりは抱き合う恋人同士だと、いつだって相場は決まってるのさ。


        ■お題:伏線
      • 関係者のみのパーティ、ドレスコードはダークスーツ。ネクタイの結び目を気にしていたらキースさんに手招かれた。「プレーンは整えにくいからね。君の首回りだとセミウィンザーがおすすめかな」するりと解いて結び直す慣れた手つきとほのかに香るコロンにどきりと胸が鳴った。


        ■お題:むすび
      • まだ少年のような彼の、慣れていないとわかるタイの結び目を解いて直してやった。少し顎を上げ、緊張した面持ちで目を伏せた様子がキスを待つ姿のように見えて、わけもなくどきりと胸が騒ぐ。それをごまかすようにいつになく饒舌になってしまったのは秘密にしておこう。


        ■お題:むすび
      • 気怠い音楽の流れる中、ソファにだらしなく沈んで紫煙をくゆらす人を、あの明朗快活な空のヒーローだとこの街の誰が思うだろう。グラスを手渡しながら顔を寄せ、咥えたままの紙巻きから火を受け取れば目を細める笑み。貴方の深淵にくすぶる火も、僕に移してくれたらいいのに。


        ■お題:しえん
      • 私怨で人を傷つけるなどもってのほかだ。まして強大な力を持つ我々は誰よりも厳しく己を律せねばならない。スカイハイのマスクを被った日、そう心に定めた。だがどうだ、彼の痛々しい姿に私の心は正義でなく憎しみに燃えた。すまないスカイハイ、貴方に泥を塗ったのは私自身だ


        ■お題:しえん
      • すぐ顔に出るのも眠くなりやすいのも本当だけれど、実はそれほど弱くもないんだ。私が寝入っていると思ったきみの小さな呟きも、そっとしてくれたキスだって知っている。ねえ、私たちはいつまで師匠と弟子でいようか。


        ■お題:酔
      • 警察との協力体制を深めたことで、折紙サイクロンの単独潜入任務も増えた。「僕にしかできないことですから」誇らしげに言うきみを引き止める権利などないとわかっている。無事を祈りながら待つ時間のなんと進みの遅いことか。ああ、早くきみの「ただいま」が聞きたいよ!


        ■お題:留守番
      • 長く寄り添ってくれた物言わぬ友を見送った。誰もいない部屋に帰るのは何年ぶりだろう。「おかえりなさい。…ごめんなさい、不法侵入しました」明かりをつけて待っていてくれた優しい弟子に縋りついて泣いたあの日、私は恋に落ちたのだと思う。


        ■お題:留守番
      • 「この街を頼むよ」貴方がそう言ったから、僕は貴方の後を追うのを諦めて、歯を食いしばってヒーローを続けた。もうあの日の貴方の年齢を越えた、KOHにだってなった、ねえもう、留守番は終わりにしていいでしょう?あの日流さなかった涙を流して天に問う。答えは、ない。


        ■お題:留守番
      • (そして)「つかまえた…!」星の街から遠く遠く離れた国で、追い続けた人をようやく見つけた。「もう留守番には飽きました!僕も一緒に行きます!!」糸の切れた凧のように飛んでいったきり戻ってこなかった人に渾身の力でしがみつく。もう、離してなんかやらないんだ


        ■お題:留守番
      • 「留守を頼むよ、ヒーロー」卑怯な言質で彼を縛って私は逃げ出した。未来ある彼のため身を引いたと言えば聞こえはいいが、私はただスカイハイのいない街で活躍する彼を見たくなかっただけだ。こんな醜い男をそれでも追ってきてくれたきみ。ああ、もう、白旗を上げるしかない


        ■お題:留守番
      • 「1時間…いえ30分でいいです。僕だけのキースさんでいて」それが、いつも控えめな彼が望んだ唯一のプレゼント。片時も肌身離さないできたPDAを外し電源を切ってテーブルに載せ、彼と寝室に向かう。おやすみ、スカイハイ。私達のただ一度の我儘を、どうか許しておくれ


        ■お題:おやすみ
      • 対岸も見えぬ大河のように広く深いと思っていた、彼と僕の間に横たわる距離は、キースさんが言うにはほんの小川みたいなものらしい。「さあおいで!」対岸で手を広げて待つあの人の元へ跳ぶために僕は膝をたわめる。暗い河に落ちる幻を振り払って。


        ■お題:たいが
      • 「あの…うまくはできないと思うんですけど、呆れないでくださいね。こっちは初めてなので」「えっ」キースさんのまんまるな目に、えっ僕経験あるって思われてんの!?と焦ったのは束の間。「わ、私より経験豊富なんだね…」え、ちょ、つまりそれって。


        ■お題:どうする?
      • 知りたくなんてなかった事実。彼が恋をした相手は、彼自身が破壊した人形だった。浅ましい嫉妬心で「彼女」に触れたがために、こんな秘密を抱えるなんて。あの人は今日も花束を抱えて、ベンチにひとり。仮初めのこの姿なら彼の愛を得られると、僕の耳元で悪魔が囁いた。


        ■お題:どうする?
      • とても埋まらないと思っていた深い溝に、いつのまにか貴方は橋を渡して、おいでと手を振り呼んでいる。それでも尻込みする僕の脳裏によぎった日本の昔話。「このはしわたるべからず」ああそうか、なら真ん中を行けばいい。そして貴方との恋という橋を、僕はそうっと渡り始めた。


        ■お題:はし
      • 気づいたらあの人を目で追うようになっていた。だからって「スカイハイのこと好きでしょ」何てこと言うんだよカリーナ!「まさか!この前僕やばかったじゃん、そこに颯爽と来てくれたからさ…吊り橋効果だよこんなの」「あのねえ、私もいたわよ、てか実質助けたの私よ?」…え?


        ■お題:はし
      • 後援会への挨拶が今日のお仕事。僕なんかを支援して下さる、ありがた~い方々だ。「温かなご支援、深く感謝申し上げまする…」深々垂れた頭を上げてぎょっとした。拍手する人々の中、にこにこ笑う見慣れた顔!「だってファンクラブ入っちゃ駄目ってきみが」もっと悪いです!


        ■お題:こうえん
      • 約束の時間より少し早めに着いてしまった。インタホンを押しても反応がなく、耳を澄ませば掃除機の音。縁側にまわれば、掃除機をかけながらきみが歌う声が聞こえてきた。「スカイハイ、スカイハイスカイハイ♪」ご機嫌な歌声に、私は二重に自惚れてもいいんだよね、ダーリン?


        ■お題:掃除機
      • 僕はね、掃除機なんですよ。ほらCMでもあるでしょうサイクロン掃除機。吸引力が変わらないただひとつの、って。ね、だから大丈夫。掃除機だから。吸引力、変わらないから。だから僕に汚いもの全部見せて。全部飲み込むから。それでも変わらないから。……ね、キースさん。


        ■お題:掃除機
      • ベッドで女性にお相手を願う時間はその人を愛する男として在るのが、彼女達に対する私なりの誠意だった。だがある日、一人の女性が身繕いをしながら私の鼻をつまんで笑ったんだ。「最中に名前を呼ぶくらい欲しい相手なら、当たって砕けてきなさいな、ぼうや」


        ■お題:ある時に愛していた女
      • 「ライナスの毛布っていうのかな。ないと落ち着かなくて」古ぼけたヒーロー人形を抱いてきみは照れ笑う。それがスカイハイでないことに私は安堵するべきか落胆すべきか――まあデビュー時期的に有り得ないのだけれどね。さてダーリン、私もきみの毛布に立候補させてくれるかい?


        ■お題:毛布
      • 「下にカフェができたらしいね?ランチでもどうかな」さらりと、何気なく差し出された言葉。でも僕は知ってる。あなたの毎食のメニューは厳密に管理されていること。少しでも時間の空きがあれば帰宅してジョンと食事を摂っていること。…僕があなたの、特別だということ。


        ■お題:ランチ
      • 遠方の仕事で、朝早く起きられるかちょっと不安。そんな話をしたら、起きている時間だからモーニングコールしてあげようかってキースさんが。朝一番に声を聞けるのは嬉しいしと甘えたんだけど…合い鍵で入ってきて、耳元で名前呼んで起こすなんて、聞いてませんよ!


        ■お題:モーニングコール
      • 古道具屋で買った古伊万里のレプリカを床の間に据えた。落ち着きのある色遣いが日本らしくて、我ながらなかなかいい買い物をした…と思ったのだけど「あれ、ここにあった壺は?」「片付けました」「えっ、物入れにちょうど良かったのに」「あんたがそうやって使うからだー!」


        ■お題:壺
      • スカイハイさんが格好良かった、スカイハイさんがこう言ってた、スカイハイさんがスカイハイさんがスカイハイさんが。仲良くなってからの折紙のメールの1/3はそれ。挙句にスカイハイに折紙との仲を邪推されて、ムカつくからメール全部転送してやった。爆発しろリア充!


        ■お題:メール
      • フジヤマの写真を見た。雪冠を抱き、ひらけた大地にひとつきり、堂々と裾野を広げるうつくしい霊峰。孤高の高み。その姿にあのひとが重なるのは、背景が真っ青な青空だったからだろうか。思い立ってブログでフジヤマを褒めちぎることにした。僕だけしか知らない公開ラブレター。


        ■お題:ふじ
      • 暑くなってきたし、私もいい年だからサッパリさせたほうがいいかなと、それくらいのつもりだったんだ。「しょりしょりでござる~」いやまさか刈り上げた後頭部がそれほど君のお気に召すとはね。喜んでくれるのは嬉しいが、そろそろ別のところにも触れてくれないかい


        ■お題:嬉しい誤算
      • 僕らヒーローの使命は市民を守ること、そして市民を楽しませること。スカイハイさんはいつもそう言う。ええ、肝に銘じています。けれどそのために自分をすり減らすあなただって、この街の市民のひとりじゃないんですか。だから僕が、あなたを守るヒーローになる。


        ■お題:SB市民
      • 先ごろ発売されたヒーロー鉛筆。何種類かあるセット品のうちひとつは、ヒーローそれぞれに異なる硬度が割り当てられている。最も硬い2Hには当然のごとくロックバイソン。そして「私はHだよ!Hなんだ私は!」「大声で連呼するのやめて下さいキースさん…」「?」


        ■お題:鉛筆
      • 死んだNEXTの残した銃。最愛の相手を撃たずにいられない呪いのかかったそれの銃口が私に向けられ、きみの震える指がトリガーにかかったとき、私の胸は薄暗い歓喜に震えた。ああ、なんてエゴイストだ、罪を抱えるきみを思いやりもせず!さあどうか引き金を、私のヒーロー


        ■お題:トリガー
      • キースが空を飛べなくなってもう十数年。第二の人生も充実しているさと笑うけれど、今でもふと青く晴れた空を見上げて、彼は懐かしげに目を細める。いつか彼が還る場所はあそこなのだろう。何も言えずただ彼の手を握る僕を振り向いて、今はここが私の故郷だよと、彼は笑った。


        ■お題:郷愁
      • もう半世紀近く共にいるこの人と、セックスどころかキスもしていないと打ち明ければ誰もが驚くのだろう。それでも僕らにはそれが自然だった。…そう思っていた。「愛しているよ、永遠に」病院のベッドの上で、最初で最後のキスをして、彼は静かにいってしまった。


        ■お題:友情以上、愛情未満
      • 折紙君とのロケ取材の仕事。突然の悪天候から急遽現地宿泊となった。ツインの部屋がギリギリ人数分という状況で、顔バレ厳禁の私と彼が同室なのはやむなき仕儀だろう。…が!ああ神よ、これは10も年下の彼に不埒な想いを抱く私への罰でしょうか。今夜は眠れそうにない!


        ■お題:ツイン
      • ふとしたきっかけで耳にしたジャパニーズソング。「これでござる…!」そして翌日。「何キョロキョロしてんだスカイハイ」「折紙君が見当たらないんだ、さっきそこにいたと思ったのに」しょんぼりするキングの腰には、にょろりとしっぽ。好き、の代わりに、しっぽが揺れた。


        ■お題:しっぽ
      • 大事に温めていれば、もしかしたら孵ったのかもしれない僕らの恋を、僕はぐしゃりと握りつぶした。胸が苦しい、だけど後悔なんてしない。だって彼は、ヒーローに命を捧げたあのひとは、僕と恋をしたらきっと壊れてしまう。…願わくばずっと未来、笑って話せる日が来ますように


        ■お題:孵化
      • 掌で転がしていたダイスをつまみ上げる手にふり仰ぐ。「まるで君のようだね。何が出るかはわからない、けれどどれも、本当は君以外の何物でもない。…ミステリアス過ぎて、丸ごと手にいれてしまいたくなる」ふわりと宙に浮かばせたダイスを、風の魔術師はパシリと掴み取り笑った。


        ■お題:賽
      • 「僕は最低な男なんです。応援するふりして、あなたの恋が実らなければいいのにって願ってた。馬鹿です。本当に馬鹿だ。人を呪わば穴二つって、本当ですね…」少年の頃のように蹲って泣く彼を、私はそっと抱きしめて頬ずりをした。ああ、私たちはなんて遠回りをしたのだろうね。


        ■お題:穴
      • 盛大に恥を晒して「穴があったら入りたいでござる…!」と呻いてから数日後、キラキラした目のキースさんに「穴を用意したよ!」と言われた。マジで床に穴が出来てた。それからたまに潜らせて貰ってるけど、キースさんとジョンも楽しそうに入ってくるから実はあんまり意味が無い。


        ■お題:穴
      • 折紙君といると楽しい。折紙君が笑うと嬉しい。折紙君がいないと寂しい。折紙君に師と慕われると誇らしい。横顔を美しいと思い、拗ねて尖った唇を可愛らしいと思う。ようやく気がついたんだ、これは愛しいという気持ち。いつのまにか私は、恋に落ちていたらしい。


        ■お題:○○しい
      • MVPおめでとうございますと差し出されたのは紫の薔薇の花束だった。「キッドに聞いて、花言葉が尊敬とか王座とかだって…スカイハイさんの色ですし…」そう言うけれど、私には紫は君の瞳の色だし、バラ自体が愛を意味するのも知ってるよ。ねえ、私はどこまで期待していいの?


        ■お題:はな
      • 「好みのタイプかい?そうだね、料理上手で、控えめで…」インタビューが終わってからふと首をひねった。あの手の質問は苦手なんだが、今日はやけに答えやすかったのはなぜだろう?…まあいいか、早く帰ろう。今晩は私の可愛いお弟子さんがカレーを作ってくれる約束だからね!


        ■お題:このみ
      • 「甘くていい香りだね」「アラ、飲んでみる?」手渡された酒杯、ほんのひと口でキースは盛大に噎せた。「ず…いぶん、キツ、いね…!」ネイサンはクックッと笑ってボトルを掲げる。「バニラウォッカ。40度よ」涙目のKOHは、まるで恋みたいだ、と呟いた。


        ■お題:バニラ
      • 闇取引なんてヒーローにあるまじき所業だ。分かっている。けれど、ああ、どうしても欲しいんだ、魂を悪魔に売り飛ばしてでも…!「ぽちっとn」「いけないよイワン君定価以上のオークションなんて!グッズが欲しいなら私のコネでいくらでも」「それはなんか違うのでござる~!」


        ■お題:やみ
      • 「私達が守るのは市民の命だけじゃない。彼らの夢や希望をも守ってこそのヒーローだろう?」ええ、わかっていますスカイハイ。だけど僕らが生きる場所は夢の中じゃない、痛みも苦しみもある現実で。仮面を外せば泣いたっていいじゃないですか、ねえ、キースさん。


        ■お題:夢じゃない
      • 腿の付け根の青黒い痣を見咎めてキースが眉を寄せた。「どうしたんだい、これは?」「あ、の、今日ずっと信じられなくて…夢じゃないかって…」しどろもどろに白状すれば、仕方のない子だとイワンを組み敷いた男は笑う。「痛みも、跡も、これから私が山程あげるのに」


        ■お題:夢じゃない
      • 雨が降ると僕は傘を買う。今日選んだのは晴天みたいな真っ青の傘。終業後、待ち合わせ場所に来たキースさんはやっぱりずぶ濡れだ。「今日はどうしたんです?」「公園の木で雨宿りしている子がいて…」朝持参した傘を絶対持ち帰れない優しい人に、僕は笑って青い傘をさしかけた。


        ■お題:かさ
      • 「『たまにはスーツ姿で恋人をドキッとさせちゃおう!』という記事を読んでね、デートにスーツを着ていってみたんだ、そうしたらひどく怒られてしまった…」「心臓止まりかけましたよ待合せ場所にスカイハイが来て名前呼ばれるとかああやっぱりネットニュースになってる…!」


        ■お題:スーツ
      • 『ジョン殿は誘拐した。身代金は貴殿の身柄なり。24時までに下記住所まで参られよ。本件の他言及びPDAを除く連絡機器の持参は禁ず。従わぬ場合愛犬は貴殿の手に戻らぬと心得よ』激務続きのある日届いた脅迫状。きっと社への連絡も完璧だ、ああ、なんて素敵な私の恋人!


        ■お題:ゆうかい
      • 同性だから、歳が違いすぎるから、ヒーローだから。高く高く築いたはずの心のダムだったのに、毎日流れ込む「好き」が多すぎて、今にも溢れてしまいそうだ。濁流がきみを飲み込んでしまいやしないかと恐れながら、近づくことがやめられない。ああ、恋とはなんと度し難いものか!


        ■お題:ダム
      • ぺしゃんこに濡れた金髪を柔らかなタオルでくるんで、僕の顔を胸に抱き込む彼に腕をまわす。肩に落ちる雫が、いつもの倍の時間をかけて浴びたシャワーの名残だけじゃないことは知らぬ振りで。いつか、こんなごまかしもなく貴方を泣かせてあげられる大人になれたらいいのに。


        ■お題:滴る
      • 近頃、折紙くんは変わった。表情が明るくなり、皆とも怖じずに会話を交わすようになったし、見切れ以外の仕事にも積極的に取り組んでいる。喜ばしいことだ。…少しばかり寂しく感じるのは、雛鳥の巣立ちを見送る親鳥に似た気持ちなのだろう。――そうだろう、スカイハイ?


        ■お題:自己暗示
      • スカイハイは正義のヒーローだ。スカイハイはいつでも公明正大だ。スカイハイは嘘をつかない。スカイハイは人を憎まない。スカイハイは人を羨まない。スカイハイは「キースさん」…ああ、きみの声はなんとたやすく、私にかかった魔法を解いてしまうのか。


        ■お題:自己暗示
      • 近くで過ごすようになって気づいたことがある。迷ったとき、あのひとは自分を「スカイハイ」と呼ぶのだ。その迷いがヒーローとしての職務に直接関係ないときでさえも。だから僕は決めた、素顔の彼を、僕だけはけしてスカイハイと呼ぶまいと。


        ■お題:自己暗示
      • 「いい子だ!そしてグッボーイ!」(ああっそんなとこ撫でないでくださっ…ちょっ…、た、耐えろ耐えるんだ僕、スカイハイさんにとって今僕はジョン…僕はジョン…僕はジョ)「ふふふ、折紙くんだと思うとなんだか照れるね?」(ひぃ、勘弁してくだせぇ!)


        ■お題:自己暗示
      • 擬態中、彼本来の肉体は仮死状態となり時が止まるのだという。あれから半世紀、老いた私に寄り添う彼は未だ男盛りの美しさを失わないまま。「逆じゃなくて良かった。貴方は寂しがりやだから」全て受け入れ尚ヒーローとして立ち、彼は微笑む。ああ、愛しているよ、私のヒーロー


        ■お題:半世紀
      • 私達はどうも互いに謝りすぎるきらいがある。私はイワンくんにその傾向がより強いと思うのだが、彼に言わせると私もたいがいらしい。そこで1回謝ったら5S$の罰金制にしてみた。…いいんだけどねイワンくん、情事中の謝罪を正確にカウントされるのは少し悲しいそして悲しい…


        ■お題:謝罪
      • イワンくんの謝り癖がなおらないから、謝るごとにベッドでつけるキスマークを増やすよと言ってみた。恥ずかしがり屋の彼だから、謝罪の言葉は激減したのだけれど…「ごめんなさいキースさん…ごめんなさい…」潤んだ目でその誘い方は反則じゃないかい。覚悟しておくれ、ダーリン


        ■お題:謝罪
      • 唇になにかが触れて目が覚めた。「ごめんなさい、好きになってごめんなさい、気持ち悪くてごめんなさい…」泣きじゃくるきみに手を伸ばす。違うよ、謝るべきところはそこじゃない。私がこれまでにどれだけきみへの愛を伝えてきたと思う?まだ片想いのつもりでいたなんて、全く!


        ■お題:謝罪
      • ジャスティスタワーの控室にはグッズ展示用の棚があって、全員のフィギュアが並んでいる。ふと出来心で、スカイハイと折紙サイクロンをT&Bのように寄り添わせてみた。クス、と笑い声が聞こえて振り向けば本人!逃げ出した僕を呼び止めた声はどうしてこんなに甘いのだろう


        ■お題:寄り添う
      • イワンの家を会場にした飲み会にて、恋人の家にハッスルした男が言わなくていいことまで暴露した為、家主は自室に絶賛籠城中。「イワンく?ん…」「天の岩戸かぁ?よっしゃ任せとけ。うぉーい折紙、スカイハイが裸踊り始めたぞ?」「まさかそんな」(ガラッ)「何ですって!?」


        ■お題:籠城
      • 「折紙さん、今日は欠伸ばっかりだね?」「んー、スカイハイさんが寝かせてくれなくて…」その一言にトレセンは騒然となった。素っ頓狂な声を上げる我が旧友、目が恐い女子組年長2名、眼鏡の割れた現KOH。しかし俺は知っている、昨夜スカイハイ特番の再放送があったことを


        ■お題:寝不足
      • 「あんなに寝てるのにまだ寝不足らしいんだ、折紙くんは。不思議だと思わないかい」「あんなに寝てないのになんでスカイハイさんは寝不足にならないんですかね。不思議です」「……お二人とも、互いの睡眠時間を把握している件について少々ご説明を」「バニーちゃん目が恐い」


        ■お題:寝不足
    • バディで140字
      • 「僕の目、何色に見えます?」「緑だろ?」「ええ。だから僕の前で美人に鼻の下伸ばさないで、気がないって判ってても不愉快です。なにしろ僕は green-eyed monsterですから」緑の目の魔物、ね。俺の目も緑だったらなって言ったらお前どういう顔するんだろな。


        ■お題:あい
      • 「名前を言うと壊れるものな~んだ?」「なんですかいきなり」「な~んだ?」「…ハァ。答えは『静寂』、でしょう、知ってますよ」「ぶっぶー!」「え?」「正解はバニーちゃんのハンサムフェイスでした~」「僕はバニーじゃない、バーナビーです!」「ほらな!」「ぐっ」


        ■お題:言葉遊び
      • 「名前を言うと壊れるもの」「あ?」「なんですか?」「えっと…静寂?」「ブー」「バニーちゃんのハンサム顔?」「ブブー」「だっ、なんだよ!?」「自分で考えてください」貴方の名を呼ぶたびに、僕の殻が壊れる音が聞こえるんです。悔しいから言わないけど!


        ■お題:言葉遊び
      • 家族になろうかと言われたから、お父さんって呼びましょうか?とふざけて返したら、わりと本気で頭をぶたれた。「楓はやらん!なぁバニー、お前のほんとの父親は一人だけだ。そこ取っ替えなくていい。俺たちはバディって名前の家族になろうや」優しく頭を撫でる手にただ頷いた。


        ■お題:家族
      • 「私、お父さんはもういるの。だから、バーナビーさんのことお父さんとかパパって呼べない」「…はい」「年齢考えたらお兄ちゃんかなって思ったけど」「え?」「でもお父さんの息子になったんじゃないもんね」「あの」「だから、バーナビーって呼んでいい?」「っ…はいっ!」


        ■お題:家族
      • 『バーナビーさんって、ピアノとか優雅に弾いてそうな印象ですよね!」ミーハー記者のコメントに、バニーがバレない程度に嫌そうな顔をした。「僕に呑気に音楽習ってる暇があったとでも思ってるんですかね!」悪態をつきながら俺に猫踏んじゃった習うとこ、嫌いじゃないぜ。


        ■お題:プレイ
      • 言ってみりゃあいつは孵ったばかりのヒヨコだ。ケツに殻をくっつけて、初めて見た存在を親と慕ってどこにでもよちよちついて行く。そしていつか俺から巣立って、誰かとつがいになるのだ。なあ、そうなんだろうバニー。わかってる、だから、それまで見守ることだけ許してくれよ。


        ■お題:から
      • 「コーヒーぎゅ、じゃねえや、カフェラテ?ミルク多めで!それとえっと、」ちらっと後方に軽く視線を流し、男は人好きのする笑みを浮かべる。「エスプレッソひとつ」両手に持って店を出て、相棒に渡すのはミルクたっぷりのほう。甘党な顔出しヒーローは色々大変なのである。


        ■お題:コーヒー
      • 「そういえば貴方、僕の顔ぶちましたね。二度も」「だっ、ありゃお前が!お、思い出してくんねぇし…」「『2度もぶった!親父にもぶたれたことないのに!』」「へ?あー、折紙だな?」「ええ。似てました?」「似てねぇ-!ははは!」回りくどい許しかたに、涙が出るほど笑った。


        ■お題:頬
      • 1+1=∞ (いちたすいちは、むげんだい)


        ■お題:和
      • バニーが俺と楓の名を漢字で書けるようになりたいというので教えてたら、折紙が「これも書けたらきっと凄いって言ってもらえますよ!」といくつか出してきた。半べそで習得した字を後日ドヤ顔で書いてみせたら、楓に「チュウニビョウ…」と可哀想な物を見る目をされたそうな。


        ■お題:憂鬱
      • 「Hi!T&Bの二次創作で何かと不憫な方バーナビーです!さて本日のお題『ルゥィヴァースゥ』ですが―」「『りばーす』だってばバニーちゃん!あ、ども~何かと愛されてる方虎徹です!」「ですから発音が」「rebirth。”復活”。俺らにぴったりだろ、なぁ相棒?」


        ■お題:リバース
      • 初めて俺の家に泊まった翌朝、髭を剃っている俺を見てバニーが目をまるくしたあと、剃ったばかりの鼻をすり寄せて「これだったんですね。懐かしい匂い」と嬉しげに呟いた。親父さんのと同じシェービングフォームだったらしい。違うのに変えようか、どうしようか、悩むところだ。


        ■お題:あわ
      • 「なあ、バニー。おまえのこれからの人生、俺にくれるか」「どうぞ」「ってバニー、そんな簡単にだなぁ」「簡単じゃないですよ。代わりに僕に、あなたのこれからの人生を下さい。…ひきかえにするには重すぎるくらいのものでしょう?それでも?」「だっ!ったりめぇだろ!」


        ■お題:トレード
      • 真剣な目をして自慢の髭を丁寧にあたる虎徹さんの、反らした顎の線の男らしさと、そこに添えられる手のかたちと、どこか懐かしいシェービングフォームの香りがとても好きだ。鏡越しにその様子を堪能しながら、隣に立った僕は歯を磨く。ああ、洗面所の広い部屋にして良かった!


        ■お題:鏡
      • 「で、早速壊すわけね…ハァ。バディ復活したからって、壊し屋まで復活しなくてもいいんだよ」深くため息をついてロイズさんは手で顔を覆う。謝ろうとした僕を虎徹さんが止めた。スーツの肩が震えているのに気付いて、僕は黙って頭を下げた。ごめんなさい、そして、ありがとう。


        ■お題:感動
      • 僕らはたぶん、導火線に火のついた爆弾を投げ合っているようなものだ。ばん、と弾けた爆弾で大やけどを負うのは、果たしてどっちだろう。爆弾の名前を、恋という。


        ■お題:導火線
      • バディを正式に再結成してから初めての出動。久しぶりに乗るダブルチェイサー、虎徹さんの右側でエンジンを吹かす。パズルの正しいピースのように、感覚がぴたりとはまる。世界中のどんな場所よりしっくりくるこの場所、この特権を、手放そうなんて馬鹿なことだったんだ。


        ■お題:right
      • 爆音に満ちた事故現場、大声を張り上げても聞こえるかどうかの距離。通信回線をひらこうとする前に、バニーがバイザーを上げた。眼差しと、手振りひとつ。それだけで伝わる。こちらも目を見せて、サムズアップ。そして俺たちは同時に走り出す。最高だぜ、相棒!


        ■お題:眼差し
      • 「ばか、嘘つき!」三途の川の対岸で友恵が俺を罵っている。ごめんな、俺は最低の裏切り者だ「あの子が好きなくせに!私を言い訳にするんじゃないわよこの臆病者!」え、「虎徹さん!」目覚めるとバニーがぐしゃぐしゃに泣いていた。あれはきっと卑怯な俺の心が見せた幻、でも……


        ■お題:嘘
      • ダンパなんて柄じゃねえ、とメシをパクついてたらバニーに呼ばれた。差し出された手を思わず取ると、有無を言わさずホール中央に連れ出される。あがる黄色い声。「皆さん僕と踊りたがって、一人選ぶわけにも行かないので」いや、だからって男同士でワルツ踊る理由ねぇだろ!?


        ■お題:踊る
      • 朝からご機嫌のバニーにわけを聞いたら嬉しそうな笑み。「僕、小さい頃の記憶が少ないでしょう。でも一つ思い出したんです。子守歌。誰の声かはわからないんですけど、とても優しい歌」そういってハミングしたのは、いつだかうたたねするバニーに俺が歌ってやったものだった。


        ■お題:子守歌
      • 材料も分量も時間もレシピ通りなのに、僕のチャーハンはあと一歩美味しくならない。愚痴ったら、なんだか複雑な顔をした虎徹さんが、翌日手書きのレシピをくれた。適当さに苦労しつつ作ってみたら驚くほど美味。なんてことだ、僕はいつのまにかすっかり洗脳されていたらしい。


        ■お題:レシピ
      • 『それでもいい、好きです』俺は年上で小学生の娘がいて亡妻を未だに愛してて、ずぼらでいい加減で、もうお前と対等な能力ですらない。理由を並べながらも予想してた返答を、お前は軽やかにこえてのけた。「そんなの知ってます、だからいいんです」だっ、俺の負けだよ!


        ■お題:それでも
      • 幼い頃読んだ物語は、王子様と結ばれるハッピーエンドばかり。だけど私の王子様への恋はバッドエンドに終わる。「おめでとうバーナビー!大好きよ!」「ありがとうございます…っ」だって王子様はお姫様だったんだもの!さようなら私の初恋、なんて素敵なバッドエンド!


        ■お題:バッドエンド
      • 火をつけたのは貴方だ。バニーはいつもそう言う。僕はそんなつもりはなかったのにと。でもな、気づいてるかバニー。俺が導火線に火をつけたっていうなら、それが爆発させた「俺への恋情」って爆弾自体は、最初からお前の中にあったんだって、そのセリフが白状してること。


        ■お題:導火線
      • 『僕は多分病気だと思います。心拍数が上がって、手が震えて、たぶん熱も出ています。頭も朦朧としてうまく働きません。自宅で安静にしていれば幾分良いため今日は休みます。感染症だといけませんので』その病気をあいつにうつしたのは俺なので、今から責任取りに行ってきます。


        ■お題:感染
      • 凝った装飾、料理の数々、次々訪れる招待客と山積みのプレゼント。「誕生日パーティはこういうものさ!」キースの発案のそれに、子どもじゃないと怒るかと思ったバニーは終始くすぐったそうに笑ってた。「僕、呼ばれるばかりだったから、憧れで…」ああ、何度だって開いてやる!


        ■お題:憧れ
      • 「はい、書類OK。おや雨だ」呟くとニカッと笑った虎轍が折り畳み傘を手に押しつけて、「いや、」「俺はいーっスから!」入れ違いに入室した相棒に飛びついた。「なーバニー、雨!車乗せてくんね?」「予報は雨でしたよ?仕方のない…」全く、上司をダシにするんじゃないよ。


        ■お題:雨模様
      • 通信も死に絶体絶命、覚悟を決めた瞬間飛び込んできたのは馴染んだライムグリーン。「大丈夫かバニー!」「っ、貴方逆に行った筈じゃ」「虫の知らせっつってな!」「こてつさっ…!」まあ確かに虫の知らせだわな、と斎藤謹製の改良型虫カメラが送る映像を見ながらベンは呟いた。


        ■お題:虫
      • 休暇で来た見知らぬ街、ダブルブッキングに遭い転がり込んだのはいわゆるラブホテル。「あの価格でこの部屋ですか!?」「な、下手なビジホより居心地いいだろ。まーもれなく寝るとこ一緒だけどな!」「僕とダブルベッドで何か問題が?」「ないでーす!」


        ■お題:ホテル ※付き合ってません
      • 「引退の日に告白すっ飛ばしてプロポーズされたんすよ…それまで相棒としか見てなかったんですけど、あーなんだ俺こいつのこと好きなんじゃん、って」二度目の引退直後の婚約発表会見。照れまくるタイガーの激白にシュテルンビルト中に衝撃が走った。「デキてなかったのかよ!」


        ■お題:衝撃
      • 「ふふふ、せんぱーい」膝に懐いてくる図体の大きな後輩をおざなりに撫でてやる。「だいすきですー」「はいはい僕も好きですよ」彼の思い人に動画で送ってやれば光速で駆けつけるんだろうなぁと思いつつしないのは、確実に仕返しが待っているからだ。


        ■お題:友情以上、愛情未満
      • 「ば、バーナビーさん落ち着いて…」「落ち着いていられるかッ!プロポーズするつもりで三つ星レストラン予約して『スーツで来て下さいね』ってお願いしてスタイリッシュに待っていたら出動準備完了のワイルドタイガーがガションガション現れたんだ!」「…ご愁傷様です…」


        ■お題:スーツ
      • 「よっ、水もしたたるいいオトコ!シュテルンビルトの王子様!ヒューヒュー!」「……転びかけて水のボトルをぶちまけて美容院行ったばかりの髪と取材用のスーツを台無しにしたくらいで怒りませんから早くタオルもってきて下さい虎轍さん」「すっげ怒ってるじゃねーかよ…」


        ■お題:したたる
    • アカデミー組で140字
      • 折紙先輩、とバーナビーに呼ばれるのはとても好きだ。他の誰にもしない特別な呼びかけがくすぐったくて恥ずかしくて、嬉しい。嬉しくて、…でも。「ふたり のときは、名前、で…呼んで、欲しいです」切れ切れにねだれば花の綻ぶような笑顔で抱きしめられて「…イワン」耳元で呼ぶ声に血が沸騰しそうだ。


        ■お題:リクエストで兎折
      • 「3人、男、銃器…」点滅する光のメッセージを読み解く。通信が遮断された状況下で、役立つのはアカデミーで学んだ古典的手法だ。了解の返事に愛の囁きを紛れ込ませれば、「真面目にやってくださいヽ(`Д´)ノプンプン」と返事が来てバーナビーは笑い転げた。


        ■お題:光
      • 「トントン、トンツートントン、ツーツーツー、トントントンツー、トン、ツートンツツー、ツーツーツ、トントンツー」「は!?なに?」いきなり謎の呪文を バニーがワンブレスで吐き出した。とたんに折紙が真っ赤な顔を覆ったので、なんとなく合点する。お前ら暗号でいちゃつくな。


        ■お題:音
      • 難しい顔の相棒が小さな紙片とPC画面を見比べながら唸っている。画面には意味不明のアルファベットの羅列。「バニー何やってんの?」「先輩からメールなんですけど、どの暗号使ってるのか解読出来なくて…これヒントだって」相変わらずいちゃつきかたがおかしい奴らだ。


        ■お題:キーワード
      • 起きたら額に「肉」と書かれていた。思慮深さが売りのはずの年下の先輩は存外子どもじみた悪戯が好きだ。全くアカデミー育ちときたら!くふくふ笑う恋人に ため息をついて、バーナビーは宣言する。「わかりました午後のデートこのままで行きましょう」「ごめんなさいやめて!!」


        ■お題:肉
      • 「『あたたいしたていますた』なんじゃこら。また折紙と暗号遊び?」「ええ、この、熊?の絵がヒントらしくて」「…あー。バニー、これたぶん狸だわ」「え?」「だから、『た』ぬき」「……!!」メモをひっつかんで駆けだした相棒の背を見送る。転がされてんなぁ、相棒。


        ■お題:言葉遊び
      • あれから数年、またバーナビーさんとアカデミーを訪問した。空き時間にカフェテリアで一服。美味しくも無いコーヒーも当時のまま。「そういえば、僕が生まれて初めて飲んだコーヒー、これでした」しみじみ呟いた彼に笑いながら僕もと頷く。ささやかな共通点が嬉しかった。


        ■お題:コーヒー
      • 帰りたい ああ帰りたい 帰りたい


        ■お題:575
      • 「先輩、これこないだ共演したときの」「ふおおあの伝説の翼付きハイ、メットオフver…なんと神々しい…!!じゃあ僕からはこれを」「くっ…!なんですかこの虎徹さんの無防備な寝顔は…!」「交換成立でござるな」「お主も悪よのう」「お代官様こそ」「「ふふふふふ」」


        ■お題:トレード
      • 「…よし、とけた!」パソコンとにらめっこしてたバニーがそう叫んでガターン!て席を立って、次の瞬間ボンっ!って真っ赤になって、プルプルプルって震えて、先に行きます!て吠えて、びゅわーん!って走って行っちまった。飽きねえなあ、あいつらの暗号ラブレター。


        ■お題:とける
      • 「先輩、今日も見切れ絶好調でしたね。コツでも?」「え?えっと、車種と運転技術からスカイハイさんがあの交差点で足止めしますよね、ブルーローズが追いついて一人確保、二人目をキッドが追うからあそこかなって」その絵が瞬時に描ける才能の特異さを、このひとは知るべきだ。


        ■お題:絵
      • 顔出しのせいで街を歩くのも大変だと愚痴ったら先輩がアドバイスをくれた。彼の住所で購入したカジュアルな服と、指導のもとに変えた仕草、振る舞い。繁華街を一日歩いても誰も僕とは見破らない、すごい。「隠れるのは得意ですから」という本人はいつものスカジャンなのだけれど。


        ■お題:隠
      • 爆発物はアカデミー卒の二人によって順調に解体されたが、最後で往生した。赤か青、ダミーを切れば即爆発だ。「…折紙先輩、お願いします」「――青」切ったのは赤。爆発音は、ない。「こういうとき僕の勘は必ず外れるんです」「ね」これも信頼だろうかと虎徹は首をひねった。


        ■お題:爆発
      • 折紙とばったり遭遇。どこか悪戯っぽく笑った折紙が「4-18-5、88-2-1、43-21-9」と意味不明な呟きを零せば、真っ赤になったバニーは「先に行ってます!」と脱兎。「…今回は何の暗号?」「本のページと行と単語です」参照せずに通じるお前らが心底怖いです。


        ■お題:そら
    • WKOHで140字
      • バディは解散しないが、ワイルド君は2部、バーナビー君は1部。その決定を聞いたとき、自分の唇が歯を剥き出すように笑うのがわかった。自覚のなかった渇望が勢いよく押し寄せる。ああ、待っていたよ、バーナビー君。さあ、今度こそ全力でキングの座を争おうじゃないか。


        ■お題:うえ
      • 「決着をつけよう、バーナビー君」「ええ。キングの上ですから、エンペラー・オブ・ヒーローですかね?」「帝王か、いい響きだ。さあ行くよ――」「「じゃんけんぽん!あいこでしょ!あいこでしょ!!」」「だっ、どーしてそーなるのお前ら!?おじさん理解出来ねぇ!」


        ■お題:解、帝王
      • 「見たかい昨夜のスポーツニュース!フットボールの」「ええ勿論。サイドを駆け上がるウィングのスピードが素晴らしかったです」「うんうん!ディフェンスの力強いタックルにも見惚れてしまったよ!」「そしてあのスーパーシュートですよ!」「えっ」「え?」


        ■お題:ニュース
      • 彼は頑固だし、僕は神経質なので、僕らは時々喧嘩をする。そんな日は同じ部屋にいても目も合わせずに違うことをしている。(それでも部屋にいるのがお前ららしいと虎徹さんは笑う)室内なのにふわふわと僕の髪が揺れる、目をやると寂しげな背中、僕は吹き出して、仲直り。


        ■お題:風
      • 空を飛んできた彼の手を、地上から跳びあがった僕はつかむ。一瞬しっかりと結びあわされた手、彼が僕を放り投げ、更に背に空気の塊をぶつける。未知の高さ、未知のスピード、それは彼が僕に寄せる信頼の証。歯を食いしばって、僕は目標へと渾身のキックをぶちこんだ。


        ■お題:とぶ
    • KOHサンドで140字
      • お休みなさい、とプラチナブロンドのてっぺんに落とした唇に、ここにキスするの好きですよねと年下の先輩は照れ臭そうに笑う。あなたが師と慕うあの人、二重の意味でライバルである彼からはされないだろう場所だからーーなんて理由は、まだ当分内緒にしておきます。


        ■お題:キス
      • 「先輩の肩から手をどけてくださいスカイハイさん」「おや失敬、いい場所にあるものだからつい。バーナビー君こそ折紙君の頭から顎をどけたらどうかな」「失礼、ちょうど落ち着くのでつい」ドゴッ!「うっ」「わぁっ」「すみませんお二方、『くすぐったかったのでつい』」


        ■お題:つい
      • 「風神ゼピュロスはアポロンの恋人の美少年ヒュアキュントスに横恋慕のあげく、円盤遊びを風で邪魔して少年を殺してしまうんです。貴方は風使い、僕はアポロンのヒーロー。貴方に先輩は渡しません!」「くっ…」「おーいフリスビー白熱したのはわかったから折紙手当てしてやれ~」


        ■お題:風
    • 牛炎牛で140字
      • 胸倉を引き寄せられ、急接近した唇に思わず身体が竦む。「キスも出来ねえ相手のケツを揉むんじゃねえ」苦々しく吐き捨てた男に、尻に触れた手を振り払われた。「…アタシをからかうと火傷するわよ?」「ハ、てめえの炎で俺が灼けるか」挑発的に笑う顔は、悔しいくらいに男前。


        ■お題:キス
      • 「スカイハイは生きるべき命を選ぼうとした。ブルーローズはふたりの勝利に全員の命を預けたわね。キッドと折紙とアタシは、選ぶことから逃げてた。アンタは、自分の命を選びかけていた。…どれが一番卑怯かなんて、誰にも言えやしないわヨ」ああ全く、こいつは時々いい女過ぎて困る。


        ■お題:命
      • 「よう、お疲れ」「ええ。あの子たちだいぶ落ち着いたわ、泣きたいときに泣いちゃえるのは女の子の特権だものね」「お前も」「え?」「特権なんだろ、使っとけよ。尻はやらんが肩は貸す」「やだ馬鹿ね、泣いたらオカマはオンナじゃいられなくなっちゃうわ。…でも、ありがと」


        ■お題:泣く
      • 「なにオマエ、ファイヤーエンブレムとマジなん!?」「お、おう…」「はー、そうかよ…悪食っつーかなんつーか」「ああ!?失礼なヤツだなおい、この色男をつかまえてよ」「いやソッチじゃ…あー、あー、ま、いんじゃね?蓼食う牛も好き好きってな」「なんだよモゥ!」


        ■お題:悪食
      • 『レジェンド、最初にして最高』『ステルスソルジャー、見えざる刃』アカデミーの中庭には引退したヒーローの碑が並ぶ。「焼尽くす炎、ねェ…」「なんだ、不満か?」「だってアタシの炎ときたら、結局あんたのハートひとつ燃やせてないワ」とっくに火事だなど、言ってやるものか。


        ■お題:碑
      • リボンやレースや小花柄、憧れなかったって言ったら嘘ね。でもわかってた、アタシは極楽鳥で、可憐なコマドリにはなれない。アタシの美意識が許さないの。そう話した数日後、お手製の小さなポーチが揃いで3つ並ぶ。「この程度なら使えるだろ」って、ああんやだもういいオトコ!


        ■お題:憧れ
      • 手をつないで公園を散歩して、でかいパフェをシェアして食って、あとは何だ?ま、いいトシしてってちと照れるけどよ、いいだろ、アンタは俺の女で、俺はアンタの男なんだから。からりと笑って手を差し伸べる男に、百戦錬磨のドラァグクイーンの胸は少女のようにときめくばかり。


        ■お題:憧れ
      • 「男らしい」なんて直火焼きでお仕置きよ、「女らしい」って言ってくれたらキスしたげるわ。でも一番キュンとくるのは素敵なお尻の牛ちゃんが「ったく、お前らしいよ」って笑うとき。だけどそんなの、悔しいから言ってやんない!


        ■お題:○○しい
    • 同性CPで140字
      • 「恋人もいないし仕事は忙しいし、魔法使いまっしぐらですよ」「明日は我が身でござる…」「そこで発想を変えてみました!(ドヤァ)相手を女性に限定する理由は無いんです」「な、なるほどー!」僕らはDT卒業作戦を立て突撃した。そして数ヶ月後、卒業したのは別のほうだった。


        ■お題:卒
      • 「―で?」「責任取ってくれるそうです。虎轍さんがうつした、彼にしか治せない病気だから」「どうやって?」「こう―」キス寸前まで唇を寄せられ、身を引くより先に前髪が突風に踊った。青年がククと笑う。「先輩も責任取って貰ったら如何です?あそこで真っ赤な顔してる人に」


        ■お題:感染
  • NL
    • 空シスで140字
      • ぶらりと現れた彼は周囲に人気のないのを確認してアイパッチを外した。おらよ、と渡されたのはホットドッグ。礼を言って頬張るキースの横で、虎徹も無言で咀嚼する。もぐもぐ、ごくり。「…まあ、なんだ、どっかで生きてりゃいいさ、な」「うん。…ありがとう」手渡されたぬくもりに笑みがこぼれた。


        ■お題:ワイルドタイガーとキースが、公園で(一方を)なぐさめる
      • シスに心はない。シスは空っぽだ。ただ与えられたものを記録し処理し実行するだけの機会に過ぎない。シスは空っぽだ。空っぽのシスは、なぜ、このベンチから動けないのだろう。なぜ、青年と会話を繰り返すのだろう。シスにはわからなかった。シスは空っぽだからだ。


        ■お題:から
      • もしあのとき、あれが私に勇気をくれた彼女だと知っていたら、私はあれを破壊できただろうか。真実を知ってから、毎日のように私は問いかけている。スカイハイは、答えない。かれはただ、黙って私を見るばかり。答えを出すのは、本当はいつだって私自身でしかない。


        ■お題:イフ
      • 半世紀前に風の魔術師と呼ばれた男のもとへ、一体のアンドロイドがやってきた。赤いカチューシャの少女の姿をしたそれは、独居の高齢者のケアを担うのだという。男の頬に指を伸ばし、アンドロイドはことりと首を傾ける。「…なぜ?」さらに溢れた涙が、華奢な指先を濡らした。


        ■お題:開発
      • きみは機械だった。機械だったんだねきみは。それでも、きみが心を持たない人形でも、きみが私を救ってくれたことは変わらない。私がきみに、恋をしたことも。ああシス、きみを、きみのうえに私の描いた幻影を、愛している、愛していた。愛して、いたんだ。


        ■お題:それでも
      • ロトワングが秘匿していた両親の研究資料がバーナビーの手元にようやく届いた。談話室に持ち込み見ていたバーナビーがあっと声を上げる。「これです、僕らが遭遇した」デザインスケッチに添えられたコードネームをなぞり、キースは微笑んだ。「…ああ、ようやく君に会えた」


        ■お題:懐かしい
      • ええ。いいえ。ありがとう。ごめんなさい。なぜ。――そして、「ヒーロー」。わたしのなかにあるのは、それだけ。あなたのようには喋れない。あなたのようには笑えない。あなたのようには愛せない。ヒーロー。わたしのヒーロー。わたしは、あなたのように、たたかうことなら


        ■お題:憧れ
      • ごしゅじんはまいにちこうえんにいく。おかしなにんぎょうはいないのに、おなじばしょでまっている。にこにこしてごしゅじんが、だんだんかなしそうになったので、ぼくはごしゅじんのてをなめて、りーどをひいた。ねえ、かえろう。…つぎのひから、さんぽのみちがかわった。


        ■お題:こうえん
      • 昔々に恋い焦がれた名も知らぬ少女は、長い時を超え、寸分たがわぬ姿で目の前に現れた。言葉もなく泣き始めた私に寄り添い、頬に触れて、独居老人のケアプログラムの一環だという命のない人形は、懐かしい声で問うた。「…なぜ?」


        ■お題:ある時に愛していた女
    • 虎友で140字
      • 郷里を離れる前日、二人で神社に来た。奮発して100ドル札を賽銭箱に放った。ヒーローになれますようにと俺は大声で喚いた。願い事は言っちゃ駄目よと笑い、その後長く手を合わせていた友恵が何を祈ったかは知らない。きっと、あいつ自身のことではなかったろう。そういう女だった。


        ■お題:祈り
      • 初めて自分で淹れたコーヒーは苦いばかりだった。美味いと褒めた俺に「コツがあるのよ」と笑ったお前。じゃあ一生俺のコーヒー淹れてくれよなんてキザなことを言って、二人して真っ赤に照れたっけ。「聞いときゃ良かったなぁ…」真っ黒な液体をすすりながら、虚空に呟いた。


        ■お題:コーヒー
      • 「座薬!いいじゃない座薬!病気から身体を守るヒーローだよ!」俺の背中をバンバン叩いて、友恵は涙まで流して爆笑する。ああお前で良かった、お前と歩むのなら、なにがあったって人生きっとハッピーエンドだ。――なあ、俺、本気でそう思ってたんだぜ、友恵。


        ■お題:バッドエンド
      • 彼の左手の薬指には、いつだって少しくすんだ、銀色のきらめきがある。仕事の妨げとならないよう、薄く丈夫な特殊合金製のそれはぴったりと嵌って、どちらかを切断するほかに外す術はない。「裏に?さあ、なんて入れたっけなあ」笑って、彼は口づけをひとつ、指輪に贈った。


        ■お題:きらめき
    • 虎←薔薇で140字
      • バッサリと髪を切った。「うぉっ!?誰かと思ったぜ、失恋でもしたかぁ?」鈍感な男の相変わらずのデリカシーのなさに笑いが漏れる。「そうよ、あんたに ね」「…え」「好きだったわ。じゃね」頬にキスをして踵を返す。ブルーローズでいる最後の日、私は彼女の恋に別れを告げた。


        ■お題:髪
      • カリーナ・ライルは前より泣き虫になったけど、ブルーローズが泣くのはあの日が最後って決めた。あとは頼んだぜって笑って去った、誰よりもヒーローやってたかったあいつのために、ヒーローの私は強くなきゃいけないの。――でも今日だけは見逃してよね。お帰り、タイガー。


        ■お題:涙
      • 「ブルーローズのカリーナ」が、あいつの心を動かせるなんて甘い期待は持ってない。だけど、「歌手のカリーナ」は、いつかあんたを歌で泣かせてやるんだから。覚悟してなさいよね。


        ■お題:感動
      • 「あなたの悪事を完全ホールド!」フリージングリキッドガンのトリガーを引いても、全てのものを凍り付かせるだけ。あいつの心臓を燃え上がらせて、心をホールドできる銃があったらいいのに。射撃の腕には、自信があるんだから。


        ■お題:ひきがね
      • 「あーっと、気持ちは嬉しいんだけどなー、お前さんのそれはその…アレだ、ほら」「思春期特有の憧れとか言いたいわけ」「そうそれっ」「バッカじゃないの!」氷をぶつけなかった私を褒めて欲しい。覚悟しなさいよ、ただの憧れなんかじゃないって、思い知らせてあげるんだから。


        ■お題:憧れ
      • 髪を短くしたのはただのイメチェンのつもりだったの。なのにその日からアイツの態度がおかしい。確かに何度目かの告白を断られた直後だったけど、失恋して切ったとか思ってる?ずっと子供扱いでいなされてた私の恋、もしかしてこれでやっとスタート地点に立てたのかな。


        ■お題:嬉しい誤算
    • 折龍で140字
      • 「パオリン、それって染めてる?」「髪?うん、ホントは黒」「ふーん…見てみたいなあ…」「黒髪でも、イワンの好きなヤマトナデシコじゃないよ?」そう言ったらイワンはふわりと笑って、ボクの髪を撫でた。「そうじゃないよ。パオリンのだから見たいの」…そんな顔、ずるいよ!


        ■お題:髪
      • 「ねーカリーナ」「なに」「前借りた本にファーストキスはレモン味ってあったけど、違うんだね。マッチャアイス味だった!ちょっと苦いよねあれ!」「…ちょっと詳しく話しなさい?」同時刻、折紙ブログ:題『レモン味でなく』本文『マンゴー味でござった(*´∀`*)』


        ■お題:キス
      • パシリ、少女が鞭を鳴らし、ライオンは一声吠えて宙を舞う。台を跳び輪をくぐり、少女を乗せて駆け巡る。「ありがと折紙さん!ボク調教師になってみたかったんだ!」ぎゅうと首っ玉に抱きつかれ、ライオンは喉を鳴らして大きな鼻面をそっとすり寄せた。(…役得でござる)


        ■お題:調教
      • 「電話で話すのもいいけど、手紙もおすすめ」折紙さんはそう笑って、どこで探してきたのか、紫苑の花模様のレターセットをくれた。自分の国の文字を綴るのはすごく久しぶりでなんだか変な感じ。さあなにから書こう、まずはこの便箋をくれた、お兄ちゃんみたいな人のことから?


        ■お題:家族
      • 「キッド殿!」大手裏剣で犯人の一人を地面に縫い付けた折紙サイクロンが、落ちてくるドラゴンキッドを抱き留める。「ごめん折紙さん、ありがと!重くない?」「なんの、手裏剣に比べれば軽いものでござる」その日、お茶の間とシュテちゃんと折紙ブログは色んな意味で炎上した。


        ■お題:重さ
      • 「やっ…!」バチンッ!痛そうな音に振り向くと、頬を真っ赤に染めたキッドと、頬を真っ赤に腫らした折紙が固まってた。「ご、ごめん!」金縛りが解けたキッドが走り去る。「何したのよ?」「僕が聞きたい…いつもの挨拶しただけだよ」頬を指す指!明日は女子会しなくっちゃ!


        ■お題:頬
      • 「あーあ…」ぼやく声に、耳ざとくカリーナが振り向いた。「珍しいわね、どしたの?」「急な仕事だって。美味しい中華食べに行く予定だったのに」「なぁんだ。相変わらず色気がないんだから、もう」不満顔のカリーナをよそにまた溜め息。あーあ、折紙さんと約束してたのになぁ。


        ■お題:憂鬱
      • 「折紙さんずるい!僕のほうが強いのに、いっぱいトレーニングしてるのに!僕はちっともたくましくなれないのに、弱っちい折紙さんばっかり大きくなってく…!」「…うん、ごめん」「悪くないのに謝るなぁ!」ごめんパオリン、八つ当たられるのが嬉しい僕は、やっぱりずるい。


        ■お題:ずる
      • 恋ってわかんない、呟くパオリンに、ネイサンはベンチのカリーナを指した。談笑する虎徹をドリンクを飲むふりも忘れて見つめている。「あれが恋する人間の目」ふぅんと言う少女が少年を見るときの目も、その少年が見つめ返す目も、同じものだと本人達だけがまだ気付かない。


        ■お題:眼差し
      • 「キッド、アメ食べる?」ポケットをごそごそ探った折紙さんが、アメ玉をボクの手にころりと落とす。「たべる!折紙さんありがとー!」「…どういたしまして」貰い物だなんて言い訳してるけどボクは知ってる。折紙さんのズボンの左足のポケット、ボク専用おかし入れなんだよ。


        ■お題:おかし
      • 星の街は本日快晴で、けれどごく局地的に雨模様。止まない雨を降らす子を抱きしめてキスをしするのもいいけれど。「はい」湯気の立つマグを手渡して隣に座る。「泣いちゃいなよ。ここにいるからさ」「…うん」ホームシックの涙なら、好きなだけ流すほうがきっといい。


        ■お題:雨模様
      • 雨中の災害は犠牲者が多く出た。折紙さんはマスクを外して息をつく。まっすぐな背中、下がらない視線、目を隠さない前髪。ボクの目元は真っ赤なのに、こっちを向いて少し笑った顔はいつも通り。ボクより先に大人になったヒーローは、もう雨のせいにもしてくれない。


        ■お題:雨模様
      • 「黄宝鈴」折紙さんが得意げに書いてくれたボクの本名。嬉しいような悔しいような気分でペンを借り「?ван Карелин」ほらボクだって書ける。折紙さんは唇を尖らせて「Paolin Karelina」と続け、すぐぐしゃぐしゃ消して、ボクら二人して真っ赤な顔。


        ■お題:かける
      • タイガーに褒められるとブルーローズはいつも変な顔をする。嬉しいなら嬉しい顔をすればいいのって思ってたけど、今日、ブルーローズがあんな顔になる理由がちょっとわかった気がした。折紙さんに、ワンピース可愛いですねって言われたときのボク、きっと変な顔になってたもん


        ■お題:変な顔
      • ボクは歩道と車道の間のブロックの上を歩くのが好き。平均台を渡ってるみたいで楽しいし、目線がちょっと高くなるのもいい。折紙さんの頭が下に見えるのもなんだかすき。危ないよとか言わないで、半歩だけ後ろで笑ってくれる折紙さんが、ボクはすき。


        ■お題:ほどう
      • ボクはカリーナが好き。ネイサンが好き。スカイハイさんが好き。タイガーさんが好き。バイソンさんが好き。バーナビーさんが好き。B191折紙さんが、……ねえ、どうして、最後のだけ、ドキドキしてうまく言えないんだろう?


        ■お題:友情以上、愛情未満
      • 「ボク、華がないんだって」肉まんをパクつきながら、パオリンは唇を尖らせる。「人を助けるのに、華とかいらないのにさぁ」見切れ職人としては微妙なご意見に、思わずうんと頷いてしまったのは、ただでさえ可愛いきみが意識して華やかに振る舞ったら僕はとても困るからです。


        ■お題:はな
      • 新しくできた食べ放題のお店に二人で行った帰り道。露天商の髪留めに目を惹かれて立ち止まった。「どっちがいいと思う?」「どっちも似合うよ」「じゃなくて、折紙さんはどっちが好きか聞いてるの」「え」「…あれ?」なんだかすごく恥ずかしいこと言っちゃった気がする!


        ■お題:このみ
    • 折薔薇で140字
      • 彼女はいつも僕を呼び出してはあの人のことで泣く。カフェがバーに変わっても内容はずっと同じだ。「ねーおりがみーわたしが30になったらけっこんしよっかーどーせあんたひとりでしょー」舌足らずな言葉ににいいよと笑ったら、おりがみのばーかと鼻をつままれた。


        ■お題:泣く
      • そして7年。花束を抱えて彼女を訪ねた。僕はずっと君が好きだったから、他愛ない約束に、君は覚えていないだろう約束に縋って。「ばか!30まで待ってないで早く言いなさいよ!」泣き怒った彼女を抱きしめ勇気がなくてごめんねと謝って、僕は手に入れた幸せに浸る。


        ■お題:泣く
      • 『この豚野郎!』雑踏の中聞こえてきた自分のセリフに、カリーナがびくっと肩を揺らした。「ちょ、なに」「あー…メール着信音じゃない?テレビ音声から抜き出して配布してる人がいるから」「あのセリフで?サイアク…」ごめんなさい僕も持ってますとは言えませんでした。


        ■お題:豚
      • 「昔ね、あんたが女なら良かったのにって思ってた」ふと思い出して笑う。「そしたらなんの気兼ねもなく一緒にいられるのにって」「じゃあ、いまは?」「男じゃなきゃ、こんなことできないじゃない!」も一度笑って元親友の現恋人にキスをしたら、紫の瞳が嬉しそうに綻んだ。


        ■お題:懐かしい
      • あーあ、やだやだ。女は面倒よね。こんな日に限って薬もないし、愚痴を言える相手も来てないし「ローズ、今いい?今度のラジオのさ」折紙に呼ばれて連れてかれたのは仮眠室、手には薬と水と。「なんでわかんの」「…なんとなく…?」「やだあんたキモい。……でも、ありがと」


        ■お題:あの日
      • 「お高くとまりやがって」ナンパ男に腕を取られ、つい身体が発光しそうになる。「僕の連れに何か?」目つき悪いのも使いどころね。「…守らせてよ、カリーナのときぐらい」溜息ついた、別人みたいな情けない顔に笑っちゃう。馬鹿ね、アンタがいるから強気になれるんじゃない。


        ■お題:まもる
      • 「あんたは私の話聞いてくれるし、並んでも変じゃないし、子供扱いしないし、優しいし、…もっと先にあんたのこと知れば良かった。あんたに恋すれば幸せになれたのに、私」きみはそう言うけれど。無理だよ、僕の方が先に恋してたのに、きみは気づきもしないじゃないか


        ■お題:さき
      • 「あんたのそのオドオドした態度が癇に障るのよ!」数年前、指をつきつけてそう言ったのはきみなんだけど。「なんか最近のアンタ、イケメンオーラでててムカつく」って、酷くない?「アンタが格好いいのなんか、私達だけが知ってればいいんだから!」って、え?え?


        ■お題:かん
      • 泣きたくて来た屋上に先客が一人。「…吸うんだ」「時々ね」煙を見上げる目元が同じように赤くて、理由も同じと知れた。「…息、臭くなるわよ」「気にする程近づく人いないし」大人みたいに嘯く顔にムカついて「…ほら、くさい」唇を離せば真っ赤な顔。ざまあみろ!


        ■お題:しえん
      • 同性だったら親友になってたかもしれない。別な出会いをしてたら恋人になれてたかもしれない。でもどっちもifの話、何年たってもきっとあんたと私の距離はこのまんまね。そんなことを思いながら、おやすみと頬にキスして帰っていくスカジャンの背中を見送った。


        ■お題:友達以上、愛情未満
    • 兎薔薇で140字
      • 「こんな本まで買って。少しは役に立ちました?」からかう声に、唇を尖らせる。気まぐれで、と言うにはその本は開き癖がつきすぎていた。「…立ったわよ。あいつが振り向かないって思い知るのに」「じゃあ次は、『BBJと恋に落ちる100の方法』なんてどうです?」…え?


        ■お題:ノウハウ
      • 「『BBJと恋に落ちる100の方法』?そんな本あるわけ」「さあ?なければ僕が書きましょうか」どこまで本気かわからないグリーンアイズをじっと見つめて、カリーナは勝ち気に笑った。「いらないわ。あんたが『カリーナ・ライルを口説く100の方法』でも読めば」


        ■お題:ノウハウ
      • 「綺麗ですね」胸元を飾る小さな石を指し、あいつは笑う。「安物よ」「いいじゃないですか、照明でキラキラして、貴女の氷に似てる」揺らすロゼのグラスはちょっとあんたのスーツみたい。バーの歌手と常連客の他愛ない会話は心地よくて、まだしばらくこのぬるま湯がいいわ。


        ■お題:きらめき
    • 男女CPで140字
      • 男は跪いて乞う。「私の忠誠をきみに捧げるよ、我が女神。命じてくれ、きみの意のままに動こう」女は眉をつり上げる。「ならまず立ちなさい!犬じゃなくて人間になって、自分の頭で考えて!あたしの度肝すら抜けないような男なんていらないわ」ともに若かった頃の一幕。


        ■お題:命
      • ついにあのかたを取り戻すことができる。クリームは打ち震えた。引き離された年月はどれほど長く感じられたことか。あの男の思惑になど興味はない、ウロボロスとのつなぎ役としていいようにされるのに甘んじたのも、全てはこの日のため。ああジェイク様、もうすぐですわ。


        ■お題:つい
      • 銀色の騎士は氷の女王の手を取り、豪奢な指輪をその指に通す。金剛石の燦めきが映りこむ水色の瞳が満足げに細められ、同じ色をした唇が弧を描いた。「―カット!OKです!」「外さないでカリーナ、買い取ったから。これは私から君へ」「ばかね、渡すところからやり直しよ」


        ■お題:きらめき
      • 「クソッ、降りゃあな」業火の現場、雨模様の空への虎徹の舌打ちに、少女は弾かれたように振り返った。「スカイハイ!」「!ああ!」はるか上空、KOHの腕の中で、雨雲へ向け渾身の力を放つ。一瞬の沈黙、ざあっと降り出した雨を誇らしげに見つめた横顔にキングは見とれた。


        ■お題:雨模様
      • 「なあ兄貴聞いてくれよ俺うちのバニーに悪い虫がついたら追っ払ってやるって思っててさだってアイツ温室育ちで免疫なくて変なとこ素直すぎてなのにその悪い虫が自分の娘とかなあ俺もうどうしたらいいか」「落ち着け虎徹。とりあえず色々間違ってるぞお前」


        ■お題:虫
      • その肉体は原形を留めぬほど損傷が激しかったという。シュテルンビルトを揺るがしたNEXTテロリストの、名も中身もない墓碑はその死の数年後に共同墓地の片隅にひっそりと建てられた。その傍らには、実両親に引き取りを拒まれた女の身体が、寄り添うように眠っている。


        ■お題:寄り添う
  • CP不在
    • ヒーローたち
      • 「はい、お花」「あー、ありがとな。はは、デケえ花束」「どういたしまして。…もう10年ですっけ?アンタも一途よねえ」「その間ずーっとうだうだしてるお前らには言われたくねえ。ガキみてえな恋愛しやがって」「あら、大人だからよ」「ガキだよ。相手がいつかいなくなるって思ってねえだろ」「…」


        ■お題:ネイサンと虎徹が、お墓の前で(一方を)子ども扱いする
      • 「っく…」「おら、もう泣きやめよバーナビー」「だって虎徹さんがあんな…!僕が…僕が側にいなかったから…!」「お前のせいじゃねぇよ。あいつのことだ、きっとすぐ元の姿に戻るさ」「でも…」「あれバニーちゃんベンさんこんなとこでなにやってんの」「正月太りにもほどがありますよ虎徹さん!!」


        ■お題:バーナビーとベンさんが、非常階段で(一方または両方が)泣く
      • 「パーティ途中で出動とは残念でしたね」「いいのよぉどうせダンパだったもの」「?」「アタシは女同士で踊る気はないし、アタシにダンス申し込む男はいないってこと」「…お手を、マダム」「あらン?」「拙者と一曲お願いいたす」「…ま」嬉しげに差し出された手の甲に、イワンは恭しく口付けた。


        ■お題:折紙サイクロンとファイヤーエンブレムが、公園でキスをする
      • 「ブルーローズに似てるよなぁ?決め台詞言ってみてー!」「おしりフリフリしてさぁ!」「でも胸ちょっと足んねえかあ?」そぐわない客はどこにでもいるも のだ。無視していたら腕を掴まれてバランスを崩して、あっと思う間もなく、浮遊感。「バカじゃないの?」青い唇が冷笑を刻む。「…ありがと折紙」


        ■お題:ブルーローズがカリーナをバーでお姫様だっこ。
      • 「チキンフィレオのセットとてりたまバーガーのセット、私のドリンクはアイスティー、ガムシロひとつね。シェークとかパイとかご一緒にって勧められても 買っちゃだめだからね、セルフだからちゃんと受け取るのよ…なに拗ねてんのよあんたが初めてだっていうから教えてあげてるんじゃないもうっ」


        ■お題:バーナビーとカリーナが、ハンバーガーショップで(一方を)子ども扱いする
      • 灰にしてくれ、と彼は言った。俺が死んだら燃やして灰にしてくれ。骨になった俺は娘へ。灰になった俺は天の妻へ。そうなるまでの生きている俺は全部お前に やろう。だからどうか死んだ俺を俺のままつめたい土に埋めないで。僕の両親も灰になりましたというと、彼はひとつ頷いた。


        ■お題:灰
      • 抱き込んで守った少女は無傷だったが、暗闇に怯えて泣いたのだという。不安がる少女に光を与えるためだけに、救助が来るまでの数時間能力を発動し続けた男は、少女が母親に引き取られるのを見届けるなりぶっ倒れた。「あーモウ、疲れた…」今日はおごるぜ、親友。


        ■お題:光
      • ばん!と扉が開き、憤然とした様子のパオリンがずかずかと入ってきた。「おいおいここ男子更衣室だぞせめてノックをだな」「女じゃないもん!どうせちっと も女らしくないもん!カリーナのばかー!わあーん!」そうして泣くあたりがやはり女の子だと思いつつ、独身男は少女の気が済むまで胸を貸した。


        ■お題:ロックバイソンとパオリンが、更衣室で(一方または両方が)泣く
      • シャドウもラインもきっちり決めて、マスカラもたっぷり塗りつける。「ファイヤーエンブレムは、マスクしてるのにどうして目のとこもお化粧するのさ?」不思議そうな最年少ヒーローにぱちりとウィンク。「化粧したオンナは泣いちゃいけないのよ」そう、これは泣かない決意の証。


        ■お題:涙
      • 「ネイサンお風呂長ーい!」「いいオンナは時間がかかるのヨ」「すっぴんのネイサンって地味顔よね~」「アンタだってそのうち素顔じゃ歩けなくなるわよ?」お泊り女子会。鎧を脱いだ自分を当り前に同性扱いして笑う頬に、熱烈なキスを。愛してるわアタシの子猫ちゃん達!


        ■お題:キス
      • 『か○ーんライダー、ライダーライダー♪』「技の1号、折紙サイクロン!」「力の2号、ワイルドタイガー!おお~いんじゃねいんじゃね?今度現場でやろーぜこれ折紙!」「ジャパニーズトクサツ!拙者のイメージにもばっちりでござるぅぅ」ああ、二次会でカラオケは失敗だった。BBJはため息をつく。


        ■お題:折紙サイクロンとワイルドタイガーが、カラオケボックスでイメージ戦略について話し合う
      • 「ツンツンしてたよねー」「おじさんって呼んでたわよね、冷たぁい目で」「それがいまはこの有様でござる」「じゃじゃ馬ならしというか、じゃじゃ兎ならし?」「何ですかじゃじゃ兎って!」顔を真っ赤にして怒る10年選手のKOHを、新人ヒーローはぽかんと見上げるばかり。


        ■お題:調教
      • “結婚して家族を支えるのが女の幸せだ”、“美人なのにもったいない”、“女の子は有能でなくていいからにこにこ笑っててほしいね”なんて聞き飽きたわよ全く前世紀のオヤジどもときたら!「女子組!女の底力見せつけちゃって頂戴!」「了解っ!」女が戦って、なにが悪い!


        ■お題:家族
      • 星の街で囁かれる噂の一つに、折紙サイクロンには数人の影武者がいる、というものがある。でなければああも決定的な場面に映り込めないというのが根拠だ。「馬鹿馬鹿しい、先輩が有能だっていうだけじゃないですか」真偽を問われたBBJのドヤ顔も合わせて語り草である。


        ■お題:都市伝説
      • 50年前、黄金期って呼ばれた8人のヒーローの魂は、今もこの街を守護しているんだとさ。都市伝説の類だろうって?いやいや…「魂っていうか」「本人でござるがのう」「若い者には負けない、そして負けない!」「ワイルドに吠えふがっ」「ああもう、行きますよじいさんや」


        ■お題:都市伝説
      • ヒーロービーチバレーとか誰が考えたのよと氷の女王はお怒りだ。彼女も遙かに平均を超える身体能力の持ち主だが、「くらえ折紙さん!てやぁ!」「なんの!…スカイハイ殿!」「ナイストスだ折紙くん!とうっ!!」ズバーン!「あんなスパイク、手が折れるわよ!」ごもっとも。


        ■お題:プレイ
      • 一人の女を救ったが、一人の男を救えなかった、後悔の残る事件だった。ずっとそう思っていた。「ありがとうタイガー!これがあの日私のお腹にいた子、あの人の忘れ形見、どうか名付けを」命は算数じゃない、プラマイでプラスという話じゃない。それでも、その日の酒は美味かった。


        ■お題:命
      • 同級生の度重なるいじめに耐えかねて炎のNEXTを暴走させた少女を、警察はまるで凶悪犯のように連行していった。「…私もああなってたかもしれないのに」TVの前では勝気な表情を崩さなかった少女の涙をネイサンは拭ってやる。泣ける少女が羨ましいと、胸がちくりと痛んだ。


        ■お題:泣く
      • 「散々戦ったわよ」ネイサンは誇らしげに笑う。「男でいろっつうならグレて暴れて家潰すぞゴルァ!でも女になれるなら品良く振る舞うし会社も継ぐわよ、さあどうするってね。親もなかなか折れなくて、長かったわぁ…おかげで今でもキレるとつい男口調になっちゃうのよねェ」


        ■お題:つい
      • 赤く染まったロッジの床、判読出来ない書置き、留守番役は行方不明。「雪には僕らの足跡だけ、扉にも鍵…こ、これはまさか伝説の『雪の山荘』殺人…!?」興奮する先輩後輩へ、天窓からおういと呑気な声2つ。「すまない、ケチャップをこぼしてね」「鍵見当たんなくてさ~」


        ■お題:閉鎖空間
      • 俺とか虎徹は3くらいだろ、ファイヤーエンブレムは5いくな、キッドも同じくれえか。平然と20とかいくのが折り紙な。スカイハイとブルーローズは普通に1。バーナビー?あいつ0でも涙目だったぞ。ん、何の話しかって?カレー屋の単位。


        ■お題:から
      • ヒーロー専用PDAは高機能ながら超軽量の、最先端技術の結晶だ。重さ50グラムにも満たない、体感としては何ら変わらないそれを10年ぶりに外した日、体重が半分になったような気持ちになった。「…あばよ、ワイルドタイガー」俺はずっと、二人ぶんの重さで生きてきたのだ。


        ■お題:重さ
      • 【装甲】ロックバイソンBBJ折紙サイクロンワイルドタイガースカイハイブルーローズドラゴンキッドファイヤーエンブレム。【中の人】アントニオBBJネイサンキース虎徹イワンカリーナパオリン。「何これ」「重さ比べです。先輩おそろしい子!」


        ■お題:重さ
      • 調査によると、ワイルドタイガーは中年男性以外では小学生男子、それもいわゆる落ちこぼれ層にファンが多いらしい。やりゃあできるって勇気与えられてんだろ?と本人はご満悦だ。「あー…僕も昔、明日学校が火事にならないかなとか…」「折紙、虎徹には言うなよそれ…」


        ■お題:祈り
      • 「楽しいね!とても楽しい!高い高ーい、スカーイハ―――――イ!!!」「ぎゃあやめてスカイハイさん天井にぶつかるぅぅ」「なぁにやってんだお前ら。スカイハイに酒飲ませたの誰だよ」「お酒は飲んでないよ!そして飲んでない!コーヒーって美味しいね!」「お子様か!」


        ■お題:コーヒー
      • 「折紙ちゃん、潜入捜査ホントお疲れ様!約束のキスしてア・ゲ・」「待ってください!僕の親の仇ですから感謝のキスも僕からするのが筋です(ドヤァ)」「待ちたまえそして待ちたまえ!ここは師匠の私が」「折紙さんのほっぺは渡さないよ!」「あー…子犬のような目で見るな折紙」


        ■お題:頬
      • (そして)「な~にやってんだぁ?」「功労者の折紙に誰がキスするか争奪戦」「お前は参加しねーの?」「別にいい。…あ、あんたも功労者なんだし、わっ私からしてあげなくも」「当然虎徹さんのほっぺは僕がゲット済みですよ!!(ドヤァ再)」「ぬぁんですってぇ!?」


        ■お題:頬
      • 「それでは早速呼んでみましょう。現場のバーナビーさーん?」「ハァイ!先程犯人の1人を確保した方バーナビーです!ご覧の通り現在僕のバディが残った犯人を確保している所です!僕らの活躍は8時からの番組でたっぷりとお届けします!」「ありがとうございましたー!」


        ■お題:ニュース
      • 「完璧でしたー!終了です~」スタッフの声にほっと息をつく。液晶の向こう?とやら向けの撮影は、いつもと勝手が違って疲れも倍増だ。「はいカレリンさんもオッケーでーす」まああっちほどじゃないか、とスカジャンを着直すイワンの泣きそうな顔に苦笑する。あんたも大変ねえ。


        ■お題:憔悴
      • この頃よくキッドとスカイハイさんが僕の両側にいることが多い。「折紙さんはネガティブでしょ?ボクもスカイハイもポジティブだから、挟んだら折紙さんがくるっとポジティブにならないかなって!」「というわけさ!」萌えすぎて僕の心臓がひっくり返るので勘弁して下さい。


        ■お題:リバース
      • 「だっ、シャンプー忘れちまった!貸せ牛!」「仕方ねえなモウ」「やだ~ボディミルク切れちゃったワ」「僕使い終わったところですから良ければどうぞ」「ってことで頼むぜスカイハイ!」「OKだ、そして了解だ!スカーイハーイ!」今日もボトルがシャワールームを舞う。


        ■お題:シャワー
      • 「バーガーってのはこうな、パンって潰して喰うのが美味いんだぜ、パンだけに!なはー!…っ、なんだよお前らその目は!仕方ねーなあ、いっパン人にはちぃっと高度すぎたか~」「こいつ凍らせていい?」「待ちなさい焼くから」「フライパンでかい?パンだけに!Hahaha!」


        ■お題:パン
      • 「ナツクサヤ ツワモノドモガ ユメノアト……」今日はヒーローバーベキュー大会。高級和牛争奪戦で次々と討ち死にする男性陣と、紙皿に山盛りにした戦利品をかきこむ最年少ヒーローの姿に、折紙サイクロンは遠い目で愛する日本の有名なフレーズをしみじみと呟いた。


        ■お題:575
      • 「行っ、行くわよおじさん!(言った!)」「今日の俺は最大破壊力計測不ッ能!」「ワイルドに燃やすわよ~ん☆」「ロックバ……イヤ~ン(あー帰りてえ…)」「私の風はちょっぴりウィンド、きみの悪事をハイハハーイ!」「りゅう!」「行きますよ、おじサー!!」「見切


        ■お題:トレード
      • CM待機の30秒。「だっ、行くぜ!」待てのきかない虎が焦れてフライングスタートし、聞こえよがしに「仕方ない人だ」とこぼしたバーナビーがすかさず追う。それを見たスカイハイがもう行っていいものと判断して飛び立ち、そして現場には折紙が見切れ待機。


        ■お題:フライング
      • 「『僕はバニーじゃありませぇん、バーナビーですぅ!』…ど、どうですかタイガーさんのモノマネ。ヒーロー夏祭りのネタなんですけど」「……。悪いことは言わないから、やめときなさい」「あ、やっぱり似てないですよね…」「逆よ、逆」


        ■お題:バニー
      • 「謎は全て解けました」青年の眼鏡がきらりと光る。「祖父の名にかけて…犯人は貴方です!」「ちっ、ばれたか。やるなバニーちゃん」「当然の帰結です(ドヤァ)」「名前入りプリン食べてんだから当然だろうがよ」「ところでお祖父様の名前って」「うちは代々バーナビーです」


        ■お題:とける
      • カラードだから。オカマだから。NEXTだから。それがアタシを見下すヤツらの理由。デカイから。金持ちだから。ヒーローだから。それがアタシにヘコヘコするヤツらの理由。アタシを上げたり下げたりしたいならご自由に。アタシはただ、ここに居るだけ。


        ■お題:上
      • 「えっ、私の番かい!? ええと、ろっ、6だよ、そしてシックスだ!」「「「「「「「ダウト!」」」」」」」7人分の異口同音。――シュテルンビルトは、今日も平和である。


        ■お題:嘘
      • RBとFEはラテンに激しくサンバとパソドブレ。OCとDKはチャチャチャとクイックステップ、明るく楽しく元気よく。SHとBRはワルツとフォックストロット、王と女王の優雅さで。そしてT&Bは情熱のルンバとタンゴ。19XX年、ヒーロー社交ダンス部、発足。


        ■お題:踊る
      • ヒーロー関係者にはアイドルってなんだよヒーローなめんなと舌打ちされ、芸能界ではあの程度の歌と踊りでウケるんだから得よねって陰口を叩かれ。新曲振り付けを汗だくで練習してると時々堪らなくなる。私、歌手になりたかっただけ。「…頑張る」ダサいタオルに顔を埋め呟いた。


        ■お題:踊る
      • 「僕にだって野心はあります!」おどおどした青年には珍しいほどの力強い主張に面々は興味を引かれた顔をした。「それは?」「KOHに…」「KOHに!?」「なった瞬間のスカイハイさんの背後に見切れることです!!」


        ■お題:野心
      • 「パーティは、着飾った女性達のお相手がどうにも気疲れするね」「彼女たちなりの野心ですよ。貴方を射止めて自分もセレブになりたい」「彼女たちは間違っている。それなら折紙くんを射止めるべきだ」周囲を笑わせたスカイハイの発言の正しさは、十年後に証明された。


        ■お題:野心
      • たすけて、たすけて、たすけて、たすけてヒーロー!希う言葉、悲鳴と涙、伸ばされる手―それこそが彼らへの子守歌。星の街は平穏であってはならない。贄を捧げよ。荒れ狂う魂を呼び覚ますな。行き場をなくした巨大な力は破壊と暴力を呼び、ついには己すら食い尽くすだろう。


        ■お題:子守歌
      • 絵で回答するクイズ番組にヒーロー全員が出演。巷の評は「キッドの絵元気だな~」「ブルロは女子って感じ」「スカイハイなごむ~」「姐さんオシャレやわ…」「牛角さん普通に上手くてつまらん」「折紙うますぎてヒくw」「タイガー意外とうめぇ」「バーナビーwバーナビーwww」


        ■お題:絵
      • 「おはよー…やだどしたの折紙」「ブログ炎上して…朝の占いも最下位だし…やっぱり僕なんて…」「うざい!」踵を返すカリーナの背を見送って、イワンはべそべそと泣く。そして夕方、投げつけられる大量の女性誌。「こんだけ有ればアンタの星座が1位のもあるでしょ!?」


        ■お題:占い
      • NEXTと非NEXTの垣根のない世界。その扉の鍵を持つのがヒーローなら、錠は市民の心に。ヒーローの活躍を見、聞き、あるいは体感し、その話を聞き。少しずつ少しずつ、カチリ、カチリと錠は開いていく。いつか全て開く日が、きっと来る。ヒーローはそれを信じている。


        ■お題:錠と鍵
      • 「スカイハイさんって、風は読めるのに空気は読めないんですね」by バーナビー・ブルックスJr.


        ■お題:風
      • 「ん?」イワンの書いた色紙を見た虎徹が首を傾げた。「折紙これ」「はい、サイン新しくしたんです。漢字が入っていた方がいいだろうってCEOが」「あー…この字、意味知ってっか?」「え、『折紙』の別字なんですよね?」「やーその」『折神』の字を前に虎徹は頬を掻いた。


        ■お題:サイン
      • 「バーナビーさん、ひとつアドバイスします。あの人の言うことを全部信じて、裏の意味とか一切勘繰らないようにしてみて」半信半疑だった後輩は翌日、僕の手を握って言った。「初めてスカイハイさんとまともにコミュニケーションとれましたよ!貴方が神か」いえあの人が天使です。


        ■お題:裏
      • 「虎徹さん、少し太りました?」「だっ、秋は飯が美味ぇんだよ!」「天高く虎肥ゆる秋ってやつか」「肥えてねえよ牛!つかそりゃあ馬肥ゆるだ」「秋には天の馬が太るのかい!?」「スカイハイさん、残念ですがそれは日本の諺で、ポセイドンのペガサスは太らないと思います…」


        ■お題:秋の空
      • 少年時代に目覚めたNEXT。最初は呪い。彼の言葉で福音になった。次第に空気みたいに当たり前になって、ずっとともに在るのだと思っていたそれが、手からこぼれ落ちていくときの恐怖といったら。永遠ではないと知って改めて、この力が俺にある喜びを噛みしめている。


        ■お題:永遠じゃない
      • 「難しい顔してどうした、バニー」「エドワードの事件の裁判を調べていたんですが…先輩は証言台に立っていないんですね。そして奇妙なことに、裁判に関わった人物のほとんどが現在シュテルンビルトにはいないみたいなんです。被害者家族、陪審、検事、裁判官――」


        ■お題:意味怖
      • 「サーカスのライオンが急死したって?」「ええ、ですから折紙先輩が極秘のピンチヒッターで。本物より動きがいいとかで大好評だったそうですよ」


        ■お題:意味怖
      • 「…………」先輩が地面に手を着いてなにやら考えている。「思いついたら試してみたい気持ちもわかりますがどうかやめてくださいお願いします」「で、ですよね~」


        ■お題:意味怖
      • 「スカイハイだろ~」「大穴でロックバイソン!」アカデミー寮の談話室は今日も大騒ぎ。エドワードが手際よく各自のベットを整理する。「イワンお前は?」「ん…ワイルドタイガー」げぇ、と周囲から悲鳴。一時間後、いつものようにイワンの前には食堂のチケットが積み上がる。


        ■お題:かける
      • 『レジェンド、最初にして最高』『ステルスソルジャー、見えざる刃』アカデミーの中庭には引退したヒーローの碑が並ぶ。貴方はやはり正義の壊し屋かな。「レジェンドさんと並べるならなんでもいいわ、自分で見る機会ねえのだけ残念だな」生涯現役を誓うヒーローはからりと笑った。


        ■お題:碑
      • 上段回し蹴りをフェイクにエルボー二発、振り返って連続突き、後方宙返りから突進して掌底、低い蹴り技。身軽な少女の連続技を紙一重で全てかわして青年は肩で息をつく。「…うっわ化物…」「ハァ、ですよねほんとキッドさん強い…」「相手してるあんたも十分化物だっての!」


        ■お題:バトル
      • 「ソイソースをかけて、生卵をときます!」「…その心は?」「温かいライスと食べると美味しい、そしてデリシャスだ!折紙君が教えてくれたのさ!」「あーモウ…すんません、こいつこういう奴で」謎かけはできなかったが番組は盛り上がり、そして折紙ブログは炎上した。


        ■お題:T&B謎かけ
      • 『レジェンド、最初にして最高』『ステルスソルジャー、見えざる刃』アカデミーの中庭に並ぶ引退したヒーローの碑の中で唯一、二つの名が並んだものがある。『タイガー&バーナビー、空前絶後のバディヒーロー』特殊合金のプレートは、永く後生まで二人の絆を伝えている。


        ■お題:永久不滅
      • リキッドガンは銃弾に弾かれた。周囲に水源はない。「へッ、もうアンタにゃ武器はねえぞ」下卑た笑いを見下すようにツンとあごを上げる。「知ってる?人体の70%は水分でできてるの」指を突きつければヒィッと悲鳴。そうよ、怯えなさいよ。私が一番、この力が怖いんだから。


        ■お題:みず
      • 「折紙、どしたよそれ」「折紙ロックハイで食肉業界のキャンペーンキャラクターやることになりまして…バイソンさんは当然牛担当じゃないですか、スカイハイさんは鳥のイメージですし…」「わかった皆まで言うな」マスクに豚鼻をつけたヒーローは、やけにリアルにブウと鳴いた。


        ■お題:豚
      • 「折紙!」「ロック!」「ハイ!」「天気予報~!」
        ♪「私~の名前はスカーイハイ!」
        「俺ら~の名前は」「ロックバイソン!」「折紙サイクロンでござる!」
        「さんにーんあわせて」「折紙ロックハイ!」
        「君と」「私と」「拙者で」「折紙ロックハイ!!」””


        ■お題:てんき
      • 「あ痛」「どした、怪我したか?」「いえ大丈夫です。…最近節々が痛くて」「なにそれ、おっさん?」「うぅ」「折紙、そりゃ成長痛じゃねえか?」「えっ」声は四重、ひとつは嬉しげで残りは嫌そうな声音。折紙は後者三名をジト目でプイと去った。可愛いは正義!じゃねえよお前ら。


        ■お題:節
      • いまでも覚えてる。ボクが能力に目覚めた日のこと。「おお宝鈴、なんてすばらしい!おまえは我が家の希望アル!」誇らしげにボクを抱き上げた父さんの笑顔が嬉しくてはしゃいだ。でも時々考える。ボクの能力が消えてしまっても、ボクはふたりの希望でいられるのかな。


        ■お題:あの日から
      • 「ショック?なかったわね。だってそうでなくてもカラードでオカマよ。排除される要素がまた増えただけ。ああアタシってそういう星の下に生まれたのねえって、なんだか達観しちゃったワ」彼女はさらりと嘘をつく。どれほど神を呪ったかなんて、自分だけが知っていればいい。


        ■お題:あの日から
      • 「浮くだけさ!」ふわふわ浮いたKOHが屈託なく笑って言う。その日から僕は周囲に目を向けて、ファイヤーさんやローズの運転テク、キッドのカンフーの凄さ、バイソンさんの怪力、タイガーさんの技術を知った。NEXT能力を理由に諦めてた僕はなんて馬鹿だったのだろう。


        ■お題:ふわふわ
      • ヒーロー達が7大企業を訪問する番組が放映された。一番手はタイタンインダストリー。重機に興奮するワイルドタイガーとロックバイソンの姿に和むお茶の間。そして折紙サイクロンとマニアックな会話を交わしながらいい笑顔で重機を操るBBJは男性好感度をぐっと上げたそうな。


        ■お題:重機
      • ポイントも人気もあまり振るわないロックバイソンだが、とある層からの支持は根強いという。「それってつまり」「そ、『はたらくくるま』好きのちびっ子…と、その成れの果ての男どもだな」「それ、アントニオさん本人の能力は関係ないですよね…?」「それは言わねえお約束」


        ■お題:重機
      • 「きゃー!」「たぁっ!」「なんの!」「オリャアー!!」「うっし!」「貴様反撃かぁ!」突然始まったバトルに乗り切れず、オロオロするキースを虎徹の投じた枕が直撃した。「ふ、ふふ…いいだろう、今日の私は最大風速計測不ッ能!スカーイ、ハーーーイ!」「だッ、能力禁止!」


        ■お題:枕
      • その犯罪グループが切り札とした能力はNEXT無効空間。「へっ、こっちゃ全員元軍人で武器もあんだ。ヒーロー様と持ち上げられちゃいるが、能力なしのお前らなんて屁でもねえ」「ヒーローなめんな!!」8人分の大合唱、そして始まる大乱闘。視聴率は今季一番だったとか。


        ■お題:残
      • 「おまえは今まで食ったパンの枚数を覚えているのか?」「枚数かい?そうだね、私は毎朝1本のバゲットを6枚に切って食べているから、365×年齢で…あ、閏年が」「…そういうことじゃねえ…」「スカイハイさんに聞いたのが間違いですよおじさん」


        ■お題:今まで
      • 対戦中のチェスボードに「触らないで」のメモは相棒の字。首を傾げていたところに来たキースが盤面を眺めて小さく笑み、ふむと頷いて駒を動かした。「あ、おい」「うん?先日から対戦中なんだよ。バーナビーくんは手強いね!」「あー…仲良くなってなにより?」


        ■お題:アブストラクト
      • 「気づいていなかったんですか?色々ヒントをあげたのに。エドの脱獄だって都合が良すぎでしょう。お目出度いですね本当に」白い肌に蛇の刻印を浮かび上がらせ、銀髪の青年は妖艶に笑う 「ていう一世一代の四月馬鹿をですね…」「うちのWKOH信じやすいからやめたげて折紙」


        ■お題:伏線
      • 今になってわかる。最年少デビューした自分を、みんながちゃんと一人前のヒーローとして扱ってくれていたこと。どんな凄惨な現場でも、留守番してろなんて誰も言わなかった。可愛いサム、キミももうヒーローなんだね。お姉さんぶって心配するのは、今日で終わりにしよう。


        ■お題:留守番
      • 人命のかかった現場で、重い選択を突きつけられる場面は少なくない。「迷うな!」足を竦ませる若きヒーローたちに、百戦錬磨の虎は吠える。「迷うな、選べ!悩んでる時間が一番の無駄だ!反省も後悔も後でやりゃあいい!全部背負ってけ、それがヒーローだ!」


        ■お題:どうする?
      • 龍の子と呼ばれ、皆の期待を背負ってボクはこの街に来た。「ばけもの!」知識として知っていたはずの侮蔑の言葉はこんなにも胸に痛いのに、仲間たちは少し顔をしかめるだけ。自分がどれだけ守られて来たのかよくわかる。ボク頑張るよ、今度はボクが、皆を守るんだ。


        ■お題:フリークス
      • バーナビーくんはワイルドくんのいる二部に行くのだろうと思っていた。しかしバディは解消しないままだが彼は一部ヒーローとして復帰するという。「追い上げますよ、キング」不敵に笑んだ彼の手をがしりと握る。真剣勝負だね、私こそ負けないよ、そして負けないとも!


        ■お題:嬉しい誤算
      • どれだけ懐かしく思っても、アタシはもう故郷には二度と戻れない。だって、何もかも燃えてしまったんだもの。アタシの炎で、ぜえんぶ。


        ■お題:郷愁
      • ときどき、ボクはチャイナタウンに出かける。懐かしい言葉、ホッとする外見の人たち。露天の食べ物を腕いっぱいに買い込んで、片っ端から食べ歩く。お腹より先に胸が一杯になってしまうから、食べきれなかったぶんはトレーニングセンターへ。みんなの笑顔を見て、充電完了!


        ■お題:郷愁
      • 先頃発売されたヒーローサイコロ。1の面にはスカイハイのデフォルメイラスト、2にはT&B、以下ランキング順に続く。そして全ての面に折紙サイクロン(の一部)が見切れている。


        ■お題:賽
      • 「丈で合わせると詰めまくっても緩いんだよなぁ」「僕は太腿と腰のラインが…」「私は胸がキツくてボタンが止まらなくてね!」「俺のサイズなんざモウ吊るしに期待してねえよ」「…ど、どうせ僕なんて…っ!」「うぉーい折紙?どーした戻ってこーい」


        ■お題:スーツ
      • 「ファイヤー君の車、ワイルド君とバーナビー君のチェイサー、ローズ君のバイク、バイソン君のカタパルト…どれもかっこいい!羨ましい!」「だよねぇ、ボクも欲しい!」「同感です…」「というわけで次回は私が二人の飛行機になるのさ!」「……それでいいのかスカイハイ」


        ■お題:カー
      • 「孫がね『僕もNEXTになった!』って。お揃いだねって、これで僕もヒーローになれるよって。生きているうちにそんな日が来るなんてねえ…有難うね、有難うヒーロー」僕の手を握り泣いた人がいた。父さん母さんごめんなさい、僕はあの人を心底憎むことがどうしてもできない


        ■お題:半世紀
      • 「若いのにゃ負けねぇぜ!」”ワイルドタイガー・ワンミニット”改め”ワイルドタイガー・ハーフセンチュリー”は、NEXTがこの世界に現れて百年経った今も、生涯現役の誓いの通り星の街を飛び回っている。スーパールーキーならぬスーパーベテランもまた、傍らに。


        ■お題:半世紀
      • 半世紀前、黄金期って呼ばれた8人のヒーローの魂は、今もこの街を守護しているんだとさ。都市伝説の類だろうって?いやいや…「魂っていうか」「本人でござるがのう」「若い者には負けない、そして負けない!」「ワイルドに吠えふがっ」「ああもう、行きますよじいさんや」


        ■お題:半世紀
      • 「お姫様抱っこ」「ハンサムエスケープ」に続き「スタイリッシュ土下座」が流行。そして折紙ブログは炎上した。


        ■お題:謝罪
    • スカイハイの話
      • どの命を助けてどの命を見捨てるか。選ばねばならない日が、きみたちにもいつか来るだろう。選べないと迷う時間のぶんだけ、救える命が手からこぼれ落ちるそんな日が。だから私は己を鍛える、救える命をひとつ増やすためにね。長くキングと呼ばれた男の言葉を、若者達は心に刻む。


        ■お題:命
      • 『おはよう!そしておはよう!』毎朝同時刻にスカイハイ公式アカウントは呟く。『自動ってわかってるけどなごむよねー』と好評だ。そしてある日の未明の生中継中「はっ、すまない今日は呟けないよ!皆おはよう!そしておはよう!」その日のTLのトレンドは言うまでもない。


        ■お題:つい
      • 風の刃が唸り、老女を取り囲んだパワードスーツが両断される。「さあ安全な場所へ!」老女を抱えたスカイハイが地を蹴った。「いけない、スカイハイ殿!待っ…!」ドゴオン!!「……痛い、とても痛い」「シミュレーションルームは天井があるっていい加減覚えてください…」


        ■お題:閉鎖空間
      • 私は人のかたちをしているけれど、本当はがらんどうの人形だ。中身がなくて軽いから、私は空に浮かんでいられる。だから、愛を知るのが怖い。空っぽのその場所が埋まって人間になって、飛べなくなるのが怖い。ああ、神様、私をスカイハイでいさせてください。


        ■お題:から
      • 子供達の心を鷲掴みにするそのヒーローは、毎日街をパトロールして、自らの名を冠した必殺技で悪者を倒し、己の身を削ってひとびとを救い、いつも朗らかに空を飛ぶ。スカイハイだと思いましたか?残念!ア○パ○マンです。「しかしスカイハイ殿でも全く違和感がないでござる…」


        ■お題:パン
      • 「ずるいよなぁ」「空飛べるとかチートすぎだろ」同時期にデビューした仲間は、結局誰も残らなかった。血反吐を吐いた能力制御訓練も、毎日のトレーニングとパトロールも、「ずる」い能力に帳消しにされる。それでも私は飛ぶ。スカイハイしか、私にはもう残っていないのだから。


        ■お題:ずる
      • ―ルナティックをどう思いますか。「認めることはできない。審判を下すと言うが、犯罪は法によってのみ裁かれるべきだ。能力が突出しているからこそ、使い道は司法に委ねなくてはならない。自らの思想のために力をふるうのは、ただの暴力だよ」KOHへのインタビューの一幕。


        ■お題:審判
      • スカイハイは感激屋だ。顔が見えないにもかかわらず泣いたり笑ったりの反応が最高なので、感動ドキュメンタリーものへの出演依頼が引きも切らない。ただし動物ものの泣ける系には全身でしょんぼりしてしまいスカイ廃(通称:保護者の皆さん)のクレームが激しいので要注意。


        ■お題:感動
      • 客席のざわめきが遠雷のように届く。無機質な銀色のマスクを、キースは愛おしげに捧げ持った。「さあ行こう、スカイハイ。私達の最後の舞台だ」喜びも悲しみも全て共にしてきた銀色の騎士に恭しく口づける。そして次の瞬間キースはスカイハイとなり、光のもとへ足を踏み出した。


        ■お題:舞台
      • スカイハイが生まれながらのヒーローと評される所以は、持ち前の正義感と裏表のない性格ばかりではない。カメラ映えする口上や大振りのアクション、尺を意識した捕物劇。根っからの「正義の味方」WTとはまた異なり、彼はまさに「職業ヒーロー時代」の申し子であった。


        ■お題:サラリーマン
      • セレモニー会場は大きなスタジアムだった。満員の観客と入りきれずに周囲の路上までを埋め尽くした市民が声を揃える。「スカイハイ、ありがとう、そして、ありがとう!!」中空で何度も深く礼をしたヒーローは、名残惜しげに何度か旋回し、空へ消え、永遠に戻らなかった。


        ■お題:さよなら
      • かつて、とある高名な画家が、夜のシュテルンビルトを見下ろすスカイハイを描いた絵を発表した。ずいぶんと話題を呼び高値のついたその絵のタイトルは「孤高」。時が流れ、画家は再びヒーローを描いた。陽光の中、8人のシルエットが手を取り合ったそのタイトルは「仲間」という。


        ■お題:絵
      • アポもなく飛び込んできた青年は上空の飛行船を指さし問うた。『あれはどのくらいの速さで飛べますか?』『理論上は時速200kmだが』『では私はその速さで飛べる!どうかあなた方の技術で私に空を飛ばせてください!』その日約束した技術の粋を背に、ヒーローは空をかける。


        ■お題:とぶ
      • 『レジェンド、最初にして最高』『ステルスソルジャー、見えざる刃』アカデミーの中庭には引退したヒーローの碑が並ぶ。「スカイハイ」キースさんはにこりと笑った。「それだけでいい、いいんだそれだけで。ほかにはなにもいらないよ。続く言葉は、読む人が考えてくれるだろう」


        ■お題:碑
      • 彼の功績を称え中央駅に建設されるはずだったスカイハイモニュメントの建設資金は、当の本人の強い願いで、工事開始直前に起きたテロ事件の被害者支援のため全て寄付された。代わりに設置された1フィートほどの小さな銅像を、人々はシュテルンビルトの幸福の王子と呼んでいる。


        ■お題:碑
      • 「ありがとう!そしてありがとう…!」その言葉を残し大空に去ったヒーローは、二度と市民の前に姿を現すことはなかった。だが人々は今も、空を見上げてはそのヒーローの名を口にする。「風が強いねえ」「スカイハイ頑張ってんなあ」今もこの街の空は、彼が守っているのだ。


        ■お題:永久不滅
      • 私が二度目の産声をあげたのは18のときだった。地上から私を奪い去る優しく気まぐれな風に身を委ね、衝動のまま大声で私は泣いた。生まれたての赤ん坊が泣く理由を知ったような気がした。グッドバイ、今までの世界。ハローハロー、新しい世界。


        ■お題:Hello
      • 「もう遅い。きみは私を怒らせた。命の償いは命でしてもらおう」サーコートが暴風に激しく翻る。心優しき正義のヒーローの、誰も見たことのない姿がそこにはあった。視界に入る限りの風を眷属として従え、重々しく王は告げる。「逃げ場などない。ー覚悟したまえ」


        ■お題:圏内
      • なぜシュテルンビルトに来たかって?ここがNEXT研究の最先端だと知ったからだよ。NEXTをなくす方法を知りたかった。その為なら私の身を研究に捧げてもいいと思った。それが気がついたらヒーローになってKOHなんて呼ばれているのだから、人生とはわからないものだね。


        ■お題:先端
      • 「KOH候補を見つけてきたぜ!」ふわふわと宙に浮くだけの気の良さそうな青年を連れて奴が飛び込んできたとき、事業部のみんなが大笑いしたっけな。1年半後その言葉は現実になり、奴はキースにふわふわと胴上げされて男泣き。唱和するのは勿論「ありがとう、そして―」


        ■お題:ふわふわ
      • 涙をこらえる若者にキングは笑う。湿った風はね、高い山にぶつかって上昇して、水分をみんな雨にして降らしてしまうんだ。そうして山を越えたら、からりと乾いてお天気さ。ちょっと今の君たちみたいだろう。沢山雨を降らせなさい、山の向こうはきっといい眺めだ、きっとね!


        ■お題:雨模様
      • いつもフライトジャケットの前を開け真っ白なTシャツを見せているキース・グッドマンが、前をぴったり閉めている日は要注意だ。「キース」ビクッと肩を揺らすヒーローにスタッフは溜息をこぼす。「…怒らないから出しなさい。飼い主か里親探すの、手伝ってやるから」


        ■お題:ファスナー
      • 「ありがとう!そして…」誰もが期待した結びの言葉を、彼はとうとう口にできなかった。壇上で俯き肩を震わせる永世キングに温かな拍手が降り注ぐ。「スカイハイ!」誰かが叫んだ。「ありがとう!そして」数万人が声を揃える。「ありがとう!!」それが、スカイハイ最後の日。


        ■お題:むすび
      • 我々ヒーローなど家畜のようなものだ。角を折られ牙を抜かれ、首枷をつけられて、飼い主の指先のままに右往左往する。それが人の身には過ぎる力を得てしまった我々の定めなのだろう。だからね、私は私のソウルメイトを、絶対にペットとは呼ばないのさ。


        ■お題:家畜
      • 厳しくも温かな父、優しい母、アップルパイの得意な祖母、愉快な友人たち、フットボールに熱中した学生時代、 甘酸っぱかったプロムの夜。私の思い出話を皆はいつも微笑んで聞いてくれる。だから私はいつも言いそびれる、その全てはあの18の夏、永遠に失われたものなのだと。


        ■お題:郷愁
      • スーツに身を包み、はるか高みから見下ろせば、星の街は美しいばかりの箱庭のようで。この腕に全て抱え込んで守ると、守れるのだと思っていた。なんて思い上がり。本当は箱庭などどこにもなく、人々はしたたかに強く、私は無力で。それでもやはり、私はこの街を、守りたい。


        ■お題:はこにわ
      • 基本的に仕事は断らないスカイハイが、心苦しそうに、しかし断固として拒否したCMがあった。「喜ぶと思ったが」零す担当者に、彼は絞り出すように言った。「ジョン以外の子を愛犬と呼ぶなんて、彼が見たらどれだけ傷つくと思うかい!?私にはできない、そして無理だよ…!」


        ■お題:予想外
    • 折紙サイクロンの話
      • 狭き門、というよりむしろそれは、出口があるかどうかもわからない細く長いトンネルのようなものだったろう。すべてのNEXTの支えとなるためにも、ヒーロー輩出はアカデミーの悲願であった。彼が背に負ってきた重みを理解するから、バーナビーは彼を「先輩」と呼ぶのだ。


        ■お題:隘路
      • 崩落したビルの地下、光も電波も届かないシェルターで身を寄せ合った僕らは絶望なんてしなかった。だってあのヒーローがいる。「お待たせ致した、折紙サイ クロン参上!」通気ダクトを鼠の姿で抜けてきた最下位ヒーローが見得を切る。拍手喝采に戸惑う彼が、間違いなく僕らの光。


        ■お題:光
      • 話の種にマスク交換という流れになり、ついでにと訓練用のスイッチを入れられた。「え、ちょ、なんですかこれ先輩、音声が複数聞こえるんですが」「え? ヒーローTVとアニエスさんの指示とうちのスタッフ3人からの情報ですけど」「はぁ!?」相変わらず先輩は素で規格外です。


        ■お題:音
      • 「折紙サイクロン丈江」華やかな祝い幕に歌舞伎文字で黒々と書かれたそれがかのヒーローの名だと解らぬものは今日この場にはいまい。万雷の拍手、ひらり降った花弁が変じ「折紙ィサイクロン、あ、見参でェござる!」カカンと拍子木、声高らかに今季のKOHは見得を切る。


        ■お題:まく
      • 僕はゲームのプレイヤー、選択キャラクターは折紙サイクロン。ゲーム目的はヒーローとして活動しつつテレビカメラに見切れること。キャラが死ぬかクビになればゲームオーバー。――現実が怖くなると、そんなイメージに逃げていたっけ。もう逃げない、僕こそがヒーローだから。


        ■お題:プレイ
      • origamicyclone 出動なう
        mob1345 @origamicyclone 折紙仕事しろ
        mob2471 @origamicyclone 働けよw
        origamicyclone 見切れなう
        mob2978 @origamicyclone おいw””


        ■お題:つい
      • 『―強盗事件が発生。人質の女性が撃たれ、搬送先で死亡しました。犯行グループは警察が逮捕。目撃者の話ではNEXTと見られる学生が関与し―』『またNEXTですか』『取締まり強化を…』「エドワードは悪くない!僕が…!」届かない悲鳴が広すぎる寮の部屋に反響した。


        ■お題:ニュース
      • 『大ニュースだよ、聞いて!僕、最下位脱出したんだ』弾む文面に、知ってるよ、とエドワードは苦笑した。読み終えた手紙を畳み、少し考えてペンを取る。『直接言いに来いよ』署名を添え、初めて書く住所を綴った。さあこれを受け取ったあいつは、どんな顔をするだろう。


        ■お題:ニュース
      • 「先程引退式典を終えてきたでござる!カメラの中央に映るのはいまだに慣れませぬw ――いままで応援ありがとうございました。僕は、ヒーローでいられて、幸せでした」それが折紙ブログの最後の記事。風変わりなヒーローの物語は、ハッピーエンドで幕を閉じた。


        ■お題:ハッピーエンド
      • 「さあイワン、いや折紙サイクロン。夜の闇はきみの味方、この街全てがきみの舞台。――暴れておいでなさい、存分に」「御意…!」CEOの背後に片膝をついていた黒衣のイワンが、ひと声応じて夜の街に飛び込んでいく。ただのおつかいなんだけどなぁと、秘書は苦笑した。


        ■お題:舞台
      • ヒーローになって半年目。明け方、自宅で寝ていた僕は襲撃に遭った。「ああ、やっぱり!身体中痣だらけではないですか…!まったく貴方ときたら!」負傷が恥ずかしくて擬態でごまかしてたのがバレたのだ。怒ってくれる人がいることが嬉しくて笑ってしまって、更に怒られたっけ。


        ■お題:嘘
      • 「見切れ以外もやっていきたいです」CEOに宣言した翌日、ラボにはギミックの数々が並んでいた。「君がそう言うのをずっと待っていたよ」「君の能力と我々のスーツならKOHも夢じゃないさ」泣き崩れた若きヒーローは、その鬼仕様に別の意味で泣かされる未来をまだ知らない。


        ■お題:開発
      • カチリ、胸の奥で音がした。存在することすら知らなかった扉の錠が開く音だった。鍵の名は「ヒーロー」。NEXTだけがそれになれる。悪魔と呼ばれた自分の能力にはじめて感謝した。――あの光の中に、僕も。


        ■お題:錠と鍵
      • 『レジェンド、最初にして最高』『ステルスソルジャー、見えざる刃』アカデミーの中庭に並ぶ引退したヒーローの碑に、本日新たにひとつ加わった。『折紙サイクロン、見切れ職人』KOHまで登り詰めた彼に相応しくないという声もあったが、本人が強く希望した言葉だったという。


        ■お題:碑
      • ヒーロー・グミはシュテルンビルトの子どもたちに人気のお菓子だ。形はデフォルメされたヒーローのシルエットで、色はそのヒーローのテーマカラー。一袋にひとつあるかないかのカラー違い折紙サイクロンを見つけるのが、子どもたちのお楽しみである。


        ■お題:グミ
      • あの日からずっと、自分が全部悪いのだと思っていた。だから彼の憎しみに満ちた目を見て、殺されるのも仕方ないと諦めた。だけど違う。僕は臆病だったけど、彼だって軽率だった。僕らはもう前に進まなきゃ。ねえ、「一緒にやり直そうよ…僕の失敗も、エドワードの失敗も」


        ■お題:あの日から
      • 「重機ですか?ええ、扱えますよ。うちのトランスポーターにも1台積んでます。一度あれで装甲車ぶっ飛ばしてみたいんですけどなかなか機会が無くて」「おいまて折紙なんの話だ」「え?重機関銃(ヘビーマシンガン)の話ですよね?」


        ■お題:重機
      • 「僕が守るんだ!」振り絞るような叫びを上げて眼前に立ちはだかった、趣味の悪いスカジャンの背中。小さいはずのそれはやけに大きく目に映った。ああ、そうか、だからこいつは――こいつが、ヒーローなのだ。ただそういう名の職業ではなく、古来からの意味通りの。


        ■お題:まもる
      • 地味で暗い自分。変わりたくて、子どもの浅知恵でクラスの人気者の姿を借りて輪の中に入った。談笑の最中その本人が入ってきて空気は凍り付き、その日から僕は「嘘つきヴァーニャ」と呼ばれた。この遠い地でヒーローになって、僕はまた、同じ嘘をつく。


        ■お題:嘘つき
      • 「あー、マジお前ヒーローのこと知らねえのな。引っ越してきたばっかなら当然か。移動手段はスカイハイは空飛ぶだろ、FEが専用スポーツカー、RBはカタパルトでブッ飛ばされて、ブルロとT&Bがバイク、キッドがトランスポーター、んで折紙が徒歩」「……徒歩?」「徒歩」


        ■お題:いどう
      • 折紙サイクロンの引退発表。街中の話題をさらったこのニュースを、折紙マニアと呼ばれる一部の濃いファンだけが静観していた。毎日綴られるブログに1年前から少しずつ紛れていた見切れ職人の感謝の言葉。「最後まで見切れやがって」モニタの向こう、彼らは涙混じりに苦笑する。


        ■お題:伏線
      • 「臨兵闘者皆陣列在前!」折紙の手が次々と印を結び、声と同時に呼応する字がヤツの周囲に浮かびあがっては消えた。周囲に褒められて「ただのハッタリでござるよ」なんて照れてるがちょっと待てここトレセンだぞあれ生身でやってんのかよ!マジあいつの能力どーなってんの!?


        ■お題:むすび
      • 折紙サイクロンが見得を切るとカンッと拍子木の音が響く。「なあ折紙、あれどっから音でてんの?」「あ、えっとですね…」一歩距離を取りポーズを取たイワンの身体が一瞬青く光り音が鳴る。ちなみにここはトレセンだ。「修行の成果でござる!」「…もう突っ込まねえぞお俺は…」


        ■お題:かん
      • 「きみの夢は、何ですか?」「…僕の夢は、ヒーローになることでした」「それはイワン・カレリンの夢ですね?それは叶いました。では、折紙サイクロンの夢は」「僕の…拙者の夢は…」「ええ」「夢は、いつかスカイハイ殿とデュエット曲をリリースしたいでござる!」「おいこら」


        ■お題:ゆめ
      • 幸せな夢を見た。あの事件がなくて、エドワードがヒーローになって、僕はスタッフとして一番近くで彼を支えていた。「俺たち二人でヒーローだな」誇らしげに笑った彼は初年度からトップ争いにも食い込んで。幸せな、幸せな夢を見て。どうして僕は目覚めに安堵しているのか。


        ■お題:ゆめ
      • 折紙サイクロン宛てに届いた差出人名のない葉書。忘れ得ぬ筆跡で書かれた二行だけのメッセージ――「ごめんなさい。永遠に愛しているわ」僕はそれをファンレターの束にそっと紛らせる。貴方に愛されたくて泣いていた子どもは、もう、いないのです。


        ■お題:ある時に愛していた女
      • 休憩室でイワンがダイスを弄んでいる。二つを掌で転がし、テーブルへコロリ。手持ち無沙汰なのか飽きもせず繰り返す様子を眺めていたバーナビーが、深々と溜息をついた。「貴方がヒーローで本当に良かったですよ」複雑げに笑う青年が転がした賽は、連続12回目の6ゾロを示した。


        ■お題:賽
      • NEXT禁止の手合わせ、本日の組合わせはパオリンとイワン。「やるなー折紙!キッド相手に善戦してら」「…僕先日気がついたんですが」バーナビーが呆れたように言う。「先輩が勝つところはあまり見ませんけど、誰を相手にしても、30分以上保っちゃうんですよね…」


        ■お題:ぜんせん
      • は!?お前知らねえの、これだからニワカはなー。折紙だって専用カーあるんだぜ、つか「あった」んだぜ1回しか使われてねえけど。なんで使ってないかって?そりゃさすがのヘリペリも、自社のヒーローが空っぽの人力車引いてえっちらおっちら走ってんのは不憫だったんだろ…


        ■お題:カー
      • 「ふふふふふ、折紙くん……あの封印されし折紙カーが、日の目を見る日がとうとう来ましたよ……!」「ほ、本当でござるか!?やったぁ!」その日シュテルンビルト市民はアンドロイドの車夫に引かれ爆走する人力車の上で嬉々として見得を切る折紙サイクロンの勇姿を見たという。


        ■お題:カー
      • 「ブルーローズやファイヤーエンブレムは車あっていいな!僕まだ免許取れないんだよね」そのドラゴンキッドがある日乗って登場した車は――「幻の折紙カーktkr」「折紙そこ代われ!」「年少コンビprpr」「ジンリキシャ使えて良かったな折紙w」ブログは当然、炎上した。


        ■お題:カー
    • ヒーローを取り巻く人々
      • 薄氷を踏むような日々、ひとつでも選択を間違えていたら今日この日は来なかったろう。逮捕も救助も出来ないけれど、赤くルージュを引いた唇、豊かな巻き毛 の内側の頭脳がアニエスの武器だ。ああ、またこの台詞を言える幸せ!「Bonjour, HERO?」魔女は今日も笑う。


        ■お題:隘路
      • 「ライブで行くわよ」あちらからもこちらからも上がる抗議を黙殺。スタッフの苦労も、ヒーロー達の苦々しさもわかる、だが綺麗に編集された録画放送だけで 伝わるものなんて知れているのだ。現実を報じるのがメディアの使命。「録画で数字取れるか!」「あのー本音出てますよー」


        ■お題:生
      • ヘリペリデスが折紙サイクロンを擁したことが、メディア王を狂わせた一石目と知るものは少ない。NEXTでありながら能力を行使しないヒーローは、男には許されざる存在だったのだ。「かきまわしてやれと思いましたが、これほどとは」嵐の去った街で、若き金融王は笑う。


        ■お題:台風一過
      • ヒーローがマスクを外せる程に、アカデミーは閉じられた場所だ。生徒はNEXTばかり、講師も大半は然り。差別や迫害から解放された生徒達の伸びやかな表情を見守るのがマッシーニの幸せだ。どうか彼らの希望であってくれと、卒業生二人の活躍に目を細めて彼は祈った。


        ■お題:閉鎖空間
      • 【ヒーローアカデミー卒。同校が輩出した初のヒーローである。】折紙サイクロンのプロフィールにその2文が付け足されたのは、ジェイク・マルチネスのテロ事件が収束してしばらく経った頃。「…きみもようやく卒業だね」幾多の想いを込めて、マッシーニ校長はその文字を撫でた。


        ■お題:卒
      • アカデミー卒。この街のNEXTに、これほど確かな身分証明はない。能力制御を身につけ、教養と実技の単位を揃え、度重なる人格テストをクリアせねば証書は得られないからだ。その代わりに差し出すもののことは、皆見ぬふりをしている。NEXTの街はこうして発展してゆく。


        ■お題:卒
      • お母さんを治して、が最初。それから、お母さんを返して、になった。そのあと、お父さんがおうちに帰ってきますように、になって。今は、お父さんが怪我しませんように、活躍しますように、それと、時々は会えますように。古ぼけた賽銭箱は、今日もチャリンと音を立てる。


        ■お題:祈り
      • お膳立ては整えた。指示ひとつで映像は二千万の市民に届き、間違いなく最高視聴率を叩き出すだろう。だが、「こんな映像流せないわよ!しっかりしなさいよヒーロー…!」勝気に吐いた声が震えた。結局自分とて最後にできるのは祈ることだけ。お願いヒーロー、勝ってきて。


        ■お題:祈り
      • おはよう。ああお前、今日からまたコーヒーにミルク入れて頂戴。――そ、例のバディ。全くあの二人ときたら…ああそう、号外出てたの、ふぅん。本当、また胃の痛い日々ですよ…え?笑ってませんよ。大変なんだから。はいはい、お帰りね、言っとくよ。だから笑ってないって。


        ■お題:コーヒー
      • 「あらそれダメよ。ミルクと砂糖!」第一秘書の指摘に、新人は怪訝な顔をした。「でも、事業部長にはブラックって…」「基本はね、でもタイガーがやらかした日はダメ!胃を壊されたら皆が困るんだから」指さした画面では、ワイルドに吠えた男がワイルドにビルをぶち壊し中。


        ■お題:コーヒー
      • 雷の翌朝、がばっと起きた楓が鏡に駆け寄るとぺろりと腹を出した。まじまじ見つめて「なくなってない!」それから俺のシャツの裾をめくり「おとうさんも、おへそ、あるね!」にっこり笑った顔の、なんと愛らしかったことか。「雷のたびにその話するのやめてよお父さん!」


        ■お題:へそ
      • 「お疲れだねえ、ジュベール君」「そちらこそ激務のご様子ですこと、事業部長」目の下に濃い隈を作った2人は顔を合わせて苦笑する。「健闘を祈るよ」「ええ、そちらも」あっさり辞めていった彼らとは違い、企業人は戦うしかないのだ。いつか必ず戻って来るだろう彼らの為にも。


        ■お題:憔悴
      • 「楓ちゃんいいなぁ~!お父さんがワイルドタイガーなんだもん!バーナビーと会ったりとかするんでしょ?自分だって凄いNEXTなんでしょ?ずる~い!」私に言わせれば、普通のお父さんとお母さんと一緒に暮らせるみよちゃんのほうがずるいって、言えるわけがなくて唇をかむ。


        ■お題:ずる
      • 私がネクストとわかって、クラスの子は私を遠巻きにするようになった。無害な能力をコピーしてるときでも。お父さんがヒーローだと知られて、周りの目は変わった。ヒーローに近づける権利と引き換えに私はきっと輪に入れる。でもそれは絶対しない、私はヒーローの娘だもの。


        ■お題:トレード
      • スカイハイのスーツには、いつ頃からか小さなボタンがひとつある。それは結局、彼が引退するまで一度も押されることがなかった。「非常用パラシュートさ。あの子は知らないけどね。例えスカイハイを道化にしても、私達は、彼に死んで欲しくはなかったんだ」


        ■お題:ボタン
      • まるで自殺者がこめかみに当てた拳銃の引き金を引くように、マーベリックは両手を自らの頭に当て能力を使った。自らの尊厳を投げ捨ててまで彼が守りたかったのは一体なんだったのか。誰も答えを得ぬうち、「正義」を語る炎が彼のからっぽの肉体を焼きつくした。


        ■お題:ひきがね
      • 私の手の上で踊る無垢で愚かなあの子を、私は私なりに愛していたのだ。いずれ役に立ってもらおうと自分に言い訳をして、今日まで生かしてきた。親によく似たあの瞳に浮かぶ私への愛と信頼を、失いたくはなかったのだよ。


        ■お題:踊る
      • MVP?KOH?小さい、小さい。そんなもの、持ち回りのタイトルにすぎないじゃないですか。我々の野心はね、折紙サイクロンを唯一無二の存在にすることです。「折紙の前に折紙なし、折紙の後に折紙なし」半世紀後この街の人々は口々に言うでしょう。どうぞお楽しみに。


        ■お題:野心
      • 「助けてくれよ、イワン!」夢に見て飛び起きる。一生忘れはしないだろう記憶。どれだけ悔いてもあの日失ったものは取り返せはしない。けれど。『折紙サイクロンに救助ポイントだ~!』あいつのヒーロー姿を見るたび胸の重石が少しだけ軽くなる。おまえが、俺のヒーローだ。


        ■お題:あの日
      • ヒーローがどれほど華々しく見えてもその実態はサラリーマンだ。それは所属会社が益を得る為のシステムでもあるが、ヒーローを様々な意味で守るシステムでもある。「例えばこんな風にね」と、二通の辞表を破り捨て代わりに無期限休職の処理をしながらロイズは呟いた。


        ■お題:サラリーマン
      • 覚えておきなさい折紙サイクロン。君は一社員なのだよ、対等な契約関係じゃない。我が社が君を雇用しているんだ。どういうことかわかるかね。君の行動の責任は君の上司である事業部長や私が負うということだ。…ね、だから1人で頑張らなくていい、甘えなさいよもっと。


        ■お題:サラリーマン
      • アルバート・マーベリックの死後、顧問弁護士によって公開された遺言状。結婚せず、子もなさず、近い親族もいなかった彼の遺産相続人として、バーナビー・ブルックスJr.ただ1人の名が記されていた。メッセージは皆無、ただ1枚の書面だけが彼の心のかけらを示す。


        ■お題:遺産
      • マーベリックの遺言で指定された唯一の相続人バーナビーは、その遺産の全てを投じて両親の研究を引き継ぐラボを設立した。それから半世紀後の、B&Mラボは人と共存する優しいアンドロイドたちを生み出している。


        ■お題:出資者
      • ミスタ斎藤のライフワークのひとつは完璧なNEXT制御装置の開発なのだという。「やっぱアレすか、犯罪抑止的な」複雑な顔をした虎轍に、小柄な技術者はキヒッと笑ってみせた。『これが完成したらスポーツ大会のNEXT参加禁止なんて馬鹿なルールがなくせるじゃないか』


        ■お題:スポーツ
      • 正義を語るあなたを敬愛していた。あなたに憧れていた。だから壊れゆくあなたが、私の望む姿でいてくれないあなたが憎かった。あの日あなたがつけた罪の烙印で顔を覆い、私は罪人を裁く。あなたの教えを実践し続ける。いつか神の業火が私を焼き殺す日を夢見ながら。


        ■お題:あの日から
      • 「あの年頃は何してました?」「有象無象を蹴落とすのに必死だったな。お前は」「手っ取り早くのし上がる方法ばかり考えてましたねえ」並んで見上げたモニタには彼ら自慢のヒーローの勇姿。魑魅魍魎渦巻く経済界を泳ぐ中年にその姿は眩しいばかり。「守ってやらねばな」「ええ」


        ■お題:憧れ
      • 「ロックバイソンのスーツいいよなあ!あの重機っぽいゴツゴツしたシルエット!んで、なんつったってドリル!男のロマン!ねえ部長、うちの姫さんの胸んとこ、ドリルっぽくしてみるとか」「却下」「えええ」タイタンインダストリーのラボでは今日もそんな攻防が繰り広げられる。


        ■お題:重機
      • 「オラ仕事だぜ化け物!」NEXTにまともな仕事などなく、燃料いらずの重機として昼夜無くこき使われた。タイミング悪く発動できなければ舌打ちと殴打。「君はこの街を救う英雄になれる」差し伸べられた手に縋らない選択肢など無かったのだ、それが罪にまみれた手だと知っても


        ■お題:重機
      • この私も守るべき市民の一人だって、あなた言ったわねワイルドタイガー。ええそうね、ただの人間の私はアンドロイドなんて倒せやしない。でも私には私の、私にしかできない戦い方があるのよ。見てらっしゃい、あんたたちまとめて守ってやろうじゃないの。


        ■お題:まもる
      • 『キミのスーツだがねタイガー。0.01秒単位で発動時間計って、次回のカウントダウンにフィードバックするようにしといたから。まあ減退しないのが一番だがね!』相変わらずのちっせえ声で、斎藤さんはキヒッと笑う。残り1秒でもある限り、ワイルドタイガーがんばりまっす!


        ■お題:残
      • いつの頃からか、シュテルンビルトのポセイドンライン系列のホテルの上層階には、けして客の入ることのない部屋が必ずひとつ用意されている。特殊な認証キーで開く防弾ガラスの窓を備えたその部屋で、彼らの愛するヒーローがひととき羽を休めることができるように。


        ■お題:ホテル
      • ヒーロー事業への参入が、ヘリペリデスファイナンスが七大企業と呼ばれ続けるための社運を賭けたプロジェクトだったことを知るものは少ない。特異な能力を持つ自己否定の強い青年の双肩に、当人も知らぬ重い荷を乗せた若き金融王は「慧眼でしょう」と目を細めて笑うばかり。


        ■お題:かける
      • 「あ、本日付で異動になったから。後任とうまくやって。お世話になりました。じゃあね」さらり言って背を向けたら二人がかりでしがみつかれて子どもみたいに駄々こねられたのが二日前。他愛ない4月の嘘だったのだけど。さて、今日も張り切ってスポンサー交渉してきますかね。


        ■お題:いどう
      • 「『この世の広い戦場で、人生の野営地で、黙って追い立てられていく家畜であるな。敢然と闘う英雄になれ』米国の詩人の言葉です。読んでジェイクを思い出した。彼もまたヒーローであろうとしたのかもしれません」広い墓地の片隅のみすぼらしい墓の前、バニーはぽつりと呟いた。


        ■お題:家畜
      • 「母ちゃんを頼むな、楓」かがんで目を合わせたお父さんは、そう言って私の肩を叩いた。今までずっと、「母ちゃん、楓のこと頼む」だったのに。一人前だと認められたみたいですごく嬉しい。うん、と力を込めて頷いたら、お父さんはにっこり笑った。留守は任せてね、ヒーロー!


        ■お題:留守番
      • 「ヒーローなんて持ち上げても、俺たちゃ所詮見世物小屋のフリークスじゃねえか」一人のヒーローが楽屋裏で吐き捨てる。ええ、そうかもしれない。だったらもっと過激でエキサイティングな、最高の見世物にしてやりましょう?誰もあんたたちを化け物なんて呼べないくらいに


        ■お題:フリークス
      • 「聞いてちょうだいアルバート、ジュニアがNEXTだったの!凄い力なのよ。大きくなったら貴方の番組でヒーローデビューできるかしら」幸せそうに君は笑う。ああ、遠いあの日、君に私もNEXTだと打ち明けられていたら、私達の運命は違っていたのだろうか。


        ■お題:ある時に愛していた女
      • 「ええ、あの時は愛していたかもしれないわね。でも知らないわ。視聴率取れない人間なんて要らないもの」ある事件からNEXTバッシングが激化し、ヒーロー制度は消滅した。姿を隠した彼等の所在を問われ、魔女と呼ばれたヒーローに最も近き女は、艶然と笑った


        ■お題:ある時に愛していた女
      • スーパールーキー、バーナビー・ブルックスJr.の引き立て役のロートルヒーロー。彼を雇う目的はそれだと聞いたし、私自身そのつもりだった。それがねぇ…「今シーズンのMVPは……なんと!ヒーロー生活15年にしてトップに返り咲き!――ワイルドタイガー!!」


        ■お題:嬉しい誤算
      • 7大企業全てに所属ヒーローを――メディア王の要請にヘリペリデスファイナンスが出した答えは、NEXTでありながらNEXT能力を行使せず、犯人を捕らえず、救助を行わぬ「見切れ職人」。「さあ、どう出ます、尾を飲む蛇よ」若き金融王はひとり笑う。もはや賽は投げられたのだ


        ■お題:賽
      • 「そこだ!行け、タイガー!」「ああそうじゃないわよバーナビー!右、右!」「よおーし来ましたGLM!」「「TIGER & BUNNY、 over&out!!」」ヒーローを送り出したあとの事業部室の光景は、クールな事業部長と鉄面皮の経理、2人だけの秘密。


        ■お題:留守番
    • 星の街の物語
      • 「ワイルドタイガー!てめぇが遅かったせいで俺の娘は…!」周囲が悲鳴に包まれる中、憎んでも憎みきれない男は静かにこちらを向いた。奴の身体をとりまく青い光が消える。「…やれよ。それでお前の気が済むなら」突きつけた銃の引金を、俺はとうとう引けなかった。


        ■お題:ひきがね
      • 多様な人種民族の集まるシュテルンビルトでは国際手話がおもに使われているが、この街独特の語彙もいくつかあり、その筆頭がヒーローネームだ。先日鳴り物入りで登場したニューヒーローの名を示す手話は勿論、「両手を頭のうえでピョコピョコ」、史上最速で決まったそうな。


        ■お題:サイン
      • たった1分残った能力が、いつか完全に消えてしまっても、身体がきかなくなって激しいアクションが出来なくても、たとえ彼の顎からあのトレードマークが消え去っても、それでも人々は永遠に、彼をワイルドタイガーと呼ぶのだろう。


        ■お題:それでも
      • 「今日の見切れ答え合わせしようぜ~、えっとブルロコンサート」「飛行船につかまってスカイハイの背後」「ワイルドシュート移動の下走ってた」「キッドちゃんアオリアングルでビル屋上」「…なあ、今日の事件15分くらいで解決してたよな…」「…あれ?」


        ■お題:意味怖
      • 司法局の持つ膨大なNEXT能力者データベース。当人がヒーローであればそのヒーロー名と在籍期間が記録される。ヒーローと記載された人物データの数と、OBCサイトに記載された歴代ヒーロー数が一致しないのは司法局における暗黙の了解である。


        ■お題:意味怖
      • 『昔々あるところに8人の英雄がおりました。風の王、炎の女王、氷の姫君、巌の武人、雷の乙女、変化の隠密、そして百人力のふたり騎士。彼らの守護する星の街は、いつもきらきらと美しい光に包まれています。』「これお父さんだ!」いつかの未来、幼子が絵本を指さして笑った。


        ■お題:昔々
      • 「今夜は俺たちもこの街を守るのさ。聖なる夜に俺たちのヒーローが安心して家族と過ごせるようにな。いつもありがとう、ヒーロー!」スカイハイファンの独身男性グループが始めたクリスマス自警団は、今年もサンタの扮装で星の街を練り歩く。


        ■お題:聖
      • T&Bが最後にメディアの前に姿を現してから20年が過ぎた。バーナビーは当年92歳、ワイルドタイガーに至っては推定で100歳を超える。だが今もって彼らの引退は発表されず、アポロンメディア公式サイトには二人の名が載る。市民は今もバディの復活を待ち続けている。


        ■お題:永久不滅
      • ヒーローの姿がシュテルンビルトから消えて半世紀。珍しくもないNEXT能力者が能力を活かした仕事に就くのが当たり前となったこの街で、人々はそれでもヒーローを忘れなかった。メダイユ地区を貫く8本の通りには、伝説となった8人のヒーローの名が今も残っている。


        ■お題:永久不滅
      • シュテルンビルトにおいて最も感染率の高い病は、人に礼を言うときに「ありがとう!そして、ありがとう!」と二度繰り返してしまうことである


        ■お題:感染
      • 金メダリストとなった青年がエキシビションに選んだ曲は、かつてのアイドルヒーロー、今や世界の歌姫となった女性ボーカルのバラードだった。『私の手を取って―』歌詞を体現したような氷上の舞に万雷の拍手が降る。のちに喜びは誰にと問われ、「親友に」と彼は笑った。


        ■お題:スポーツ
      • 『恥ずかしいけど、苛めとかしてたよ。気持ち悪い、人間じゃないとかって。馬鹿だったから。でもヒーローに――俺のヒーローに助けられて目が覚めて。うん、だから将来は、NEXTの子も出られる大会つくりたいなって』―シュテルンスポーツ2月号「金メダリストの声」より


        ■お題:スポーツ
      • 悲しい事件のあった夜、星の街には雨が降る。スカイハイが泣いてると、空を見上げて人は言う。楽しい出来事ある朝は、お天道様がぴかぴかと。ありがとうそしてありがとう、天に向かって笑い声。昔々のヒーローは、もう空を飛ぶ日は来ないけど、いまも市民の心の中に。


        ■お題:雨模様
      • ヒーローだって?ああ、そんな連中もいたっけな、昔。広告しょって、派手なナリして犯罪者追ったり災害救助してたNEXT。あんなもん今のこの街には必要ねえよ。(――なぜなら、)「あんな道化みてえなことしねえでも、俺らNEXTが人の役に立てる仕事がちゃーんとある時代だからよ!」


        ■お題:なぜなら
      • あまり知られてはいない事実。ヒーロー制度に伴い制定された市の条例に、ヒーローはNEXTでなければならないという定義はない。それどころか、ヒーローを人間に限定すらしていない。そして、条文決定に関わった人物は、もはやこの街には誰一人いないのである。


        ■お題:伏線
      • マーベリックの犯罪が明るみに出、かつてないヒーローバッシングが巻き起こったとき、いち早くヒーロー支援を表明したのは折紙ファンを標榜する団体だった。そして人々は、地味なオタクの集合と見られていた彼のファン層が、世界を動かす有力者集団と知ることとなる。


        ■お題:しえん
      • 親NEXTか反NEXTからだって?バカバカしい。俺の息子はなあ、NEXTが起こした強盗事件で大怪我したんだ。それを救出してくれたのは折紙で、スカイハイが病院まで運んでくれたよ。NEXTかどうかじゃねえ、いい奴か悪い奴かだ。だから俺はヒーローを応援するのさ。


        ■お題:どっち
      • 交通安全キャンペーンキャラクターにスカイハイが採用されてから、子どもの飛び出し事故が減ったらしい。横断歩道を渡るときに「ありがとう!そして、ありがとう!」と言いながら左右確認をするのが、子どもたちのあいだでブームになったためである。


        ■お題:ほどう
      • いや、リストラじゃないんです。そこそこ出世もしたほうでね。…息子がね、NEXTだったんです。それでこちらへ。この年になって下っ端仕事はしんどいですよ。でも息子が笑うようになったんです。家族でヒーローショーに行ったりね。ここはいい街だ。本当にね。


        ■お題:SB市民です
      • あらこんにちは。この街はもう慣れまして?…え、最上階のMr.グッドマン?ええ、そうね、「似てる」かもしれないわねぇ。「そっくりさん」でヒーローTVに出られるかもね?…あらあら、どうしたの変な顔なさって。うふふ、私たち、みんな彼のことが大好きなのよ。


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